先日、健康診断で糖尿病が見つかった方がいました。
50歳のその男性は、ふだん元気に働き自覚症状もありません。
しかし、健康診断の結果、朝の空腹時血糖値が287㎎/dLで、糖尿病の診断基準、空腹時血糖値126㎎/dL以上を大きく上回り、はっきりとした糖尿病でした(下記表参照)。
糖尿病では、もう一つ覚えておくべき重要な検査項目があります。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)といい、過去1~2ヶ月間の血糖値の平均値を表します。
血糖値は採血をした瞬間の値です。
満腹時は上がり、空腹時は下がる。
常に変動をしており、採血したタイミングによっては、糖尿病でも血糖値が高くないことがしばしばあります。
このため血糖値とHbA1cの値を組み合わせて判断します。
HbA1cによる糖尿病の診断基準は6.5%以上ですが、その方は12.4%もありました。
7%を超えると動脈硬化が進行しやすく、将来合併症(本コラム33回参照)を起こす危険性が高まるため、糖尿病治療ではこの値を7%未満に下げることが最初の目標です。
12.4%がどれだけ高い数値かわかってもらえると思います。
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実はこの方、毎年健康診断を受けていました。
記録を振り返ると6年前から糖尿病と診断されていて、毎年医療機関への受診を進められていましたが、症状がないため未受診でした。
糖尿病は、高血圧と同じく自覚症状は乏しいですが、体内では静かに、着実に動脈硬化や合併症が進行しています。
自身と家族の健康診断や検査の結果をもう一度確認してみてください。
また、血液検査を受けない限り、糖尿病は見つかりません。
最近検査を受けていない方は、健康診断をするか、かかりつけ医にご相談ください。
(2023年7月4日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)