医良人コラム

川で人が溺れています! きっとあなたは懸命に助けようとするでしょう。 そして心に誓います。 「次に溺れている人に出会ったら、もっと確実に救助できるようになりたい」と。 そのために泳ぐ練習をする人もいれば、救助法を習ったり、救助用具を準備したりする人もいるでしょう。 しかし、なぜか多くの人が川に流され、無事に助けられる人もいれば、命を落とす人もいます。 ここまで読んでお気付きと思いますが、この話は、病気になった患者さんと医療者の関係を例えています。 もっと多くの人を助けるために、新しい救助法や機器の研究・開発をす… もっと読む

医良人コラム

「信州健康かるた」をご存じですか? 県内の医療者団体・信州メディビトネットが、市民の皆さんにも協力してもらって2019年に1年かけて製作した「健康」をテーマにしたかるたです。   子どもたちが、楽しく繰り返し遊びながら、読み札の標語を音でことわざのように覚え、その内容を童話のように心と刻み、幼少期から健康という一生の宝の原石を手に入れてほしいという願いが込められています。 標語は、全国から400句以上集まった中から、コピーライターや俳人が厳選した90句を持って小学校、子ども会、図書館などを巡回、人気投… もっと読む

医良人コラム

今回は脂質について一緒に確認しましょう。 脂質は分類や用語が難しいため、重要な3群をとりあげます。   ①見えない脂質 統計を見ると日本人の脂質摂取量は、1950年に比べて約3倍に増えていま す。「見えない脂質」を多く摂るようになったためです。見えない脂質は食 品自体に含まれていて、食べる際に意識しづらい脂質です。 揚げ物、ファーストフードやインスタント食品、パン、菓子類、アイスクリ ーム、ルーやドレッシングなどに隠れています。   日本人は実に脂質の8割を、見えない脂質から摂っています。見… もっと読む

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「日本人の食事摂取基準 2020年版 」で、50歳以上のタンパク質の目標量 の下限が引き上げられました。   要介護の手前であるフレイルに、タンパク質不足が大きく影響していること が分かってきたためです。 タンパク質摂取量を20%増やすと、フレイルの発症率が30%下がる研究な どが複数紹介されています。 この摂取基準によると1日のタンパク質目標量は、標準身体活動量の成人 男性で約90~130g、同女性70~100g程です。(上限値以上の摂取はよくあ りません)   まずタンパク質は、3食に分… もっと読む

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今回は炭水化物の基本をまとめます。 炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の総称です。 まず炭水化物を多く含む食品群を大きく4つのグループに分けて整理すると理解しやすくなります。 ①穀物(米、麦、トウモロコシ)、イモなど世界中で主食とされる食品 ②果物 ③砂糖や菓子、清涼飲料水など ④その他 ①と②には、糖質と食物繊維両方が含まれ、なおかつビタミンやミネラルなど他の栄養素も多く含みます。 ③は、ほぼ糖質だけです。 栄養素が不足することは体に良くないと直感的に感じますね。 炭水化物が不足すると健康づくりにどのよ… もっと読む

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今回は、糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質の「三角関係」を明らかにします。(下図参照) まず体を動かす「エネルギー」という観点から見てみます。 前回、即時用の糖質エネルギーが使われず余った場合には、脂質につくり替えられて貯蔵されるとご説明しました。 実は、体を構成する役割のタンパク質にもエネルギーがあります。 糖質と同じように、取りすぎて余ったタンパク質のエネルギーは、脂質に替えられて蓄えられるのです。 食べ過ぎが続くと脂質が増えて、脂肪太りになるのはこのためです。 逆に、糖質による即時エネルギーが底を尽きそう… もっと読む

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たんぱく質・脂質・炭水化物を3大栄養素と呼びます。 役割の違いを確認しましょう。   人間の生命活動には「体」本体と、その体を動かす「エネルギー」が必要です。 体をつくるための主な構成要素がたんぱく質と脂質であり、エネルギーとなるのが炭水化物の中の糖質と脂質です。 人間の体を構成するたんぱく質の数は、10万種類にも上ります。 脳も心臓も血液も消化酵素も、全てたんぱく質でできています。 新型コロナウイルスワクチンを接種して作られる抗体もたんぱく質です。 脂質も負けてはいません。 人体には30兆個… もっと読む

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  「信州メディビトネット健康七箇条」第一条 「しっかりと食べる」 単に食事の量をしっかり食べましょうということではありません。 「しっかりと理解して食べる」と、言い換えても良いでしょう。 年齢、性別、体型、体質に持病を加えた個別性(第46回参照)を考慮しながら、それぞれに適した食事を取ることが大事です。 高齢の細身の女性はフレイル、骨粗しょう症予防を目標にして、丈夫な筋肉や骨を保つことを意識し、かつ痩せすぎないように、食事量もしっかりと食べてください。 幼少期から成長期の方もしっかりと食べて… もっと読む

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※2021年9月7日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」掲載の記事です) 間もなく「敬老の日」です。 6年前、私が住んでいる町会の敬老会で、健康をテーマに話をしてほしいと依頼されました。 さて、何についてお話ししようかと悩みました。 ある人は、認知症の話を聞きたいかもしれませんし、がんや膝痛のことに興味がある人がいるかもしれません。 思案した結果、どなたにでも共通して知っておいていただきたい、健康寿命を延伸するための要点をまとめた「〇〇町 健康七箇条」(下表)についてお話しすることに決めました。 信州メディ… もっと読む

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前回の続きです。 図の一番上の青い線は、幼少期からあまり不摂生をせずに過ごしたおかげで、右の縦軸の天命の日を迎えるまで、何の持病もなかった人。 緑色の線は、途中で高血圧などの生活習慣病が出たり、体力が低下し始めたりしたけれど、大病を患わずに生涯を終えることができた人。 紫色の線は、生活習慣病が大病まで至り、人生の後半を人工透析や在宅酸素療法、寝たきりとなって過ごすことになった人。 一番下の茶色の線は、病気によって天命よりも早く、若くして亡くなってしまったことを示しています。 ポイントは二つあります。 ①… もっと読む