どんな病気
膵臓は胃の後ろ側で、背骨との間に位置しています。
消化酵素である膵液の分泌と、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンの分泌が主な働きです。
この膵臓の膵管細胞からできた悪性の腫瘍が「膵臓がん」です。
「国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス 膵臓がん」より引用(胃をのぞいた図)
すい臓がんが他の臓器のがんと異なる特徴
① 臓器としては小さいため、超音波や、CT検査で、小さな段階のがんを見つけることが難しい。
② 臓器を覆う被膜がないために、がん細胞がすぐに周りの臓器に広がったり、転移をしやすく進行が速い。
③ 抗がん剤の効果があまり高くない。
以上の理由によって、進行がんになった段階で見つかることが多いため、命にかかわることが多く、膵臓がんは罹患率(病気にかかる率)は低いものの、死亡率は男性で5位、女性で4位と肺、胃、大腸の三大がんにつぐ死亡率の高さとなっています。(2015年)
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原因
危険因子
• 喫煙 ×3倍
• 大量飲酒
• 家族歴:親や兄弟などの家族に膵がんの人がいる ×4.5倍
• 糖尿病 ×2倍
※糖尿病発症後1~2年以内に膵臓がんが発見されることがあるため定期的に検査を受けましょう。
• 慢性膵炎 ×6倍
• 肥満 ×2~3倍
• 膵嚢胞 ×22倍
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症状
早期のがん
ほとんどのがんは初期には無症状です。
進行がん
• 腹痛、腰痛、背部痛
• 体重減少、消化不良
• 黄疸:膵頭部にできた腫瘍によって胆管が詰まると黄疸がでる
• 糖尿病の発症、悪化
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膵臓がんと糖尿病
膵臓がんと診断されるまえに糖尿病を発症しているケースが多くあります。
初めて糖尿病が見つかった場合や、急に悪化した場合には膵臓がんではないかをきちんと検査を受けましょう。
慢性膵炎の症状も膵臓がんとよく似ています。
また、慢性膵炎自体が膵臓がんの発症の原因にもなるため、定期的な検査が大切になります。
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検査
CT、超音波、MRI検査
周辺の臓器へのがんの広がりや、転移の有無を検査します。
超音波は、空気を通過することができないため、胃の後ろに位置する膵臓は、検査が苦手な臓器と言えます。
CTでは造影剤を使用するとより診断精度が高まります。
MRIは嚢胞性腫瘍や膵管の拡張、胆管との関係などを調べる際に利用されます。
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腫瘍マーカー
血液検査で測定します。
膵臓がん:CEA、CA19-9、DUPAN-2、Span-1
初期のがんでは上昇しません。
進行癌でも上昇しないことも多く見られます。
進行がんの治療効果の判定や、再発や転移などを調べるときに検査されます。
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内視鏡検査
内視鏡を使って、膵管に造影剤を注入して、膵管の状態を検査します。
膵管内の細胞を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる病理検査も行えます。
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治療
手術
手術ができるかどうかが完治を目指す点で大切になります。
しかし、手術できる段階で見つかることは、膵臓癌がんでは難しいのが現状です。
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化学療法(抗がん剤など)
抗がん剤などを用いてがん細胞を傷つけて、小さくする治療法です。
点滴薬や内服薬を使用するため、それぞれの薬剤特有の全身の副作用がでます。
とくに膵臓がんでは抗がん剤だけでは完全に治すことは難しいため、効果と副作用の両方のバランスがとれて、日常生活に負担が少なく、うまくがんと付き合うことができる薬剤を選択することが大切です。
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放射線治療
放射線を照射してがん細胞を傷つけて小さくする治療法です。
周囲の正常組織の細胞も影響を受けるため、副反応が問題になります。
治療機器の進歩によって、なるべくがん細胞だけに焦点が集まるように工夫されています。
膵臓がんでは化学療法と組み合わせて、効果を高めるために用いられることがあります。
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黄疸に対する治療
黄疸が続くと肝臓の働きが低下したり、詰まった胆汁に感染を起こすことがあります。
うっ滞した胆汁を体外に排泄する「胆道ドレナージ」と呼ばれる処置を行います。
皮膚と肝臓を通して、カテーテルを挿入して、からだの外に胆汁を排出する外瘻ドレナージと、内視鏡を使用して、十二指腸に胆汁を排出させる内瘻ドレナージの大きく二つの方法があります。
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ホームドクターからのアドバイス
膵臓がんは糖尿病の発症や悪化が診断のきっかけとなることも多いために、新たに糖尿病がみつかった方や糖尿病が急に悪化された方は、膵臓がんの検査を受けましょう。
がん検診
どのがんでも、早期がんの段階では自覚症状はほとんどありません。
とくに膵臓がんの場合には、自覚症状が出た段階では、進行がんとなっていることが多いため、症状の有無にとらわれずに、定期的に健康診断やがん検診を受けるようにしましょう。
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セカンドオピニオン
主治医の先生以外の医師の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいます。
現在は標準的治療法と呼ばれるガイドラインが普及をしているため、治療方針には、それほど大きな違いは少ないと思われますが、各医療機関の設備や経験数、得意分野などによっては、方針が異なることもあります。
納得して治療を受けるためにも、情報収集のためにも、悔いを残さないためにも、セカンドオピニオンの利用を考えてみても良いでしょう。
(参考)国立がん研究センター セカンドオピニオン
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緩和ケア
緩和ケアと聞くと、「積極的な治療はもう終わりだ」「主治医から見放された」と、とらえる方も多くいらっしゃると思いますが、今はそのようなことはありません。
がんに伴う不快な症状を少しでも軽く「緩和」して、負担をより少なく、日常生活を過ごしていくために、緩和ケアがあります。
不快な症状を軽くすることで、より積極的に、がんの治療に取り組めるため、現在ではがんと診断されて、治療が始まる早期の段階(下図B)から、緩和ケアと関わるようになってきています。
(参考)国立がん研究センター 緩和ケア
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「国立がん研究センター がん情報サービス」より引用
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参考リンク
○ 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス
□膵臓がん
□それぞれのがんの解説 膵臓がん
○ 日本消化器外科学会
○ 日本医師会 がんに関するページ
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