フレイルについて

フレイルってなんだろう?

「フレイル」という言葉をご存じでしょうか?

2020年4月から、「フレイル健診」も始まるといわれていたり、
あちこちで耳にする機会も多いかと思います。

「フレイル」は、健康と要介護の「中間」の状態をあらわしていて、
加齢や生活習慣によって筋力や活力、意欲が衰えて、ストレスなどへの抵抗が低くなった状態です。

「中間」でいる期間は長く、「自覚症状がない」ことが特徴です。

要介護になってしまう前に、自分の状態に気づいて、生活習慣を改善すれば、
「健康」に戻れる状態でもあります。
自覚症状のない早い段階で、自分の体を意識することが一番大切です。

フレイルサイクル

フレイル状態と呼ばれる症状として、下記のものがあります。




①一日に必要な栄養素が不足している、低栄養の状態が続くと、体重が減少します。

②体重が減少すると、体の重要な要素である筋肉が減少し、
筋肉量や筋力が低下します。


③筋力が低下すると、疲れやすくなり、
動く意欲が低下します。
また、歩行速度がゆっくりとなったり、
身体機能が低下します。

④活動量が減ると、1日のエネルギー消費量も減少します。

⑤エネルギーを消費しないので、食欲がわかず、食事量が減少します。

⑥すると、低栄養状態となって、体重が減少します。


この悪循環を「フレイルサイクル」といいます。

上記は、体重の減少から始まっていますが、
どこの段階から始まっても、この悪循環は、まわってしまいます。


そしてその悪循環が続くと、要介護状態につながってしまいます。

オーラルフレイル

歯は楽しく食事をするために、とても重要な臓器です。
歯周病や虫歯によって歯が減ってしまうと、噛めない、または食事が楽しくない という点から
低栄養や、フレイルサイクルに陥りやすくなってしまいます。

オーラルフレイル対策として、
・虫歯や歯周病にならないように、歯磨きをしっかりする
・口の筋力を保つ

口の筋力を保つために、
・噛む、運動する
・話す、笑う、歌う
などが重要です!

フレイルに気づくには

フレイルの悪循環を断ち切るためには
自分の体の状態を知って、フレイルに気づくことが必要です。

【フレイルチェック項目】

チェック項目
栄養 1.ほぼ同じ年齢の同性と比較して、
健康に気を付けた食事を心がけていますか
はい いいえ
2.野菜料理と主菜(お肉やお魚)を
両方とも毎日2回以上は食べていますか
はい いいえ
口腔 3.「さきいか」、「たくあん」くらいの固さの
食品を普通に噛みきれますか
はい いいえ
4.お茶や汁物でむせることがありますか いいえ はい
運動 5.1回30分以上の汗をかく運動を
週二日以上、一年以上実施していますか
はい いいえ
6.日常生活において歩行または同等の身体活動を
一日1時間以上実施していますか
はい いいえ
7.ほぼ同じ年齢の同性と比較して、
歩く速度が速いと思いますか
はい いいえ
社会性

こころ
8.昨年と比べて外出の頻度が減っていますか いいえ はい
9.1日1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか はい いいえ
10.自分が活気にあふれていると思いますか はい いいえ
11.何よりもまず、物忘れが気になりますか いいえ はい

回答欄②の方に〇がついた項目は注意が必要です。

「フレイル」から「健康」へ



フレイルは、「予防」そして「回復」ができます。
栄養・運動・社会参加 の3本柱を組み合わせて意識していくことで
「予防」そして「回復」につながります。

栄養

・たんぱく質
筋肉や体を作るために、もっとも重要なものがたんぱく質です。
筋肉や身体を維持するためには、1食あたり25~30g のタンパク質をとる必要があります。
たんぱく質は一度にまとめて食べるよりも、毎食取り入れる方が効果的です。

・ビタミンD
カルシウムの吸収を促進し、筋力アップにもつながる栄養素がビタミンDです。
ビタミンDは、鮭・イワシ・サンマなどの魚介類や
きくらげ・本しめじ・シイタケなどのキノコ類、卵黄・バターなどに含まれます。

また、ビタミンDは、紫外線によってが皮膚で生成されます。
晴れた日なら10~15分、曇りの日なら30分程度屋外で過ごすことがお勧めです。


・孤食を避ける
一人で食事を食べることは、フレイルにつながります。
誰かと楽しくご飯を食べることが、食欲を増進させ、フレイルの予防となります。


運動

フレイル体操には、レジスタンス運動(筋肉に負荷をかける筋力トレーニング)が効果的です。
スクワットや上体起こしなどがお勧めですが
日頃のウォーキングなどの有酸素運動やラジオ体操、ストレッチなどと組み合わせながら、
体力向上を目指しましょう。

フレイル体操① スクワット

足を肩幅くらいに広げて立つ。

⇒息を吸いながら、おしりをゆっくり下ろす。

⇒息を吐きながら、元の位置に戻ります。

これを8~10回を1セットとし、1日3セット、1週間で6~9セット行うことを目標にしてください。

ここに注意!
・前かがみにならない
・膝をつま先より前にださない
・息を止めない

フレイル体操② フロントランジ

両足で立った状態から、片足を前に踏み込む。

⇒踏み込んだ足にゆっくりと体重をかける

⇒再び元に戻る

⇒反対の足も同じ動作を行う

これも両足で8~10回を1セットとし、1日3セット、1週間で6~9セット行うことを目標にしてください。

ここに注意!
・つま先の向きを両方ともまっすぐ前にそろえる
・手は腰にあて、腹筋を動かす意識で!

 

 

これらもお勧めです↓





 

社会参加

社会とのかかわりや外出の機会を積極的に作ることが大切です。

身体活動…「スポーツジムに通う」、「毎日ウォーキングをする」等、
身体を動かす活動を習慣的に行っているか

文化活動…「俳句の集まりに通う」、「生涯学習教室に通う」等、
身体は動かさないが、頭を使う活動を習慣的に行っているか

ボランティア・地域活動…「ボランティア活動」や「地域の集まりなどに顔を出している」等、
家族以外の付き合いが頻繁にあるか


上記の表は、高齢者(49,238人)に、日常生活で行っている様々な活動の中で「身体活動」「文化活動」「ボランティア・地域活動」に該当する活動をしているかを調査し、
その調査結果とフレイルリスクを紐づけたものとなります。

この表の中で注目すべきは、
左から4列目の運動習慣はなくて他の活動はある人よりも、
右から2列目の運動習慣だけはあるけれど、他の活動がない人の方が
3倍もフレイルリスクが高いという点です。

社会活動がなくて、運動だけだと、6.42倍、文化活動だけだと5.94倍もフレイルになりやすくなります。


これは、運動習慣や文化活動が意味のないものということではなく、
社会活動がフレイル予防に効果が高いことを示しています。

運動習慣がない人でも、ボランティア活動などの社会活動を行うことで、
フレイルリスクを軽減できるのです。


仕事やボランティア活動などの社会活動への参加以外にも、
近所づきあい・友達付き合いなどでも、人と会って話したり、
外出する機会を作りましょう。


達成感や、活動の意義を実感しやすい、
社会貢献を意識した外向きの活動が効果的です。

メディビトネットとしての取り組み

メディビトネットでは、定期的に健康講座を開催しています。
中でも「フレイル」は、重点的に取り上げています。

これまでの開催
2018/2/21(水) 「フレイルについて」
in 松本市 白金町公民館
開催報告
2018/9/1(土) 「フレイル、ロコモってなんだろう?」
in 安曇野市豊科交流学習センター
「きぼう」学習室1
開催報告
2019/10/13(土) 「フレイルってなんだろう?
~老化に負けないための新キーワード~」
in 市民健康フェスタ 僕らの学校
台風のため中止
2019/10/16(水) 「フレイルってなんだろう?
~老化に負けないための新キーワード~」
in 世界健康首都会議/松本市エムウィング
 開催報告
今後の開催予定
 -定期的に開催予定-

フレイルをもっと知ろう

長野県医師会 みんなのけんこうvol.78 フレイル
※当団体代表内科医師 小手川が監修しました。

公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット フレイル

恩賜財団済生会 フレイル

日本老医学会 フレイルの意義

日本歯科医師会 オーラルフレイル

松本市 長寿の秘訣は食事