医良人コラム

昔、アメリカのハンバーガー店の経営者に「なぜ味を濃くするの?」と尋ねたところ、「清涼飲料水が売れるようになるから」と答えたそうです。   資本主義経済の競争の中では、顧客の健康よりも経営が優先されることはしばしばあります。 日本でも、外食店や弁当、加工食品など、味が濃い商品が多いのが現状です。 「濃い味対策」に取り組んでいる先進的な事業者も増えていますが、売り上げへの影響を心配して、踏み出せない事業者も多いと思われます。   イギリスの場合です。 主食のパン生地には塩が練り込まれます。 調査の結… もっと読む

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「ハイリスクアプローチ」と「ポピュレーションアプローチ」という言葉をご存じですか?   血圧と脳卒中の関係を例に解説します。 ハイリスクアプローチは、高血圧で脳卒中を起こす危険度が高い(ハイリスク)人に、個別に指導や投薬をして予防する対策。 一方、ポピュレーションアプローチは「住民・人口」を意味するポピュレーションという単語が使われている通り、住民全体への集団対策になります。 私が患者さんと1対1で高血圧診療を行うのがハイリスクアプローチ。 本コラムを書いたり、「信州健康かるた大会」を開催したりするのがポ… もっと読む

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高血圧が引き起こす心臓の病気を紹介します。 心筋梗塞 心臓自身を栄養する血管を冠(状)動脈と呼びます。 冠動脈が動脈硬化で細くなり詰まると、その血管が栄養している範囲の心筋が壊死します。 一度死んでしまった心筋細胞は再び生き返ることはありません。   不整脈 心臓は1カ所から起こった電気信号が心臓全体に伝わった後、一斉にそろって拍動します。 心臓の壁に高い圧力が続くと傷が付きます。 この傷ついた細胞が電気刺激を発すると不整脈が起きます。 本来と別の場所から電気刺激が起きると、心臓はそろって拍動することがで… もっと読む

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本コラム第75回を読んだ患者さんが、「塩分の過剰摂取→体内の塩分濃度を一定にするため塩が水を引き寄せて体の水分が増える→血液量も増える→たくさんの血液を押し出すため血圧が上がる」という理屈が分かって、「塩分を控える気持ちが湧いた」と言ってくれました。 さらに続きがあります。 血圧が高いと、血管は圧力に抵抗して次第に硬くなります。 「動脈硬化」の始まりです。 「弾力(しなやかさ)が失われると圧力を吸収できなくなるため、さらに血圧が上がる→硬くなろうと動脈の壁が厚くなる→内腔が狭くなる→細い動脈を押し通して、臓器に血液… もっと読む

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遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 1975年生まれの私は今年、年男です。 これまでの人生を、干支のうさぎの跳躍と、三段跳びに例えて12年ごとに振り返ってみました。 0歳から小学校を卒業する12歳までは、人生を走り出す前の「準備体操」期間でした。 ケガをしないように、毎日楽しく体と心を伸ばしていました。 24歳で信州大医学部(松本市)を卒業するまでは「助走」期間にあたりました。 比較的まっすぐ走ることができたと思います。 そして、社会に飛び出す最初の跳躍「ホップ」を踏み切りました!   … もっと読む

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本コラム第77回で、家庭血圧の平均値が135/85以上が、高血圧の基準であることを紹介しました。       「え!?上の血圧は年齢プラス90じゃないの」という方もいるかもしれません。       それは30年以上前の、しかも根拠のない数字です。 その時代には、医師がそれぞれの経験や考え方によって治療をしており、ばらつきの大きさが問題でした。 そこで、専門家が集まって、世界中の研究成果を検討して現在の標準的な治療法を示す「診療ガイドライン」が作成されるよう… もっと読む

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本コラム69、70回目で紹介した『信州健康かるた=写真=配布プロジェクト』ですが、無事に松本、安曇野、塩尻市、朝日、山形、麻績、筑北、生坂村の小学校、幼保育園、児童センター、こども食堂へ配布を終えましたのでご報告をさせていただきます。 「子どもたちが楽しく繰り返し遊びながら、自然と健康知識を身に付けて、健やかに成長してほしい」と願って、2019年に信州メディビトネットが市民や子どもたち、医療者、医学生、ボランティアなど1000人以上の協力を得て「信州健康かるた」を製作しました。 今回、かるたの印刷・配布費用は、寄付… もっと読む

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冬が近づき寒くなると、血管も縮こまって細くなるため血圧が上昇する季節です。 「寒くなりましたね。最近の自宅での血圧はどのくらいですか?」 「待合室で看護師さんに測ってもらったら145の90でした」 「今朝、家での血圧は135の80でした」 よくある診察室での会話です。 しかし、いずれも医師が期待している答えではありません。   どうしてか分かりますか?   血圧には「診察室血圧」と「家庭血圧」の2種類があります。 診察室血圧とは、医療機関で測定してもらう血圧、家庭血圧は、自宅の家庭血圧計で測… もっと読む

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内陸の長野県では、食料保存のため塩文化が発展してきました。 塩尻市など、塩にまつわる地名も多く見られます。   2016年の国民調査で、長野県男性の1日の食塩摂取量は11.8gで全国第3位、女性は10.1gで堂々の第1位でした! 味が「濃い」ことには、皆さま「うすうす」お気付きと思います。   塩分や血圧と関連の深い脳血管疾患は、日本人の死因第4位、要介護の原因第2位です。 その他にも、心疾患、慢性腎臓病(血液透析)、認知症など死因・要介護の原因上位に、塩分が大きく影響をしています。 前向きに考… もっと読む

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健康のため取り過ぎに注意するべき食材の代表「塩」に注目します。     塩は、国内に4300万人もいるとされる「高血圧」と関連が深いためです。 魚や野菜に塩を振りかけると、水分が出てきますね。 塩は水を引き寄せる力があります。 同様に食事で塩分を取り過ぎると、体内に水分を引き寄せます。 水分が増えると血液量も増えます。 心臓はたくさんの血液を送り出すため、強く拍動しなくてはならず、結果として血圧が高くなるのです。     血圧にどのくらいの力があるか、想像してみましょう。… もっと読む