医良人コラム

前回、不摂生を減らして病気を遠ざけると、人間は120歳まで生きられるかもしれないとお伝えしました。 すると患者さん方から、「体が言うことをきかなくなったら、そんなに長生きをしたくないわ」と感想をいただきました。しかし、命の終わりがいつ来るのかは、医者はもちろん神様にも分かりません。 「寿命」に対して、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を「健康寿命」と呼びます。松本市が全国に先駆けて「健康寿命延伸都市」を宣言してから、この言葉は全国的にも広く知られるようになりました。 長野県の2015年の「… もっと読む

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「寿命」についてのうんちくを少々。 江戸時代の儒学者、貝原益軒は著書「養生訓」で、人の寿命は100歳だが、10人中9人は不養生によって短命となっていると述べています。自身は当時では長寿の85歳まで長生きしました。 早稲田大学を創設した大隈重信は、人は適切な節制をしていれば125歳が天寿であると唱えました。西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、平均寿命が30歳前後だった古代ギリシャ時代に、人の寿命は120歳と説いて、自らも90歳近くまで長生きしたとされています。 この寿命120歳説は他にも多く、旧約聖書には、神は創世… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスの記事を再掲しています。) 健康づくりの核心ともいえる、ほとんどの人が気付いていない大切な事実をお伝えします。それは「不摂生をしない」ことです。 なんだそんなことか、と早合点してはいけません。健康「づくり」や健康「増進」は、体に良いと喧伝(けんでん)する健康食品をとったり、マッサージを受けたりすることで健康にプラスになる「加点方式」ではなく、不摂生をすることで元々持っている健康が失われていく「減点方式」なのです。 人間はもともと体を動かすことが当たり前です。車社会や家にいても買い物がで… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。)   ある日の当直中、「吐血の患者さんです」と連絡が入りました。 救急車が到着後すぐに内視鏡検査を行うと、出血の原因は胃潰瘍でした。 無事に止血処置を終え、84歳のF美さんは輸血をしながら入院になりました。   どうやら関節痛を和らげるために、整形外科で処方された痛み止め薬が胃を刺激したようです。 入院後、関節痛の原因は「痛風」と診断されました。 痛風は食べ過ぎにより「尿酸値」が高くなって起こる男性に多い病気で、女性には珍しいこと… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。) 「かかりつけ医の見つけ方」について質問をいただきまました。 優しく穏やか、気さくで話しやすい、明るくて前向き、人の気持ちが分かり説明上手、幅広い最新治療に通じ真面目で丁寧、清潔で品格がある、腰は低いが頼もしい…。 そんなかかりつけ医だったら毎日でも受診したくなりますね。 しかし、結婚相手に完璧な理想を求めることが難しいように、1人のかかりつけ医に全てを求めるのは酷というものです。 かかりつけ医は、あなたの持病や生活習慣を踏まえて全身の健康管理を担う… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。) 今年は県内のスポーツ選手の活躍が続いています. 平昌(ピョンチャン)冬季五輪スピードスケートの小平奈緒選手の金メダルも感動的でした。 その小平選手を長年支えているのが結城匡啓コーチです。 2人の関係を、金メダルを目指す小平選手が「健康づくりに取り組むあなた」、小平選手を温かくサポートする結城コーチを「かかりつけ医」に例えてみたいと思います。 コーチが選手のコンディションや到達度を考慮して作る練習法は、かかりつけ医があなたの体調や持病を踏まえて送るア… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。) 寂しいことにサッカーワールドカップ(W杯)が終わってしまいました。 中信地域には松本山雅FCもあり、サッカーファンが多いと思います。 私は幸せなことに2002年日韓W杯決勝戦、ブラジル対ドイツを横浜の競技場で観戦できました。 試合終了後、敗れたドイツのGKオリバー・カーン選手がゴールポストにもたれかかり涙する姿は印象的でした。 サッカーは「連携プレー」が大事といわれます。 選手は自分のポジションの役割をきちんと果たし、仲間と連携してチーム全体の戦力… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載されたものを再掲しています。) 健康づくりに取り組む前に「健康」の大切さを確認しておきましょう。 WHO(世界保健機構)は、健康の定義を「単に病気や虚弱でないということではなく、肉体的、精神的、社会的にすべてが満たされた状態」としています。つまり健康は、偏りのないバランスが取れた状態−と読み取ることができます。 これらは相互に関連もしています。病気が見つかると、入院や痛みによって生活や仕事が制限されてしまい、今日まで続いてきた日常を変えざるを得ない場合があります。 また、自分だけ… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスに掲載した記事を再掲載しています。) 健康の話に入る前に、医療者の団体「信州メディビトネット」を立ち上げた経緯をお話しします。 私は信州大学を卒業後、地域医療に携わりたいと北海道に渡りました。北海道大学附属病院や、オホーツク海沿岸の週に1日、午前中だけ開かれる診療所など大小さまざまな医療機関に勤務し、おのずと内科だけにとどまらない総合診療的な視点が養われました。 北海道は慢性的な医師不足で、しばしば応援診療に呼ばれます。廃坑になって高齢者ばかりが残る町、過疎化が進んで診療所が閉じられた… もっと読む

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(信濃毎日新聞中信版MGプレスの記事を再掲しています。) はじめまして。松本市を中心に地域医療や家庭医療に携わっている小手川直史と申します。 日常診療と並行して、「信州メディビトネット」という医療者(医師や看護師、薬剤師など医療に関わる職種)の団体を運営しています。 この信州メディビトネットは、医療者同士が情報交換や交流活動をするとともに、「長野県に健康を広めよう」を合言葉に、県や市町村と一緒に地域向けの健康講座を開催したり、県民向けの健康情報を発信するホームページ「信州健康の森 まんまる◎広場」を運営しています。… もっと読む