どんな病気
食道は、長さ約25cmの筒状の喉から胃の間をつないでいる臓器です。
口から胃へ食物を送る働きをしています。
胃は袋状で、食道と小腸の間に位置し、食道を通って入ってきた食物を貯蔵、消化、殺菌する働きをしています。
胃の中で胃液と混ぜ合わせられて消化、殺菌された食物は、小腸へ送り出されます。
この食道にできた悪性の腫瘍を「食道がん」、胃にできた悪性の腫瘍を「胃がん」といいます。
食道がんは濃度の高いアルコールを多飲する方に多く見られます。
胃がんは、ピロリ菌との関連がわかってきました。
胃がんは男性でのがんの罹患率(生涯にがんになる確率)は、全がんの中で1位で、男性の9人に1人がなるとても多いがんといえます。
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原因
危険因子
症状
食道がん
早期のがん
ほとんどのがんは初期には無症状です。
進行がん
• 食道がつかえる感じ、つまる感じ
• しみる感じ、胸部痛、背部痛
• 食事量が減ると、体重減少
• 声のかすれ
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胃がん
早期のがん
ほとんどのがんは初期には無症状です。
進行がん
• 胃の痛み
• 吐き気や不快感、膨満感
• 胸やけ、げっぷ
• 食欲低下、体重減少
• 黒色便:出血によって便に血が混じって、便が黒くなるため
• 貧血:出血が続いた場合
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検査
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
病変の位置や大きさなどを観察します。
胃X線検査でがんなどが疑われた場合の精密検査としても行われます。
• 染色検査
組織に染色液をかけて、粘膜を染色することでより詳しく検査をします。
• 生検検査(病理検査)
がんが疑われる場所の組織を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
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バリウム造影検査
バリウムを飲んで、X線で撮影します。
病変の範囲や、食道の狭さなどの全体像を調べます。
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CT、超音波、MRI検査
周辺の臓器へのがんの広がりや、転移の有無を検査します。
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腫瘍マーカー
血液検査の一項目です。
食道がん:SCC
胃がん:CEA、CA19-9
初期のがんでは上昇しません。
進行がんでも上昇しないことも多く見られます。
進行がんの治療効果の判定や、再発や転移などを調べるときに検査されます。
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治療
基本は手術療法になりますが、食道癌では抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせた治療法でも高い治療成績が得られています。
手術でも、抗がん剤と放射線療法の組み合わせでも、それぞれの長所、短所があります。
主治医の先生とどの治療法を選択するかをよく相談しましょう。
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腫瘍の切除
• 内視鏡的切除
一部の早期がんの場合、内視鏡を用いて腫瘍を切除できることがあります。
• 手術
内視鏡的切除の適応でない場合は、腹腔鏡手術や開腹手術によって切除します。
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化学療法(抗がん剤など)
抗がん剤を用いてがん細胞を傷つけて、小さくする治療法です。
点滴薬や内服薬を使用するため、それぞれの薬剤特有の全身の副作用がでます。
とくに胃がんでは抗がん剤だけでは完全に治すことは難しいため、効果と副作用の両方のバランスがとれて、日常生活に負担が少なく、うまくがんと付き合うことができる薬剤を選択することが大切です。
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放射線治療
放射線を照射してがん細胞を傷つけて小さくする治療法です。
周囲の正常組織の細胞も影響を受けるため、副反応が問題になります。
治療機器の進歩によって、なるべくがん細胞だけに焦点が集まるように工夫されています。
食道癌ではよく行われます。
胃がんではあまり用いられることはありません。
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ホームドクターからのアドバイス
がんは早期発見ができると、適切な治療を受けることで完治が期待できます。
とくに胃がんは、男性でのがんの罹患率(生涯にがんになる確率)は、全がんの中で1位です。
しかし、ピロリ菌と胃がんの関係がわかり、除菌療法を行うことで将来の発がんを予防をすることができます。
また早期の段階では内視鏡手術で、負担が少なく完治することができます。
いっぽうどのがんでも、早期がんの段階では自覚症状はほとんどありません。
症状の有無にとらわれずに、定期的に健康診断やがん検診を受けるようにしましょう。
胃がんでは50歳以上の方に2年に1回の検診を受けることが進められています。
(参考)日本医師会健康の森 胃がん検診
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食道がんは取り決めはありませんが、胃がん検診といっしょに胃カメラ検査で確認できます。
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食道がん検診、胃がん検診
• 内視鏡検査(胃カメラ検査)
胃の中の小さな病変を直接見つけることが可能です。
• 胃ABC検診
血液検査で、ピロリ菌が感染しているかと、胃の弱り具合を反映するペプシノーゲンという消化酵素の量との組み合わせによって、胃がんになりやすいグループかどうかを判定します。
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セカンドオピニオン
主治医の先生以外の医師の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいます。
現在は標準的治療法と呼ばれるガイドラインが普及をしているため、治療方針には、それほど大きな違いは少ないと思われますが、各医療機関の設備や経験数、得意分野などによっては、方針が異なることもあります。
納得して治療を受けるためにも、情報収集のためにも、悔いを残さないためにも、セカンドオピニオンの利用を考えてみても良いでしょう。
(参考)国立がん研究センター セカンドオピニオン
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緩和ケア
緩和ケアと聞くと、「積極的な治療はもう終わりだ」「主治医から見放された」と、とらえる方も多くいらっしゃると思いますが、今はそのようなことはありません。
がんに伴う不快な症状を少しでも軽く「緩和」して、負担をより少なく、日常生活を過ごしていくために、緩和ケアがあります。
不快な症状を軽くすることで、より積極的に、がんの治療に取り組めるため、現在ではがんと診断されて、治療が始まる早期の段階(下図B)から、緩和ケアと関わるようになってきています。
(参考)国立がん研究センター 緩和ケア
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「国立がん研究センター がん情報サービス」より引用
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参考リンク
○ 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス
□胃がん
□それぞれのがんの解説
○ 日本消化器外科学会
○ 日本医師会 がんに関するページ
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