先日、本コラムの経口補水液の記事を読んだ患者さんが、ご自身のエピソードを聞かせてくれました。 小学校の教頭先生であるその方は、ある日、来客を迎えるために校門前で待っていたそうです。 まだ午前9時頃でしたが、とても暑い日で、汗が出るため、熱中症対策として水を飲んだり、塩分タブレットを食べたりして予防していました。 その後、体調は問題なく、昼食も食べました。 ところが午後3時頃、突然両足がけいれんして痛くて動くことができなくなりました。 同僚の先生に、職員室の冷蔵庫にストックしていた経口補水液を持ってきてもらって飲… もっと読む
第130回 経口補水液 脱水症軽度で
前回、経口補水液は、消費者庁から病者用食品として認可を受け、脱水症状の方が「治療」目的に飲むものであって、まだ症状のない段階で「予防」目的に飲むものではないとお伝えしました。 それでは、実際にどのタイミングで飲めばよいのでしょうか?。 経口補水液は、軽度から中等度の脱水症に対して使用できるとされます。 嘔吐や下痢、または暑い環境下や運動などで大量に汗をかいて、水分や塩分が失われると体は脱水状態に陥ります。 その程度は、元の体重からどれだけ体重が減ったかの減少率で分類します。 しかし、正確な元の体重がわからないこ… もっと読む
第129回 「経口補水液」正しい理解を
信州も猛暑、酷暑が続き、皆さんも熱中症(87回参照)対策を心がけていると思います。 暑熱環境や運動によって汗をかいた際に水分を補給する「経口補水液」の最近の話題を紹介します。 経口補水液の普及は、世界保健機関(WHO)がコレラなどによる激しい下痢で、脱水症になった際に、全ての人に静脈点滴を行うことは困難であるため、口から飲む「経口補水療法」を提唱したことが始まりです。 研究の結果、ナトリウムと糖分をある濃度比率にすると小腸での水分吸収率・吸収速度が最も高くなる配合を解明。 その後、日本人向けに改良され、現在では「軽… もっと読む
第128回 上手に摂ろう栄養補助食品
高齢者向け、介護向けの栄養補助食品はドラッグストアや各メーカーのホームページ、インターネットショップ、介護用食品のカタログなどで購入ができます。 高齢者は自分で商品を選んだり、注文したりすることが難しいため、家族が代わりに購入しているようです。 購入時に気をつける点は、栄養ドリンク、エネルギー補給ゼリー、ビタミンゼリー、プロテイン製品など、栄養補助食品に似た、さまざまな商品が販売されていることです。 購入間違いがないように、代表的な液体タイプの商品を紹介します(五十音順)。 アイソカル(ネスレ)、クリミール(森… もっと読む
第127回 高齢者向け栄養補助食品
「信州メディビトネット健康七箇条第二条」の「楽しく運動を続ける」の中で、さまざまな運動や体操を取り上げてきました。 運動をする上で重要なポイントは、第一条「しっかりと理解して食べる」で紹介した「食事」との関連です。 栄養と運動は、健康づくりの上で車の両輪といえます。 体力を維持するためには、必要十分な栄養素が必要ですが、「筋肉のもととなるのはタンパク質です」と知識を伝えても、実際の食事からの摂取量が足りていないと筋肉は増えません。 しかし、加齢に伴って活動量が低下して食欲がわかなくなり粗食になったり、かむ力や飲… もっと読む
第126回 「喉の筋肉」鍛える体操
前回、紹介した基本の嚥下(えんげ)体操に追加するオプションの体操を紹介します。 飲み込みに重要な「喉の筋肉」を鍛えるトレーニングです。 ① おでこ体操 おでこと手のひらで押し合います。 顎を引くと、喉に力が加わりやすくなります。 ② 頭部挙上訓練 寝た姿勢で行います。 頭だけ持ち上げておへそを見て数秒間保持します。 両肩を床から離さないのがポイントです。 もしも気管内に誤嚥した際に、異物をしっかり出すための「咳」をする力を鍛えます。 ③ ブローイング訓練 ペットボトル内の水にストローで、できるだ… もっと読む
第125回 食べ続ける筋力鍛えよう
「健口(けんこう)体操」は、「嚥下(えんげ)体操」とも呼ばれ、各県の行政機関や関連学会、医療機関等が考案し数多く公表されています。 それだけ「食べる」ということが健康維持の基本であり、食べ続けるための筋力を「鍛える」必要があることが知られてきた結果といえます。 今回は、食事前の準備運動編です。 回数は各3~5回ずつが目安です。 ①椅子に座って姿勢を整えます。 ②深呼吸(ゆっくり行います)。 ③肩の運動(前回し、後ろ回し。肩をすくめて下ろす)。 ④首の運動(首の悪い方は無理をせず、前後、左右横倒し、左向き右向き、… もっと読む
第124回 誤嚥に注意 食事も体力勝負
「ご縁」は増やしたいけれど「誤嚥」は避けたい」ーと、願う人は多いと思います。 在宅診療をしていると、しばしば誤嚥性肺炎に出遭います。 痛切に感じることは「食事も体力勝負」だという事実です。 若いうちは何げなく食事を楽しんでいますが、食べるという動作を一つずつ分析すると、かみ砕く、舌で送り込む、飲み込むーの全てで筋力を使っていることに気付きます。 高齢になり全身の筋力が低下する →かむ力や喉の筋力も衰え →かみにくく、飲み込みづらくなる →食事の量が減り、軟らかい物ばかりになる →栄養が不足し、筋力や歯、顎の骨が… もっと読む
第123回 バランス力鍛える運動は
つらい目まいの症状を改善する「前庭リハビリテーション」が近年注目されていると前回紹介したところ、患者さんから、具体的な方法を知りたいという相談がありました。 このコラムでは説明しきれないので「めまい平衡医学会」の前庭リハビリテーションガイドラインを基に公開されている書籍や動画を参考にしてみてください。 ただし、目まい症状が続いて悩んでいる方は一度、耳鼻科に相談してください。 一言で目まいといっても、障害部位や聴力低下といった耳の症状を伴うかなどによって十数種類に分類されます。 中には、目まいのリハビリ効果が少な… もっと読む
第122回 目まいに注目の運動療法
目まいは、外来診療で相談を受けることが多い症状です。 ぐるぐる、ふわふわ、ゆらゆら、くらっとして、気持ち悪く、吐き気を伴うこともあるつらい症状の代表です。 目まいには、急に始まる急性と、繰り返して症状が続く慢性に分かれます。 急性発症の中には、脳卒中などの脳の病気が原因の場合が含まれるため、医療機関に相談してください。 ここでは、慢性的な目まいを取り上げます。 慢性的目まいは、年齢が上がるにつれて起こりやすくなります。 耳の奥の内耳にある三半規管や前庭神経などの機能の衰え、老眼や白内障などによる視力の低下、下肢… もっと読む








