今回のテーマは、肩凝りのお悩みは、運動で解決しましょうーです。 外来診療でも肩凝りに悩む患者さんは非常に多く、ひどいと筋緊張型頭痛や吐き気を伴って、生活や仕事に支障が出る方もいます。 肩や首の後ろの「凝り」の悩みの根本対策は、前回の膝痛と同様、筋力トレーニングが最も効果的です。 肩こりの発症原因を分析してみます。 第一に、人間は大脳が発達しているため、頭部の重さは5~6㎏あります。 人間は垂直に立ち、その頭の重さを細い首が支えてバランスを取り続けているため、首や首の付け根の肩部分には常に負担がかか… もっと読む
第109回 膝痛体操で筋肉鍛えて
前回、病気の予防や症状の改善に運動療法は「百薬の長」であると紹介しました。 例えば膝痛。 膝関節の軟骨がすり減って狭くなり、O脚に変形する変形性膝関節症は女性に多く、原因は加齢、体重、生活、仕事、出産歴などの複合要素が重なりますが、最も大きな原因の一つは筋力の衰えです。 女性の方が男性より膝周りの筋力が弱いため、膝関節がぐらぐらして安定しません。 これは目に見えるほどぐらつくのではなく、足を動かした際の関節の細やかなずれや長年の負担の積み重ねが次第に大きくなり、やがて変形につながります。 O脚が進むと、荷重が膝の内… もっと読む
第108回 運動は「百薬の長」
「運動療法」という言葉が示すように、運動によって発症を予防できたり、症状を改善できたりすることが証明されている病気は多数あります。 糖尿病、高血圧、脂質代謝異常(高コレステロール血症、高中性脂肪血症など)の「三大生活習慣病」をはじめ、肥満に関連するメタボリックシンドロームや脂肪肝の改善効果はよく知られています。 運動することで体の血流が良くなるため、動脈硬化対策にもなりますし、認知症、不眠症、うつ病などの脳や精神面の疾患にも、予防や改善効果が認められています。 がんについても、運動の活動量が多い人ほど… もっと読む
第107回 無理せず継続が「力」に
皆さん、四股を踏みましたか? 前回のコラムで、四股の最後に横綱土俵入りを思い浮かべ、低い姿勢から両足をにじらせ、せり上がることをお勧めしました。 私もやってみて気付きましたが、この動作は下半身全体の筋肉が鍛えられます。 四股を左右1回ずつ踏んで、せり上がりを1回。 これを4(し)、5(こ)セット、MGプレスの読後にさっそく挑戦してみましょう! ただし、急に運動をしてけがをしないようにお願いします。 運動を行うにあたっての注意点を確認しましょう。 • 持病や体調、天候(気温湿度など)に気を付ける。 • 適宜水分や… もっと読む
第106回 効果“横綱”相撲の「四股」
皆さん「運動素」という言葉になじんでこられましたか? 前回、バランスの良い食事と同様に、運動も「筋力」「持久力」「柔軟性」「バランス力」「瞬発力」などの多様な運動素を取り入れることを提案しました。 しかし、毎日3度の機会がある食事とは異なり、運動は「始めるぞ」と自らを奮い立たせないと機会をつくれませんし、複数の運動を行う時間はなかなか取れません。 そこで単一の運動で、短時間で効率よく、健康づくりの効果が高い運動種目の“横綱”は何かと考えてみました。 運動の基本ウォーキングや、「キングオブトレーニング」… もっと読む
第105回 食事も運動もバランスよく
前回提案しました「運動素」。 皆さん、考えを巡らせていただけましたか? 今回は「運動素」の使い方を考えてみます。 確立されている食事の「栄養素」と対比するために、食材の代表格であるお米(ご飯)と、運動の基本的種目であるウォーキングを例として取り上げます。 食事では、「タンパク質」「糖質(炭水化物)」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」などの栄養素という指標で食材を分けて考えることができます。 米という食材は、糖質に分類されますね。 前回、運動素の候補として「筋力」「持久力」「柔軟性」「バラン… もっと読む
第104回 「運動素」一緒に考えよう
「栄養のバランスを考えて食べましょう」。 この言葉を聞くと、当コラムの読者の皆さんは、 「まごわやさしい」 「さあにぎやかにいただく」 などのバランスとバラエティーに富んだ食材が自然に思い浮かぶと思います。 一方、「運動をしましょう」と、勧められるといかがですか。 「歩くのがいいよね」とは思っても、筋トレなどの場合は「どこの筋肉をどのように鍛えればいいのか」と、考え込んでしまい、食事に比べて、具体的なイメージが湧きづらくありませんか? 食事と運動は、「信州メディビトネット健康七箇条」でも、第一条「… もっと読む
第103回 座位時間を減らし歩こう
世界で最も権威のある医学雑誌のひとつである「The Lancet(ザ ランセット)」が2012年の身体活動特集号の中で、身体活動不足は世界的な「大流行」と警告し、健康上の悪影響はタバコと同等で、1年間に全世界で530万人もの人が、身体活動不足が原因で死亡していると報告しました。 さまざまな研究で、身体活動量が多いほど、生活習慣病の発症率や死亡リスクが低いという負の関係性が認められています。 「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、日本人の総歩数は、過去10年間で男女ともに全ての世代で横ばいから減少傾向と、と報告… もっと読む
第102回 体を動かす機会増やして
信州メディビトネット健康七箇条の第二条「楽しく運動を続ける」に入りますが、運動や体づくりといえば、本コラム枠で一緒に連載をしている整形外科医の谷川浩隆先生がご専門です。 谷川先生のコラム「動いて健やかに」の内容と食い違ったことを書いてしまって、読者の皆さんを混乱させてはいけないと考え、スクラップ保管していた谷川先生のコラムを読み直しました。 一貫して、バランスの良い食事と適度な運動が健康づくりに大切であることが書かれており、私と同じ趣旨で安心しました。 普段から医師として患者さんに健康づくりの助言をする際、「○… もっと読む
第101回 体力つけフレイル対策を
2月1日は「フレイルの日」でした。 日付を「201」として「フ(2)レ(0)イ(1)ル」と読む語呂合わせで、日本記念日協会に登録されています。 本コラムでは5年前の第22、23回で初めてフレイルを紹介しました。 この間にずいぶん認識が広まり嬉しい限りです。 しかしまだ聞き慣れない方のために改めて紹介します。 フレイルは、虚弱・老衰を意味する英単語「Frailty」から作られた造語です。 要介護と健康の「中間」を表し、高齢になるにつれ、心身の「余力」が少なくなり、転倒などをきっかけに要介護になる危険性が… もっと読む