前回、病気の予防や症状の改善に運動療法は「百薬の長」であると紹介しました。
例えば膝痛。
膝関節の軟骨がすり減って狭くなり、O脚に変形する変形性膝関節症は女性に多く、原因は加齢、体重、生活、仕事、出産歴などの複合要素が重なりますが、最も大きな原因の一つは筋力の衰えです。
女性の方が男性より膝周りの筋力が弱いため、膝関節がぐらぐらして安定しません。
これは目に見えるほどぐらつくのではなく、足を動かした際の関節の細やかなずれや長年の負担の積み重ねが次第に大きくなり、やがて変形につながります。
O脚が進むと、荷重が膝の内側ばかりにかかり、より変形が加速します。
この進行を止めるには大本となる膝のぐらつきを少なくする他はありません。
その有効策は、膝周りの筋力を鍛える膝痛体操(イラスト参照)です。
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がっちりと安定した膝になると、変形の進行や痛みが軽減します。
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膝痛対策としてストレッチをお勧めしている体操もありますが、あくまでも筋力を鍛えないと、膝のぐらつきは抑えられないため、充分な効果は期待できません。
膝痛体操は、膝のぐらつきが減るため、鎮痛効果も期待できます。
鎮痛剤を内服するのと同じくらい痛みの程度が減るという研究結果もあります。
充分な効果が現れるには3カ月ほどかかりますが、私の患者さんの中にも、この体操を継続して痛みが軽くなったと言っている人もいます。
鎮痛剤や湿布、注射、マッサージなどの受け身の治療法は、鎮痛効果は期待できますが、膝のぐらつきは治りません。
あくまでも自分で能動的に行う膝痛体操が唯一の対策です。
(2024年7月23日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)