前回、血糖値の過去1~2カ月間の平均値を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が重要であり、6.5%を超えると糖尿病の可能性が高いことを覚えました。 この値が6.0~6.4%の人は、将来糖尿病に進行する可能性が高く、正式ではありませんが「糖尿病境界型」や「糖尿病予備軍」と呼ばれています。 日本では糖尿病型と境界型は、それぞれ約1千万人ずついると推計され、境界型の段階で気付いて、早期に対策を始めることが大事になります。 前回、進行した糖尿病でも自覚症状が乏しい例を紹介しましたが、糖尿病の代表的な自覚… もっと読む
第90回 チャットGPTに相談
「チャットGPT」が話題です。 高度な人工知能(AI)が、インターネットを介して、私たちと文章で会話(チャット)をしてくれるサービスです。 例えば「チャットGPTとは何ですか?」と質問を入力すると、数秒で自然な日本語で答えてくれます。 2022年11月に公開された無料版は、わずか2か月間で世界中のユーザー数が1億人を突破したそうで、現在さまざまな企業が提携し、活用法を模索しています。 参考にしている元データが21年9月までのため、新しい出来事には対応していませんし、元々、インターネット上の情報を統合し… もっと読む
第91回 血糖値の変化 なだらかに
血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の関係を描いてみました。 薄い緑色の曲線は、健康な方の1日の血糖値の推移を表します。 食事をすると上昇し、食後1時間前後でピークを迎え、その後徐々に低下して2~3時間後に元に戻ります。 この血糖値の波の1~2カ月間の平均値が、濃い緑色の直線が表すHbA1cです。 薄い黄色の曲線は、糖尿病の方の血糖値の推移です。 朝食前の空腹時から、高い位置にあります。 そして、糖尿病の方は血糖値を下げるインスリンの働きが弱まっているため、同じカロリーの食事を… もっと読む
第92回 血糖値上げる伏兵「間食」
食事の他にも血糖値を上げる強力な伏兵がいます。 「間食」です。 朝食後のひと仕事を終えて、「さて一服」と、菓子を食べると、食後の血糖値が下がりきる前に再上昇し、昼食を食べるとさらに上がります。 食後の休憩中に友達が遊びに来て、おしゃべりをしながら、おやつをつまむと血糖値はまたまた一段と高くなり、家族で夕食を囲んだ後に、テレビを見ながらとどめの夜食を食べる頃には、血糖値は最高値に達します。 この事象には、もう一つ大事なポイントが隠れています。 糖尿病の人は健康な人に比べると、膵臓の働きが低… もっと読む
第93回 病型に分かれる糖尿病
「糖尿病」という名称が変わるかもしれません。 尿に糖が出なくても血糖値が高い糖尿病の方もいるため、病態を正確に表していないという意見や、患者さんアンケートで病名に「尿」という排せつ物が含まれている点、怠惰な生活をしていると誤解されがちな負のイメージを持たれやすいーなどの意見を基に議論が始まったところです。 糖尿病の原因は大きく5つあり ①1型糖尿病 ②2型糖尿病(インスリン分泌低下型) ③2型糖尿病(インスリン抵抗型) ④膵臓手術後や他の疾患の影響による糖尿病 ⑤妊娠糖尿病です。 ④⑤の解説は省略… もっと読む
第94回 膵臓をいたわった食事を
1型糖尿病の発症原因は、自己免疫説が有力です。 ある日、自分の体内で自分の膵臓を攻撃してしまう「自己抗体」がつくられるようになってしまいます。 なぜ自己抗体をつくるようになるのかは、まだ分かっていませんが、発熱などの風邪症状の後に1型糖尿病を発症する人がいるため、ウイルス感染症が一つのきっかけと考えられています。 ウイルス自体が膵臓を攻撃することもあれば、風邪のウイルスをやっつけるためにつくられた抗体が、間違って膵臓を攻撃してしまうと推測されています。 思春期に発症する人も多く、インスリンが枯渇するため、生涯にわた… もっと読む