医良人コラム
24/9/2

第103回 座位時間を減らし歩こう

世界で最も権威のある医学雑誌のひとつである「The Lancet(ザ ランセット)」が2012年の身体活動特集号の中で、身体活動不足は世界的な「大流行」と警告し、健康上の悪影響はタバコと同等で、1年間に全世界で530万人もの人が、身体活動不足が原因で死亡していると報告しました。

さまざまな研究で、身体活動量が多いほど、生活習慣病の発症率や死亡リスクが低いという負の関係性が認められています。

「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、日本人の総歩数は、過去10年間で男女ともに全ての世代で横ばいから減少傾向と、と報告されており、12年前のランセットの報告時より、身体活動不足による健康への悪影響はさらに増していることが予測されます。

同調査での全世代平均総歩数は、1日当たり6,278歩(男女、年代別は下記表参照)です。

 

これを基に健康日本21(第3次)で令和14年までの目標に掲げた歩数は男女とも20歳~64歳は1日8,000歩、65歳以上は同6,000歩です。

今はスマートフォンにも歩数計機能が付いているのでそれを使うのもいいですね。

また、日本人は世界一の「座り過ぎ」国民であると耳にしたことがあると思います。

「座位行動時間」とは、デスクワークや車移動で座って活動したり、テレビやスマートフォンを寝転んで見たりする時間です。

日本人は座って活動する時間が平均7時間。

世界の同5時間を大きく上回っています。

この時間が4時間未満の群よりも、11時間以上の群では死亡率が40%も高くなり、座っている時間が長いほど死亡リスクが高まるという結果です。

春が近づいています。

立ち上がって外に出かけてみましょう。

(2023年4月2日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)