医良人コラム
24/5/1

第95回 過去より将来を見据えて

前回からの続きです。

2型糖尿病の「インスリン抵抗型」は、インスリンの血糖を下げる作用に抵抗する環境が体内に生まれた人たちです。

インスリンは分泌されているのですが、効果が弱まっているため血糖値が下がりづらくなり、糖尿病を発症するタイプです。

原因は、肥満と過食でしたね(93回参照)。

脂肪細胞からインスリンの働きに抵抗する物質がつくられるためと、高血糖が続くことで「糖毒性」と呼ばれるインスリンの効果が低下した状態になるからです。

高血糖が続いている糖尿病の方の治療を開始し、数週間、血糖値の良い状態が続くと、さらに血糖値は下がり、薬を減らすことができることがあります。

私たち医療者は「糖毒性が解除された」と喜びます。

このまま、適切なカロリーの食事と減量を続けてもらえれば、インスリン注射や薬の内服をやめることができる人もいます。

しかし、生活習慣病の恐ろしいのは、長年染み付いた生活習慣に徐々に逆戻りする人の方が多いというところです。

生活習慣病は、心筋梗塞や脳卒中を起こすまで苦しんだり、まひが出たりしないため、今後も大丈夫ではないかと気が緩むのでしょう。

また、血液検査の結果を説明している際に、患者さんがよく使うフレーズがあります。

「以前は血糖値が400もあった」「最初はHbA1cが15もあった」などです。

現在の結果は、目標値には達していなくても、以前と比べると今の数値はだいぶ良いと、自分を許してしまうのです。

これは他の生活習慣病の方にも共通しており「前は上の血圧が200もあった」「中性脂肪が1000だった」「尿酸値10を超えていた」「γGTPが4桁だった」など、過去の偉大な記録(?)と比べてしまい、将来の達成すべき目標値を見失うのです。

この記事を読まれた方はぜひ、過去よりも将来を見据えてもらえるとうれしいです。

 

(2023年11月7日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)