どんな病気
乳がんは、乳房の中の乳腺にできるがんです。
症状が現れにくく、発見が遅れるケースが多いがんです。
しかし、乳がんは自分でセルフチェックをしたり、乳がん検診を受けることで比較的簡単に見つけることができます。
早期に発見ができれば、治癒率も高いがんです。
乳がんは、30歳から増加をはじめて、50歳代前後にピークとなります。
乳がんは女性がかかりやすいがんの第1位で、生涯のうち11人に1人がかかるといわれています。
全国でおよそ90,000人の人が乳がんに罹患していて、女性のがん全体のうち約20%を占めます。
そして、年間14,000人以上の人が乳がんによって亡くなっています。
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原因
食事の欧米化やライフスタイルの変化にともなって、体格やホルモンが変化したことによって、日本の乳がんの増加につながったと考えられています。
また、乳がんの発生や成長には女性ホルモン(エストロゲン)が関わっていることがわかっています。
エストロゲンが分泌されている期間が長いと乳がんができやすくなります。
<エストロゲンが多く分泌される原因>
• 初潮年齢が早い、閉経年齢が遅い
• 出産経験や授乳経験が少ない、高齢出産
• 経口避妊薬(ピル)を使っていたことがある
• 月経困難症や更年期障害などで、ホルモン補充療法の経験がある
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<その他考えられる主な原因とリスク>
• 遺伝(肉親に乳がん患者がいる)
• 肥満
• 食生活の欧米化(高蛋白、高脂肪の食事)
• 喫煙、飲酒
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乳がんの分類
乳がんの90%は乳腺内の乳管から発生する「乳管がん」です。
乳腺の小葉から発生する乳がんは、「小葉がん」と呼ばれます。
この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多くはありません。
日本医師会ホームページ より引用
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症状
乳房に痛みやしこりがある場合には、良性疾患と悪性疾患(乳がん)の両方が考えられます。
乳がんの早期発見のためにも、定期的に乳がん検診を受けるとともに、自己検診を行って、自分の乳房の状態を知っておくことが大切です。
乳がんの発見につながる主な症状
1.しこり
乳がんのもっとも代表的な症状が、乳房のしこりです。
大体1センチほどの大きさになると、セルフチェックでも気づくことができます。
しかし、しこりのすべてが乳がんではありません。
むしろ9割が乳腺症などの良性の病気です。
ほとんどの場合には、痛みはありません。
痛みをともなうものは乳腺症の可能性が高いといわれています。
乳がんのしこりは「硬く、表面がごつごつして、境界がはっきりせず、動きにくい」のが特徴です。
しかし、触っただけでは良性か悪性かの区別がつかないことも多く、一度は医療機関を受診してきちんと検査を受ける必要があります。
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2.乳頭からの異常分泌
しこりと並んで多い症状が、乳首からの分泌物です。
中でも、乳白色や黄色ではなく、血液の混じった色が多く見られます。
片側からだけの分泌である点もポイントです。
特定の乳管口から出ている場合には、より可能性が高まります。
このような症状は、初期の乳がんであるサインの場合が多いために、すみやかに受診をしましょう。
非常に似た疾患に「乳管内乳頭腫」がありますが、こちらは良性疾患です。
見分けることは難しいことも多く、手術によって最終診断をすることもあります。
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3.えくぼ症状や皮膚の変化
がん細胞が皮膚の近くにできると、周辺の組織を引き込むために、乳房の一部がえくぼのようにくぼむことがあります。
その場合には、えくぼのできている部分にしこりがある場合がほとんどです。
良性疾患では、えくぼができることはあまりないため、思い当たる症状のある人はすぐに受診をしてください。
【乳がんの発生部位】
がんの基本 より引用
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検査
視診、触診
皮膚の変化、乳房に触れて、しこりの有無や大きさ、わきの下のリンパ節のはれなどを調べます。
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乳房撮影(マンモグラフィー)
乳房専用のレントゲン検査です。
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超音波検査、CT検査、MRI検査
がんの大きさや、周辺の臓器への広がり、転移の有無などを検査します。
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穿刺(せんし)吸引細胞診、針生検、外科的生検(病理検査)
乳房のしこりから組織の一部を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
採取した組織で、ホルモン受容体、HER2、Ki67などを検査します。
治療法の選択方針に重要になります。
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腫瘍マーカー(CA15-3、CEA、NCC-ST-439)、血液検査で測定します。
治療の効果判定や、再発時の判定などに用いられます。
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治療
乳がんに対する治療法は、外科療法・放射線療法・薬物療法の大きく3つに分類されます。
基本は手術療法が選択されます。
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1.外科的療法
以前は、乳房を全摘出する手術が多く行われていましたが、近年は切除する範囲が小さくなっています。
病変部とその周辺部だけを取り出して、術後に放射線治療や薬物療法などをおこなう「乳房温存療法」が、乳がんにおける全手術の約半数を占めるといわれています。
ただし、乳がんが広範囲にわたっている場合や、複数のしこりが存在している場合などは、全摘出手術が選択されます。
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2.放射線療法
がん細胞にX線を照射することで、増殖を抑える治療法です。
乳がん治療における放射線療法は、効果が高いことが知られています。
体の外部を中心に照射をするために、放射線の合併症も少ないといわれています。
また、転移が危惧されるリンパ節に対して予防的に照射したり、骨や脳などの遠い部位での転移が認められる部位へ照射することもあります。
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3.薬物療法
手術後の補助療法や、すでに遠隔転移をしていて手術ができない場合などに選択されます。
がん細胞が、ホルモンの影響によって増殖するタイプの場合には、ホルモン療法が選択されます。
その他にも、いわゆる抗がん剤を用いることもあります。
がん細胞と同時に、正常な細胞も傷つけてしまうため副作用がでてしまいます。
いずれの治療法も担当医から十分な説明を受けて、納得できる治療法を選択することが大切です。
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ホームドクターからのアドバイス
セルフチェック
乳がんは主要ながんの中で、唯一セルフチェックができるがんです。
早期に発見するためにも、ぜひ入浴前などに定期的にチェックをしてみましょう。
自分でできる乳がんチェックとして、最も広くおこなわれているのが、しこりを探す方法です。
月経開始から一週間前後の時期が乳腺のはりが少なく、最適です。
くまなく丁寧に探すことが大切です。
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観察:鏡の前で腕を上げた状態と下げた状態でそれぞれ行います。
色、ひきつれ、くぼみ、分泌液の有無など
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触診:仰向けに寝ておこないます。
腕をあげて、乳房やわきの下のリンパ節などがふれないかを触ります。
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乳腺疾患(良性)との見分け方
<しこりの見分け方>
• 乳がんのしこりとの大きな違いは「痛み」です。
乳腺症リンクや乳腺炎リンクのしこりは触ると痛いものが多く、とくに乳腺炎リンクでは強い痛みを感じます。
乳がんの場合はあまり痛みを感じません。
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• しこりの硬さで見分けることもできます。
乳腺炎のしこりはやや弾力がありますが、乳がんのしこりは固いことが多く、いびつだったり、周囲がひきつっていることもあります。
乳房にしこりや痛みがある場合には、良性の乳腺疾患と乳がんとの判別が大切になります。
症状が似ていこともあるため、自分で安易に判断することは禁物です。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関で診察を受けましょう。
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乳がん検診を受けましょう!
定期的にセルフチェックを行っていても、乳がん検診によって乳がんが見つかることはしばしばあります。
症状の有無にとらわれずに、定期的にがん検診を受けるようにしましょう。
40歳以上の女性は二年に一度の乳がん検診を受けることがすすめられています。
乳がんは早期に発見して適切な治療が行われれば、良好な経過が期待できます。
日本では乳がんの死亡率は上昇傾向ですが、乳がん検診が進んだ他の先進国では、死亡率が低下しています。
その差は、他の国と比べて、乳がん検診の受診率が低いためです。
各市区町村で行われている乳がん検診は、対象年齢や費用などさまざまです。
検診費用に補助がある場合もあります。
また、がん検診推進事業では、年度ごとに対象者を決めて無料クーポンを配布しています。
配布内容については、各市区町村で異なります。
詳しくは、お住まいの市区町村へお問い合わせください。
乳がん検診については以下のサイトもご参照ください。
日本医師会健康の森 乳がん検診
国立がん研究センター 乳がん検診のすすめ
和食中心の食生活を
もともと日本女性にはごく少なかった乳がんが年々増え、今では女性のもっとも多いがんとなった背景には、食生活の変化があります。
動物性脂肪や乳製品を中心とする欧米型の食事によって、乳がんの増加につながっていると考えられています。
野菜の多い和食を中心とした食事がおすすめです。
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閉経後の体重管理はしっかりと
閉経後に一気に体重が増えた女性では、乳がんの発症リスクが高まることがわかっています。
閉経後はもちろん、閉経前の女性も肥満は万病のもとになりますので、体重管理はしっかりと行いましょう。
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セカンドオピニオン
主治医の先生以外の医師の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいます。
現在は標準的治療法と呼ばれるガイドラインが普及をしているため、治療方針には、それほど大きな違いは少ないと思われますが、各医療機関の設備や経験数、得意分野などによっては、方針が異なることもあります。
納得して治療を受けるためにも、情報収集のためにも、悔いを残さないためにも、セカンドオピニオンの利用を考えてみても良いでしょう。
参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院
セカンドオピニオン
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緩和ケア
緩和ケアと聞くと、「積極的な治療はもう終わりだ」「主治医から見放された」と、とらえる方も多くいらっしゃると思いますが、今はそのようなことはありません。
がんに伴う不快な症状を少しでも軽く「緩和」して、負担をより少なく、日常生活を過ごしていくために、緩和ケアがあります。
不快な症状を軽くすることで、より積極的に、がんの治療に取り組めるため、現在ではがんと診断されて、治療が始まる早期の段階(下図B)から、緩和ケアと関わるようになってきています。
国立がん研究センター がん情報サービス より引用
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参考リンク
〇 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス
乳がん
それぞれのがんの解説 乳がん
初診に適した科
乳腺外科、婦人科、外科
頼りになる病院
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