医良人コラム

骨粗鬆(しょう)症の患者数は、日本全体で約1300万人もいて8割は女性です。 閉経後に女性ホルモン量の減少に伴い急速に骨密度が低下し、女性は60代の5人に1人、80代の5人に3人が骨粗鬆症になります。 誰もが必要になる骨密度の検査結果の見方を覚えましょう。 骨密度はYAM値という、若い人の平均骨密度を100%とした時に、何%に相当しているかという値で判断します。 YAM値が80%を下回ると黄信号、70%を下回ると赤信号、すなわち骨粗鬆症と診断され、治療投薬の開始が検討されます。 女性のYAM値が80%を下回るのは平… もっと読む

医良人コラム

今回は人生百年時代を乗りきるための、体の屋台「骨」を守ってくれるカルシウムと、カルシウムの吸収を促すビタミンDに注目します。   転倒・骨折は、要介護に至る原因の第3位。 その恐ろしさは皆さんも感じていると思います。 寝たきりの主な原因となる大腿骨骨折だけでも、日本全体でなんと年間20万人以上! 今月、私の患者さんも大腿骨骨折で入院される方が続き、とても悲しい気持ちで書いています。 手術をして、数カ月に及ぶリハビリを頑張っても、3人に1人は元通りに歩けなくなるためです。   骨折は、転んだりした… もっと読む

医良人コラム

「98.9g」。   日本人の1日平均果物摂取量です。 100gにわずかに届かず「もう少し」と感じるかもしれませんが、実は全く足りません。1日の果物の摂取目標は200g(可食部)以上です。200gの目安は、リンゴ、ナシ、カキ、モモは各1個、温州ミカン、キウイ、バナナ各2つです。 「一日一個のリンゴで医者いらず」「朝の果物は金」。 野菜と同じく果物には、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、私たち動物の体内ではつくることのできない栄養素が豊富で、がん、高血圧、動脈硬化などの予防効果が認められています。 香りや酸… もっと読む

医良人コラム

「やさいいいさや~」。   松本地域の方言で、野菜の素晴らしさを表現する回文を作ってみました。   タンパク質・炭水化物・脂質に続く5大栄養素「ビタミン」と「ミネラル」を取るのに最適な食材こそが野菜です。 ◇ 私たち「動物」の体内では作ることができない栄養素を、「植物」の野菜から補う必要があります。   野菜の健康メリットは、食物繊維が豊富、悪玉コレステロールや血圧を下げる、脳卒中やがんを予防するなど数えきれません。   「1日350g以上の野菜を食べよう」この目標をご存じの… もっと読む

医良人コラム

川で人が溺れています! きっとあなたは懸命に助けようとするでしょう。 そして心に誓います。 「次に溺れている人に出会ったら、もっと確実に救助できるようになりたい」と。 そのために泳ぐ練習をする人もいれば、救助法を習ったり、救助用具を準備したりする人もいるでしょう。 しかし、なぜか多くの人が川に流され、無事に助けられる人もいれば、命を落とす人もいます。 ここまで読んでお気付きと思いますが、この話は、病気になった患者さんと医療者の関係を例えています。 もっと多くの人を助けるために、新しい救助法や機器の研究・開発をす… もっと読む

医良人コラム

「信州健康かるた」をご存じですか? 県内の医療者団体・信州メディビトネットが、市民の皆さんにも協力してもらって2019年に1年かけて製作した「健康」をテーマにしたかるたです。   子どもたちが、楽しく繰り返し遊びながら、読み札の標語を音でことわざのように覚え、その内容を童話のように心と刻み、幼少期から健康という一生の宝の原石を手に入れてほしいという願いが込められています。 標語は、全国から400句以上集まった中から、コピーライターや俳人が厳選した90句を持って小学校、子ども会、図書館などを巡回、人気投… もっと読む

医良人コラム

今回は脂質について一緒に確認しましょう。 脂質は分類や用語が難しいため、重要な3群をとりあげます。   ①見えない脂質 統計を見ると日本人の脂質摂取量は、1950年に比べて約3倍に増えていま す。「見えない脂質」を多く摂るようになったためです。見えない脂質は食 品自体に含まれていて、食べる際に意識しづらい脂質です。 揚げ物、ファーストフードやインスタント食品、パン、菓子類、アイスクリ ーム、ルーやドレッシングなどに隠れています。   日本人は実に脂質の8割を、見えない脂質から摂っています。見… もっと読む

医良人コラム

「日本人の食事摂取基準 2020年版 」で、50歳以上のタンパク質の目標量 の下限が引き上げられました。   要介護の手前であるフレイルに、タンパク質不足が大きく影響していること が分かってきたためです。 タンパク質摂取量を20%増やすと、フレイルの発症率が30%下がる研究な どが複数紹介されています。 この摂取基準によると1日のタンパク質目標量は、標準身体活動量の成人 男性で約90~130g、同女性70~100g程です。(上限値以上の摂取はよくあ りません)   まずタンパク質は、3食に分… もっと読む

医良人コラム

今回は炭水化物の基本をまとめます。 炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の総称です。 まず炭水化物を多く含む食品群を大きく4つのグループに分けて整理すると理解しやすくなります。 ①穀物(米、麦、トウモロコシ)、イモなど世界中で主食とされる食品 ②果物 ③砂糖や菓子、清涼飲料水など ④その他 ①と②には、糖質と食物繊維両方が含まれ、なおかつビタミンやミネラルなど他の栄養素も多く含みます。 ③は、ほぼ糖質だけです。 栄養素が不足することは体に良くないと直感的に感じますね。 炭水化物が不足すると健康づくりにどのよ… もっと読む

医良人コラム

今回は、糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質の「三角関係」を明らかにします。(下図参照) まず体を動かす「エネルギー」という観点から見てみます。 前回、即時用の糖質エネルギーが使われず余った場合には、脂質につくり替えられて貯蔵されるとご説明しました。 実は、体を構成する役割のタンパク質にもエネルギーがあります。 糖質と同じように、取りすぎて余ったタンパク質のエネルギーは、脂質に替えられて蓄えられるのです。 食べ過ぎが続くと脂質が増えて、脂肪太りになるのはこのためです。 逆に、糖質による即時エネルギーが底を尽きそう… もっと読む