冬が近づき寒くなると、血管も縮こまって細くなるため血圧が上昇する季節です。
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「寒くなりましたね。最近の自宅での血圧はどのくらいですか?」
「待合室で看護師さんに測ってもらったら145の90でした」
「今朝、家での血圧は135の80でした」
よくある診察室での会話です。
しかし、いずれも医師が期待している答えではありません。
どうしてか分かりますか?
血圧には「診察室血圧」と「家庭血圧」の2種類があります。
診察室血圧とは、医療機関で測定してもらう血圧、家庭血圧は、自宅の家庭血圧計で測定する血圧です。
診察室血圧は、車の運転などで動く影響と、良い値が出るようにと緊張もするため、家庭血圧より高めの数値が出る人が大半です。
ですから月1回の診察室血圧が高くても、自宅でリラックスしている時の家庭血圧はちょうど良いかもしれず、医療者も判断が難しいのです。
高血圧の診断基準値も、家庭血圧は、診察室血圧より上下とも「5」ずつ低く定められています(下記図参照)
自宅で138の88だからギリギリセーフと油断していた方は、既にに高血圧患者さんですのでご注意ください。
また、皆さんも経験したことがあると思いますが、血圧を測った1分後に再度測っても数値が変動することがしばしばあります。
ですので、最近は1回高い、1回低いは気にせずに「家庭血圧の平均値」をもっとも参考にするようになりました。
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次回の診察からは「血圧はどうですか?」と尋ねられたら「最近の家庭血圧の平均は120の65くらいです」と答えてみましょう。
かかりつけ医の表情が、冬を通り越して春が来たかのように和らぐことでしょう。
家庭血圧の記録をすっと差し出すのも喜ばれます。
(2022年11月1日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)