医良人コラム

1月は信州にもインフルエンザの猛威が吹き荒れました。喉元を過ぎていない今こそ感染や予防のおさらいをしましょう。 感染はステップに分けると理解しやすくなります。 ①寒くなり乾燥するとウイルスが活発になる ②感染した1つのウイルスは半日で100万個まで増殖する ③感染して2~3日後に発熱や咳(せき)などの症状が現れ、約1週間ウイルスを排出する④咳やくしゃみにより他の人にうつる。この繰り返しによって爆発的に広がります。 対策は、ウイルスの活動を抑えるため室内の保温と湿度を50%以上を保つこと。人混みに近寄らない、手洗い、… もっと読む

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命、若さ、信用などと同じく、私たちの体にも一度失ってしまうと取り戻せないものがあります。その代表が「神経細胞」と「心筋細胞」です。 この2つは、新しい細胞に生まれ変わるための細胞分裂ができず、同じ細胞が生涯にわたって働き続けるといわれています。 すなわち皮膚や血液などと異なり、神経や心臓は、死んだ細胞を他の細胞が分裂して再生することはできないのです。 リハビリによって死んだ細胞の周りの細胞が働きを補い、「機能」としてはある程度回復しますが、死んでしまった細胞自体が元に戻るわけではありません。 細胞の数は生まれた時点… もっと読む

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人は何で生きているでしょうか? 哲学の命題でも謎掛けでもありません。 人は『血管』によって生きています。 大切な血管についての知識を整理します。 血管は三種類に分けられます。心臓から送り出された血液が通る『動脈』。 動脈は枝分かれを繰返して細くなり、細胞の間を網目のように張り巡らされる『毛細血管』となり、 血液と細胞との間で酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物を交換します。 次第に集まって太くなり『静脈』となり心臓に戻ります。 病気との関連を考えると、細胞に酸素や栄養を届ける動脈と毛細血管が重要です。 なぜなら血液が届か… もっと読む

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健診を受けた方と後日、面談した時の様子です。 1人目は大柄なY男さん。毎年悪玉コレステロール値が高く、減量を勧められています。今回はさらに体重が92㌔から95㌔に増え、他の数値も悪化しています。いきなり指導はせず、まずは理由を聞いてみます。 「テレビでオリーブオイルがコレステロール値を下げると宣伝していたので、2カ月間毎日コップ半分飲んでいました。胃が悪くなっても頑張ったのに…。テレビは正しい説明をせずにひどい!」。 2人目はきゃしゃなT子さん。昨年より体重が2㌔減って43㌔に、タンパク質量は基準値を下回り貧血症状… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスの記事を再掲しています。) 「健康寿命を伸ばしましょう」という言葉を耳にすると思います。 では、どんな病気によって健康寿命が損なわれているかをご存知でしょうか? 孫子の名言「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の通り、戦う前にどの病気(敵)の重要度が高いのかを確認しておくことは、健康づくりの基本といえます。 病気の数は1000を優に超えます。よく見定めないと雑兵との戦いに気を取られているうちに、敵の大将に討ち取られてしまうことになりかねません。   表は2016年度の日本人の「… もっと読む

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前回、不摂生を減らして病気を遠ざけると、人間は120歳まで生きられるかもしれないとお伝えしました。 すると患者さん方から、「体が言うことをきかなくなったら、そんなに長生きをしたくないわ」と感想をいただきました。しかし、命の終わりがいつ来るのかは、医者はもちろん神様にも分かりません。 「寿命」に対して、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を「健康寿命」と呼びます。松本市が全国に先駆けて「健康寿命延伸都市」を宣言してから、この言葉は全国的にも広く知られるようになりました。 長野県の2015年の「… もっと読む

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「寿命」についてのうんちくを少々。 江戸時代の儒学者、貝原益軒は著書「養生訓」で、人の寿命は100歳だが、10人中9人は不養生によって短命となっていると述べています。自身は当時では長寿の85歳まで長生きしました。 早稲田大学を創設した大隈重信は、人は適切な節制をしていれば125歳が天寿であると唱えました。西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、平均寿命が30歳前後だった古代ギリシャ時代に、人の寿命は120歳と説いて、自らも90歳近くまで長生きしたとされています。 この寿命120歳説は他にも多く、旧約聖書には、神は創世… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスの記事を再掲しています。) 健康づくりの核心ともいえる、ほとんどの人が気付いていない大切な事実をお伝えします。それは「不摂生をしない」ことです。 なんだそんなことか、と早合点してはいけません。健康「づくり」や健康「増進」は、体に良いと喧伝(けんでん)する健康食品をとったり、マッサージを受けたりすることで健康にプラスになる「加点方式」ではなく、不摂生をすることで元々持っている健康が失われていく「減点方式」なのです。 人間はもともと体を動かすことが当たり前です。車社会や家にいても買い物がで… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。)   ある日の当直中、「吐血の患者さんです」と連絡が入りました。 救急車が到着後すぐに内視鏡検査を行うと、出血の原因は胃潰瘍でした。 無事に止血処置を終え、84歳のF美さんは輸血をしながら入院になりました。   どうやら関節痛を和らげるために、整形外科で処方された痛み止め薬が胃を刺激したようです。 入院後、関節痛の原因は「痛風」と診断されました。 痛風は食べ過ぎにより「尿酸値」が高くなって起こる男性に多い病気で、女性には珍しいこと… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。) 「かかりつけ医の見つけ方」について質問をいただきまました。 優しく穏やか、気さくで話しやすい、明るくて前向き、人の気持ちが分かり説明上手、幅広い最新治療に通じ真面目で丁寧、清潔で品格がある、腰は低いが頼もしい…。 そんなかかりつけ医だったら毎日でも受診したくなりますね。 しかし、結婚相手に完璧な理想を求めることが難しいように、1人のかかりつけ医に全てを求めるのは酷というものです。 かかりつけ医は、あなたの持病や生活習慣を踏まえて全身の健康管理を担う… もっと読む