今から100年前の1918~20年に世界中に感染が広がったインフルエンザは通称「スペインかぜ」と呼ばれ、
一説では、死者数は全世界で4000万人に達し、第一次世界大戦の終戦にも影響したと言われるほどの猛威でした。
日本でも当時の人口5700万人の4割が感染し、39万人が亡くなりました。
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現代にはインフルエンザの予防接種があります。
厚生労働省は、接種によって高齢者では発病を34~55%、死亡を82%阻止する効果があり、
6歳未満の小児の発病阻止率は60%と紹介しています。
現在の日本のインフルエンザ感染者は年間推定1500万人前後ですが、
もし誰も予防接種を受けなければどうなるでしょう?
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予防していた人の分だけ感染者が増えるのではありません。
増えた感染者がさらに複数人にうつします。
すなわち接種の「見えない効果」で、数百万~数千万人の感染を「予(あらかじ)め防いで」いるのです。
「数千円払って接種したのに患ってしまったので次からは受けない」という人がいます。
気持ちは分かります。
しかし接種には「集団免疫」という考え方が基本にあります。
会社など集団の中で、免疫を持っている人の割合が高いほど、
その集団内での流行が抑えられ、結果として自分自身へ感染する確率が低下します。
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また、インフルエンザワクチンには重症化を予防する効果もあり、
特に高齢者や心臓、肺、腎臓などに持病のある人、小児、妊婦など、
免疫力が弱く悪化しやすい人たちは積極的な接種が推奨されています。
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予防接種をなるべく多くの人が受けることで、自分と周りの大切な人を守る。
これが予防接種の本来の目的なのです。
ワクチンの効果が出るまで約2週間かかります。
早めにかかりつけ医に相談してください。
(2019年10月29日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)