信州大学 腎臓内科 監修
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死亡の原因疾患 第8位(腎不全)
どんな病気
腎臓は血液中の老廃物を尿として体の外に出す働きをしています。
腎臓の働きが健康な状態の約30%未満になると『腎不全』と呼ばれます。
慢性的に腎不全が進行して、体内に老廃物が溜まると、倦怠感や食欲低下、嘔吐、頭痛などの自覚症状が出現します。
老廃物を除去するために、腎代替療法(血液透析や腹膜透析)が導入されます。

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透析患者数は339,841 人(2018年末)、毎年約41,000人ずつが新規導入されています。
2018年時点で日本人の372.1人が透析療法を行っています。
(「Ⅱ.2018年日本透析医学会統計調査報告書 調査結果と考察」https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2018/pdf/01.pdfより)
透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。
「血液透析」は人工腎臓の機械を使う方法で、慢性腎不全の治療の主流となっています。
ダイアライザーと呼ばれる濾過装置に血液を通して濾過し、腎不全などで衰退した腎機能を補います。
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腎臓の主な機能
・老廃物の排出
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・身体の水分量や様々な成分量の調整
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・赤血球および血圧調整ホルモンの生成
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腎臓の機能が低下すると、身体中に老廃物が溜まり尿毒症になるため、尿毒素を取り除くために透析が必要となります。
治療
血液を体外に送り出し、人工腎臓(ダイアライザー)と呼ばれる濾過装置に通して血液をきれいにし、腎不全などで衰退した腎機能を補います。
ダイアライザーの中で、血液と透析液が半透膜を介して接することで、
体の中に溜まった尿毒素が捨てられ、体に不足している物質が補われます。
ダイアライザーの中で、血液と透析液が半透膜を介して接することにより、体の中に溜まった尿毒素が捨てられ、体に不足している物質が補われます。
・回数:2~3回/週
・時間:4~5時間/回
血液透析の仕組み
① 前腕などに、手術で動脈と静脈をつなぎ合わせたシャント血管を作成する
② 血液を体外へ排出させ、人工腎臓(ダイアライザー)を通過させることで、
□血中の老廃物や余分な水分を除去し、濾過した血液を体内へ戻す
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「国立循環器病研究センター 循環器病情報サービスホームページ」より引用
シャントとは
血液透析を行う際に、血液を多量に体外に導き出す必要があります。
1分間に200mL以上の血液を体外へ流す必要があり、通常の静脈では不可能なため、
シャントという特殊な血液回路を外科的に腕や手に造ります。
動脈と静脈を体内(皮下)で直接つなぎ合わせた太い血管を造ります。
動脈と静脈をつなぎ合わせることで、静脈の中に勢いの良い動脈血が流れ込み、透析に必要な血液量を確保できます。
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ホームドクターからのアドバイス
シャントについて
シャントは透析を続けていくうえで必要不可欠です。
シャントを長持ちさせるために、
シャントの閉塞や感染などを予防する必要があります。
・シャント部分を毎日観察し、朝夕2回は耳を当てて音を確認する
・感染しないように、常に清潔を保つ
・日常生活の中ではシャント側の腕に負担をかけないように気を付ける
・シャント側の腕を体の下にして寝ない、
・シャントをたたいたり物に強くぶつけない、
・シャントの側の腕で重いものを持たない
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予防について

・糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病は、
□慢性腎不全になる危険を高めます。
□これらの病気がある場合は、治療をしっかりと行ない、生活習慣の改善に努めましょ□う。
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・たばこは全身の動脈硬化を促進させて腎臓の動きを悪くするだけでなく、
□狭心症・心筋梗塞、脳梗塞を高率に起こす危険性が高いことが知られています。
□病気を進行させないためにも、たばこはやめましょう。
・慢性腎臓病は、自覚症状がないまま進行していきます。
□健康診断の尿検査で、蛋白尿や血尿を指摘されたら、
□かかりつけの医師や近くの医療機関に相談しましょう。
・透析療法は週3回、1日3~5時間かかり、心身や生活上の負担が大きいものです。
□また透析患者さんの一人の医療費は年間に約500万円もかかる言われています。
個人でも社会全体でも慢性腎臓病の知識を知って、予防や早めの治療が大切です。
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参考リンク
○ 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 腎不全 血液透析について
○ 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなしシリーズ 腎臓病と透析治療
○ 一般社団法人 全国腎臓病協議会
初診に適した科
腎臓内科
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