信州大学 腎臓内科 監修
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死亡の原因疾患 第8位(腎不全)
どんな病気
『慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)』とは、
数ヶ月~数年かけて腎臓の働き(機能)が徐々に悪化していくさまざまな腎臓病の総称です。
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腎臓は体内の老廃物を尿として排泄したり、私たちの体内のバランスを保っています。
腎臓が正常時の約60%未満までしか機能しなくなり、尿たんぱくや尿潜血の排泄が3か月以上続く場合に『慢性腎臓病』と診断されます。
CKD(Chronic Kidney Disese)とも呼ばれます。
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患者数は約1330万人、成人の約8人に1人が発症している疾患です。
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(厚生労働省「腎疾患対策検討会報告書」平成30年7月)
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000332759.pdf
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初期に自覚症状はなく、症状が自覚される頃にはかなり進行した状態になっています。
糖尿病や高血圧など生活習慣病との関連が大きいため、
健康診断を定期的に受けることが勧められます。
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腎機能が健康な状態の約30%未満に低下すると『腎不全』と呼ばれます。
末期腎不全では腎代替療法(血液透析や腹膜透析)が導入されます。
透析患者数は347,474人(2022年末)、2021年まで緩やかに増加傾向でしたが、2022年は前年比2,226人の減少に転じました。
2022年時点で日本人の359人に1人が透析療法を行っています。
(「Ⅱ.2022年日本透析医学会統計調査報告書 調査結果と考察」https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2022/pdf/01.pdf より)
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原因
腎臓は血液をこし取って尿として排泄する臓器ですので、血管がとても豊富です。
そのため、動脈硬化が進行すると腎機能低下の原因となります。
慢性腎臓病の原因の半数以上は、動脈硬化を起こす糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病が原因です。
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最も多い原因は糖尿病の合併症である糖尿病性腎症です。
慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)や高血圧により引き起こされる腎硬化症なども原因として多くみられます。
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症状
• 初期には自覚症状がありません。
• 病気が進行すると、
□頭痛
□むくみ(浮腫)
□倦怠感
□吐き気
□食欲低下
□息切れ
□貧血
□などの症状が現れてきます。
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検査
血液検査
腎臓の働きを確認します。
腎機能が低下すると、クレアチニンや尿素窒素の値が上がります。
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GFR(糸球体濾過量)
老廃物を尿中に排出する能力はクレアチニンを利用した計算式『推算糸球体濾過量(eGFR)』の値で判断します。
eGFRが60未満の状態が3か月以上持続すると慢性腎臓病と判断します。
参考:eGFRの自動計算器
CASIO KEISAN
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尿検査
尿にたんぱく質や血液が漏れ出ていないかなどを検査します。
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超音波(エコー)検査
腎臓の状態を検査します。
多くの場合、腎臓が小さく、硬くなっている様子がみられます。
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治療
食事療法
腎不全の進行に合わせて、医師や管理栄養士の指導により、塩分や蛋白質、カリウム、水分量などの摂取制限を行います。
◆塩分:1日3g以上6g以下を目標にします。
減塩の注意点と工夫例
• しょうゆやソースなどは計量して小皿に分けて入れ,直接つけて食べる
• うま味のある食品を使う(しいたけ、昆布、かつおだしなど)
• 香辛料や薬味を利用する
• 酸味を利用する(レモン汁、酢の物など)
• 旬のものや新鮮な食材を用いて食材の味をいかす、加工食品はなるべく使わない
• 煮物などは食塩を無駄なく利用するために、
□□片栗粉を使ってとろみをつけると食べやすい
◆たんぱく質:eGFRが44以下では標準体重当たり0.6~0.8g/日が
□□□□□□□推奨されています。
□□□□□□□例)標準体重が60kg → 36~42⇒48g
出典「日本腎臓学会 慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」
◆カリウム:1日1500mg以下に制限します。
出典「日本腎臓学会 慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」
(参考)文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
水分の摂取
進行度により、尿量に合わせた飲水量の制限も行います。
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薬物療法
腎臓の機能を回復させる薬はありませんが、腎機能の低下によって起きる症状や、高血圧、蛋白尿を減らすことで進行を遅らせたり、合併症を予防する目的などで使用します。
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透析療法
腎機能が10%以下になったり、高カリウム血症や尿毒症、心不全などの症状が内服薬でコントロールできなくなると、透析療法や腎臓移植による治療が必要になります。
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ホームドクターからのアドバイス
予防について
• 一度低下した腎臓の機能を回復させることは現代の医学ではできません。
□腎臓は傷めないように予防をして、大事に守る臓器だと覚えてください。
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• 動脈硬化を起こす生活習慣病対策が、慢性腎臓病予防の一番効果的な対策です。
□これらの持病がある場合は、治療をしっかりと行い、
□生活習慣の改善に努めましょう。
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• たばこは全身の動脈硬化を促進させて腎臓の動きを悪くするだけでなく、
□狭心症・心筋梗塞、脳梗塞を高率に起こす危険性が高いことが知られています。
□病気を進行させないためにもたばこはやめましょう。
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• 慢性腎不全は、自覚症状がないまま進行していきます。
□健康診断の尿検査で、蛋白尿や血尿を指摘されたら、
□かかりつけの医師や近くの医療機関に相談しましょう。
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• 透析療法は週3回、1日3~5時間かかり、心身や生活上の負担が大きいものです。
□また透析患者さんの一人の医療費は年間に約500万円もかかる言われています。
個人でも社会全体でも慢性腎不全の知識を知って、予防や早めの治療が大切です。
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参考リンク
○ 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなしシリーズ 腎臓病の食事療法
○ キッセイ薬品工業株式会社ヘルスケア事業部 腎臓病の食事について
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腎臓内科
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