医良人コラム
25/6/1

第121回 ヒートショックの予防策

今回は「ヒートショック」の予防策です。


まず寒さ対策。

廊下、脱衣所、浴室を暖かく、なるべく温度差を少なくします。

目安は18度以上。

これは、WHO(世界保健機関)が推奨している温度です。

ヨーロッパでは住宅に関する法令で、冬の室温を18度以上に保つようにと、きちんと定められている国もあるそうです。

家の中が寒いと健康や生命に悪影響を及ぼすことが認識されているからです。

日本でも、夏に比べて冬の死亡率がどれだけ増えるかを都道府県別に比較すると、沖縄県に並んで北海道が低いという結果でした。

北海道は、冬の室温が全国一高いため、ヒートショックを予防出来ていることが分かります。

私も北海道に住んでいた頃は、真冬でも半袖で過ごしていました。

入浴時には、シャワーの湯気などで浴室を暖めておく、廊下、脱衣所、トイレ、寝室なども暖房します。

暖房効率を高めるための断熱リフォーム工事の補助金もあります。

健康と安全のために活用しましょう。

次に血圧低下予防です。

血管が拡張すると血圧が下がります。湯船に浸かって血管が緩みすぎない目安は、41度以下の湯に、10分以内です。

血管内のボリュームが減っても、血圧は下がります。

食後すぐは、消化のために胃腸に血液が集まり、血圧が低下しやすい状態です。

飲酒後は、血管も拡張し、利尿作用で血管内のボリュームも減っているため非常に危険です。

温泉地近くの病院に勤務していたとき、宴会で飲み食いをした後に入浴して溺れたと、救急搬送される方がたくさんいました。

入浴は汗もかくため、入浴前後の水分摂取を心がけてください。

もし、浴槽内で意識がもうろうとした場合には、湯を抜いてしまいしょう。

浴槽から出る際には、何かにつかまりながら、ゆっくり立ち上がり、もし立ちくらみがしたら横になり、頭と心臓を同じ高さにします。

 

(2025年2月25日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)