医良人コラム
24/6/1

第97回 糖尿病治療は合併症予防

本コラム第33回で紹介した「細いしめじと太いえのき」の話を覚えていますか?

 


糖尿病は痛くないのになぜ治療が必要なのでしょう?

 

治療の目的はさまざまな合併症を予防するためです。

 

前回お伝えしました、すい臓がんの他に、大腸がん、肝臓がん、乳がんなど様々ながんになりやすくなります。

実は、糖尿病患者が亡くなる原因の第1位は、血管の病気ではなく、がんなのです。

皆さんがなるべく避けたい認知症に2倍なりやすくなりますし、寝たきりにつながる骨折の危険性も同じく2倍に増加します。

免疫力が低下するため、肺炎やぼうこう炎、歯周病などの感染症にかかりやすく、かつ重篤化しやすくなります。

 

そして本命の動脈硬化の合併症の頭文字が、冒頭の「しめじとえのき」です。


長年の高血糖によって、動脈硬化が進行して「細い」血管が徐々に詰まったり破れたりすると「しめじ」の合併症が現れます。

し=神経症、め=(目の)網膜症、じ=腎症です。

足先などの末梢神経がしびれたり、失明したり、血液透析になったりと日常生活に大きな支障を伴います。

 

「太い」血管は「えのき」の合併症を起こします。

え=壊疽(えそ)、の=脳梗塞・脳出血、き=狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患です。

中でも下肢壊疽は、糖尿病の合併症が集約されています。

足先の末梢神経障害によって感覚が鈍いため、小さなけがなどに気付きにくく、潰瘍ができます。

また、白癬(はくせん)菌による水虫が悪化しやすく、その皮むけなどから皮膚に細菌が感染して化膿(かのう)します。

さらに動脈硬化によって血流が悪いため栄養や酸素が届かず、傷が治りづらく、ついには下肢を切断しなくてはなりません。

しかし、血流が悪いと手術の傷も治りきらずまた壊疽となり、再び切断ーと、悪循環に陥ります。

しめじやえのきは、おいしく食べるだけにとどめましょう。

 

(2023年12月19日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)