前回提案しました「運動素」。 皆さん、考えを巡らせていただけましたか? 今回は「運動素」の使い方を考えてみます。 確立されている食事の「栄養素」と対比するために、食材の代表格であるお米(ご飯)と、運動の基本的種目であるウォーキングを例として取り上げます。 食事では、「タンパク質」「糖質(炭水化物)」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」などの栄養素という指標で食材を分けて考えることができます。 米という食材は、糖質に分類されますね。 前回、運動素の候補として「筋力」「持久力」「柔軟性」「バラン… もっと読む
第104回 「運動素」一緒に考えよう
「栄養のバランスを考えて食べましょう」。 この言葉を聞くと、当コラムの読者の皆さんは、 「まごわやさしい」 「さあにぎやかにいただく」 などのバランスとバラエティーに富んだ食材が自然に思い浮かぶと思います。 一方、「運動をしましょう」と、勧められるといかがですか。 「歩くのがいいよね」とは思っても、筋トレなどの場合は「どこの筋肉をどのように鍛えればいいのか」と、考え込んでしまい、食事に比べて、具体的なイメージが湧きづらくありませんか? 食事と運動は、「信州メディビトネット健康七箇条」でも、第一条「… もっと読む
第103回 座位時間を減らし歩こう
世界で最も権威のある医学雑誌のひとつである「The Lancet(ザ ランセット)」が2012年の身体活動特集号の中で、身体活動不足は世界的な「大流行」と警告し、健康上の悪影響はタバコと同等で、1年間に全世界で530万人もの人が、身体活動不足が原因で死亡していると報告しました。 さまざまな研究で、身体活動量が多いほど、生活習慣病の発症率や死亡リスクが低いという負の関係性が認められています。 「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、日本人の総歩数は、過去10年間で男女ともに全ての世代で横ばいから減少傾向と、と報告… もっと読む
第102回 体を動かす機会増やして
信州メディビトネット健康七箇条の第二条「楽しく運動を続ける」に入りますが、運動や体づくりといえば、本コラム枠で一緒に連載をしている整形外科医の谷川浩隆先生がご専門です。 谷川先生のコラム「動いて健やかに」の内容と食い違ったことを書いてしまって、読者の皆さんを混乱させてはいけないと考え、スクラップ保管していた谷川先生のコラムを読み直しました。 一貫して、バランスの良い食事と適度な運動が健康づくりに大切であることが書かれており、私と同じ趣旨で安心しました。 普段から医師として患者さんに健康づくりの助言をする際、「○… もっと読む
第101回 体力つけフレイル対策を
2月1日は「フレイルの日」でした。 日付を「201」として「フ(2)レ(0)イ(1)ル」と読む語呂合わせで、日本記念日協会に登録されています。 本コラムでは5年前の第22、23回で初めてフレイルを紹介しました。 この間にずいぶん認識が広まり嬉しい限りです。 しかしまだ聞き慣れない方のために改めて紹介します。 フレイルは、虚弱・老衰を意味する英単語「Frailty」から作られた造語です。 要介護と健康の「中間」を表し、高齢になるにつれ、心身の「余力」が少なくなり、転倒などをきっかけに要介護になる危険性が… もっと読む
第100回 健康づくりの発信今後も
おかげさまで、本コラムの第100回を迎えることができました。 ひとえに、ご愛読いただいた読者の皆さんのおかげです。 心から感謝申し上げます。 がんや脳梗塞など、病気になってから病院を受診し、手術や抗がん剤、リハビリなどで苦労が続く患者さんに数多く接する中で、診察室にいるだけでなく、健康情報を発信して、将来病気で悩む人を1人でも予防したいと考え、「信州メディビトネット」の活動を始めたのがちょうど10年前の2014年2月10日。 市民向け健康講座、信州健康かるた、健康年齢ピックなどの健康啓発イベントを行ってきました。 … もっと読む
第99回 「行動変容」成功のカギは
健康づくりにおいて、食習慣の改善、運動、禁煙など生活習慣の変更を求められることがしばしばあります。 不健康な現状に至った従来の行動パターンを、将来健康な状態へ導く望ましい行動に変えていくことを「行動変容」といいます。 人の行動(生活習慣)が変容するには、 無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期 の5つの段階を通るとされます。 無関心期:自分の問題としてまだ関心がない 関心期:関心を持っているが、まだ先だと思っている 準備期:関心があり準備中 実行期:新しく行動を始めたばかり 維持期:6… もっと読む
第98回 小さな積み重ねを習慣に
年が改まり、新年の目標を立てた方も多いと思います。 朝早く起きる。 歩いて通勤する。 昼食は丼物、麺類単品を避ける。 毎日スクワットを20回行う。 腹七~八分を守る。 深酒を控えるー。 生活習慣目標は高く設定し過ぎない方が始めやすく、小さな成功の積み重ねが大きな自信につながります。 既に以前から適切な健康習慣を実践できている方は、今年も維持・継続をお願いします。 せっかくの誓いが既に3日坊主になっている方もいるかもしれません。 確立されている行動パターンは、その方にとって楽に過ごせる「結果」であるため… もっと読む
第97回 糖尿病治療は合併症予防
本コラム第33回で紹介した「細いしめじと太いえのき」の話を覚えていますか? 糖尿病は痛くないのになぜ治療が必要なのでしょう? 治療の目的はさまざまな合併症を予防するためです。 前回お伝えしました、すい臓がんの他に、大腸がん、肝臓がん、乳がんなど様々ながんになりやすくなります。 実は、糖尿病患者が亡くなる原因の第1位は、血管の病気ではなく、がんなのです。 皆さんがなるべく避けたい認知症に2倍なりやすくなりますし、寝たきりにつながる骨折の危険性も同じく2倍に増加します。 免… もっと読む
第96回 糖尿病予防はがん予防
先日、一人の患者さんが自宅で息を引き取りました。 膵臓がん(膵がん)でした。 最期まで穏やかに家族と共に過ごすことができましたが、膵がんが見つかってから、わずか4カ月弱という急な旅立ちでした。 膵がんは、進行が早いことで知られています。 膵臓を覆う被膜が他の臓器に比べると薄く、がん細胞が膵臓の外に容易に広がってしまうためです。 膵臓の周りには、血管やリンパ管、神経などが集中しており、転移や腹膜播種など広がりやすいため進行がんで見つかることが多いのです。 大きさが1~2㎝を超えると既に転移している可能性… もっと読む