前回、血糖値の過去1~2カ月間の平均値を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が重要であり、6.5%を超えると糖尿病の可能性が高いことを覚えました。
この値が6.0~6.4%の人は、将来糖尿病に進行する可能性が高く、正式ではありませんが「糖尿病境界型」や「糖尿病予備軍」と呼ばれています。
日本では糖尿病型と境界型は、それぞれ約1千万人ずついると推計され、境界型の段階で気付いて、早期に対策を始めることが大事になります。
前回、進行した糖尿病でも自覚症状が乏しい例を紹介しましたが、糖尿病の代表的な自覚症状は「多尿、口渇、多飲」です。
血糖値が180㎎/dL以上に上昇すると、尿に糖が漏れ出るようになります(糖尿病の病名の由来です)。
尿中の糖が増えると尿の浸透圧が高くなり、尿が濃くなります。
すると濃い尿を薄めようとして尿の水分量が増えます(多尿)。
水分が尿として体外に出て、体内の水分量が減るため喉が渇きます(口渇)。
渇きを潤すため水分が欲しくなり、飲み物をたくさん飲みます(多飲)。
飲み物は、甘い清涼飲料水には特に注意が必要です。
コーラ500mlには57g、同じ量のスポーツドリンクには25.5gの砂糖が入っています。
砂糖大さじ1杯は約9gですので、コーラ500mlには、大さじ6杯もの砂糖が溶けています。
喉が渇いたからと、清涼飲料水を飲めば飲むほど血糖値は上昇し、尿糖が増え、「多尿→口渇→多飲→高血糖」の悪循環が止まらなくなります。
高血糖によって体内の浸透圧が狂ったり、多尿によって体内の脱水が進んだりすると昏睡に至る例もあり「ペットボトル症候群」と呼ばれます。
暑さで喉が渇くことも多い時期ですが、多尿、口渇、多飲の自覚症状が気になる方は、血液検査や尿検査を受けてみることをお勧めします。
(2023年7月25日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)