胃潰瘍・
十二指腸潰瘍

どんな病気

胃潰瘍とは、胃液中の胃酸やペプシン(たんぱく質を分解する酵素)の作用によって、胃の粘膜が深く傷ついた状態のことをいいます。

発生部位により胃潰瘍、十二指腸潰瘍と呼ばれます。

症状は無症状から激しい痛みを伴うものまでさまざまです。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の多くで「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染がみられ、近年ではピロリ菌を除菌することにより根治が可能です。


「日本医師会ホームページ 知って得する病気の知識」より引用

原因

• ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染

• 非ステロイド系抗炎症薬などの薬剤や健康食品の影響

喫煙や飲酒

• ストレス

• 食生活の乱れ


「日本医師会ホームページ 知って得する病気の知識」より引用

症状

• みぞおちの痛み:
胃潰瘍では食後十二指腸潰瘍では空腹時にみられることが多い

• 背中の痛み

• 吐き気、嘔吐、胸やけ、腹部膨満感

• 食欲不振

• 血管が傷つくと吐血や下血などがみられます。

• 悪化すると胃や十二指腸の壁に穴が空いてしまうこともあります。

検査

内視鏡検査

胃の状態を検査します。

 

ピロリ菌検査

吐いた息から調べる方法(尿素呼気試験)や血液検査(ピロリ菌抗体)、便中抗原検査、内視鏡の際に胃粘膜組織を採取して調べる方法などがあります。

 

血液検査

貧血の有無や、他に病気がないかなどを検査します。

治療

非ステロイド性抗炎症薬などの影響の場合は、やめることができる薬の服用を中止します。

出血がない場合:薬物療法

胃酸を抑える薬、胃の粘膜を保護する薬などを服用します。

 

出血がある場合:手術(内視鏡的止血)

内視鏡使って出血部分に、止血剤の注射やクリップ、レーザーなどで破れた血管の止血治療を行います。

 

ピロリ菌の除菌

• 一週間薬を内服することによりピロリ菌を除菌します。

• 副作用で、下痢、味覚異常、蕁麻疹、肝障害などを起こす可能性があります。

• 除菌治療終了後、4週間以上あけて尿素呼気試験などでピロリ菌を除去できたかどうかを確認します。

• 一次除菌で効果が認められない場合、薬を変更して二次除菌を行います。

• 一次除菌と二次除菌を合わせた成功率は9割以上です。

ホームドクターからのアドバイス

胃潰瘍の予防
食生活

• 香辛料、コーヒー、炭酸飲料、熱いもの、冷たいもの、酸味の強いもの、多量の肉類、高脂肪食を避けて、適切な量をゆっくりよく噛んで食べましょう。

• 長時間の空腹を避けるため、食事を抜いたりせずに規則正しく食事をとりましょう。

• 多量の飲酒は禁物です。

禁煙

喫煙者は非喫煙者に比べて、胃潰瘍の発症率は高くなります。

ストレス

ストレスのかからない環境づくりが大切です。
自分なりのストレス解消法を見つけて、ストレスを溜めこまないようにしましょう。

 

ピロリ菌
ピロリ菌の感染

• 5歳以下の幼少期に感染して、一度感染すると多くの場合、胃の中に住みつづけます。

幼少期の感染については保菌している大人から子への家庭内感染が疑われています。

 

• 大半は抵抗力の弱い乳幼児期に感染するため、赤ちゃんにうつさないためにも妊娠、子育てが始まる前に祖父母も含めた家族みんなでピロリ菌検査を済ませておくと安心です。

 

• ピロリ菌に感染すると、炎症が続きます(慢性萎縮性胃炎)が、症状のない人がほとんどです。

 

ピロリ菌の除菌療法

• ピロリ菌を除菌しない場合は一年以内に約半数が胃潰瘍を再発すると言われていますが、除菌が成功した場合は再発率は1/10まで低下します。

 

• ピロリ菌の除菌療法が成功しても、それまでのダメージの蓄積から胃がんなどを発症する可能性があるため、除菌後も定期的な内視鏡健診が必要といわれています。

 

• 除菌を成功させるために、指示された薬は必ず服用しましょう。

 

• 服用中は禁煙して、アルコールの摂取は避けましょう。

 

• 除菌療法後、胸やけがする場合があります。主治医に相談しましょう。

 

• 一部のヨーグルトや緑茶など、ピロリ菌抑制に効くとされる食品の宣伝がありますが、いずれも除菌には至りません。

もっと調べる

参考リンク

○ 日本医師会 健康の森 病気をチェック! 胃潰瘍と十二指腸潰瘍
○ 長野県医師会 けんこうの小径 わたくしたちの健康読本 ヘリコバクター・ピロリ
○ オリンパス株式会社 おなかの健康ドットコム
○ 武田薬品工業株式会社 ピロリ菌のお話.jp

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