どんな病気
慢性胃炎は、長期にわたって胃の粘膜の炎症が持続している状態で、主な原因はピロリ菌の長期感染です。
ピロリ菌感染による慢性胃炎の経過中に約5%の方に胃がんが発生するといわれています。
ほとんどの慢性胃炎は無症状であるため、健康診断ではじめて見つかることもよくあります。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)
ピロリ菌は、胃粘膜に生息する3-5ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)程度の細菌です。
免疫力の弱い幼少期の感染がほとんどで、除菌しなければ生涯にわたって感染が持続します。
慢性胃炎のほかに、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの患者さんはこのピロリ菌に感染していることが多くみられます。
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原因
主な原因はピロリ菌の感染です。
その他に塩分過多や喫煙、加齢が関係します。
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症状
• 胃もたれ、胃部不快感
• 膨満感、げっぷ
• 食欲不振
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自覚症状がない場合も多くみられます。
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検査
内視鏡検査
胃の状態を検査します。
ピロリ菌検査
吐いた息から調べる方法(尿素呼気試験)や血液検査(ピロリ菌抗体)、便中抗原検査、内視鏡の際に胃粘膜組織を採取して調べる方法などがあります。
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治療
ピロリ菌の除菌
• 一週間薬を内服することによりピロリ菌を除菌します。
• 副作用で、下痢、味覚異常、蕁麻疹、肝障害などを起こす可能性があります。
• 除菌治療終了後、4週間以上あけて尿素呼気試験などでピロリ菌を除去できたかどうかを確認します。
• 一次除菌で効果が認められない場合、薬を変更して二次除菌を行います。
• 一次除菌と二次除菌を合わせた成功率は9割以上です。
薬物療法
自覚症状を伴う場合には、胃酸分泌抑制薬(胃酸の分泌を抑える薬)や消化管運動調節薬(胃腸の運動やはたらきを整える薬)などを服用します。
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ホームドクターからのアドバイス
ピロリ菌
ピロリ菌の感染
• 5歳以下の幼少期に感染して、一度感染すると多くの場合、胃の中に住みつづけます。
幼少期の感染については保菌している大人から子への家庭内感染が疑われています。
• 大半は抵抗力の弱い乳幼児期に感染するため、赤ちゃんにうつさないためにも妊娠、子育てが始まる前に祖父母も含めた家族みんなでピロリ菌検査を済ませておくと安心です。
• ピロリ菌に感染すると、炎症が続きます(慢性萎縮性胃炎)が、症状のない人がほとんどです。
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ピロリ菌の除菌療法
• ピロリ菌を除菌しない場合は一年以内に約半数が胃潰瘍を再発すると言われていますが、除菌が成功した場合は再発率は1/10まで低下します。
• ピロリ菌の除菌療法が成功しても、それまでのダメージの蓄積から胃がんなどを発症する可能性があるため、除菌後も定期的な内視鏡健診が必要といわれています。
• 除菌を成功させるために、指示された薬は必ず服用しましょう。
• 服用中は禁煙して、アルコールの摂取は避けましょう。
• 除菌療法後、胸やけがする場合があります。主治医に相談しましょう。
• 一部のヨーグルトや緑茶など、ピロリ菌抑制に効くとされる食品の宣伝がありますが、いずれも除菌には至りません。
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参考リンク
○ 長野県医師会 けんこうの小径 わたくしたちの健康読本 ヘリコバクター・ピロリ
○ 日本ヘリコバクター学会 H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医一覧
○ 武田薬品工業株式会社 ピロリ菌のお話.jp
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消化器内科、内科
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