どんな病気
麻疹(ましん)は、一般的には「はしか」と呼ばれます。
麻疹ウイルスの感染によって起こる急性の発熱と発疹(ほっしん)をともなう感染症です。
感染力が非常に強く、症状も、ウイルス感染症の中でもとくに重症となり、現在でも治療薬はありません。
予防接種がまだなくて、医療環境も整っていなかった戦後には、麻疹によって年間数千人の死亡者が出ていました。
さらに江戸時代までさかのぼると「命定め」呼ばれるほど恐れられていました。
肺炎や髄膜炎などの合併症を起こすことも多く、現在でも乳幼児が感染すると死亡することがある疾患です。
麻疹ワクチンの予防接種を2回行うことによって、感染を予防することができます。
麻疹ワクチンの普及のおかげで、日本での患者数は激減しています。
2015年にはWHO(世界保健機構)により、麻疹の排除状態にあることを認定されていました。
しかし国際化に伴って、海外からウイルスが流入し、散発的に流行が発生しています。
1歳になったら必ず早めに予防接種を受けましょう。
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原因
麻疹ウイルスに感染することで発症します。
麻疹ウイルスは空気感染で感染するため、飛沫感染(咳やくしゃみ)のインフルエンザウイルスよりも感染力がはるかに高く、1人の患者さんから10人以上の人にうつしてしまうといわれています。
二回の予防接種や、一度感染して発症すると、生涯にわたって免疫は持続します。
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症状
経過
潜伏期:8日~12日間
無症状の時期
カタル期に移行する数日前から、他人への感染力はあります。
カタル期:3~4日間
• 38度前後の発熱
• かぜのような症状:咳、鼻水、くしゃみなど
• 倦怠感、小児では不機嫌
• 結膜炎症状:目の充血、目やに、光をまぶしく感じるなど
この時期に口の中に白い斑点(コプリック斑)が確認できると、全身の発疹がでる前に麻疹の発症を予測できます。
発疹期:4~5日間
• いったん解熱した後、39度以上の高熱とともに発疹が現れます。
• 赤い発疹で、癒合(発疹どうしがくっつく)することが特徴です。
発疹は耳の後ろや顔から出始めて、上半身から下半身へと広がって、2日程で全身に広がります。
発疹や発熱は1~2週間ほど続きます。
「町医者の家庭の医学 みやけ内科・循環器科 はしか(麻疹)の詳しい説明と他の写真」より引用
• 乳幼児では下痢や腹痛を伴うことも多くみられます
肺炎や髄膜炎、中耳炎などを合併することがあり、機嫌や全身の具合の観察が大切です。
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検査
コプリック斑や発疹、症状、流行状況から複合的に判断します。
血液検査
麻疹ウイルスの抗体を検査することがあります。
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治療
安静と水分補給が大切です。
薬物療法
麻疹ウイルスに効果のある抗ウイルス薬はありません。
熱や痛みをおさえるアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使用します。
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ホームドクターからのアドバイス
予防接種
麻疹の効果的な予防方法は、麻疹ワクチンの予防接種です。
• 麻疹にかかったことがない
• 過去にワクチンの接種を受けたことがない、ワクチン接種をしたかわからない
• 麻疹ワクチンを1回しか受けたことがない
以上の方は、医療機関で「抗体検査」を受けて、抗体がなかった場合にはワクチンを接種しましょう。
子供
麻疹ワクチンは定期予防接種で受けることができます。
1歳になったらなるべく早く接種を受けることが大切です。
• 第1期 1歳児
• 第2期 小学校就学前の1年間
平成18年(2006年)より2回の定期接種に変更されました。
そのため、平成12年(2000年)4月1日生まれまでの方は、1回のみの接種です。
しかし、平成2年(1990年4月2日)生まれ~平成12年(2000年4月1日)生まれまでの方は特例措置が実施され、2回目のワクチンの追加接種が可能でしたので、既に2回接種している可能性があります。
ご不明な方は一度ご自身の母子手帳をご確認いただくか、予防接種を受けた自治体にて確認ができます。
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妊婦
生ワクチンですので、妊娠中は受けることができません。
風疹ワクチンと一緒に、妊娠前に計画的に予防接種を受けておきましょう。
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緊急接種
もし抗体を持っていない人が麻疹患者さんと接触をした場合には、生後6か月以降であれば接触後72時間以内に、ワクチン接種を行うことによって、感染を予防できる可能性があります。
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登園・登校停止について
麻疹(はしか)にかかった場合には、流行を防ぐために、解熱後3日間を経過するまでは出席停止になります。
くわしくは、お役立ち情報:「登園登校出席停止の目安」をご確認ください。
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もっと調べる
参考リンク
○ 日本医師会 健康の森 病気をチェック! 麻しん(はしか)
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初診に適した科
小児科、内科、皮膚科
感染を広げないためにも、流行期などで、感染が疑わしい時には、場所や時間をずらして診療を受けることが大切です。
医療機関にあらかじめ電話をして、対応を相談して下さい。
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頼りになる病院
まずはお近くのかかりつけ医の先生にご相談ください。
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