高血圧が引き起こす心臓の病気を紹介します。
心筋梗塞
心臓自身を栄養する血管を冠(状)動脈と呼びます。
冠動脈が動脈硬化で細くなり詰まると、その血管が栄養している範囲の心筋が壊死します。
一度死んでしまった心筋細胞は再び生き返ることはありません。
不整脈
心臓は1カ所から起こった電気信号が心臓全体に伝わった後、一斉にそろって拍動します。
心臓の壁に高い圧力が続くと傷が付きます。
この傷ついた細胞が電気刺激を発すると不整脈が起きます。
本来と別の場所から電気刺激が起きると、心臓はそろって拍動することができません。
また、不整脈で心拍の間隔が長く空いたり、逆に短過ぎて空打ちしても、充分に血液を送り出すことができません。
高血圧性心疾患
血管の動脈硬化と同様に、血圧に抵抗して心臓の壁が厚く硬くなり、伸縮ができなくなると押し出す血液量が減少します。
弁膜症
高血圧が続いて心臓が肥大すると、心臓の部屋を区切る扉(弁)の建て付けが悪くなります。
弁が閉まりきらず、一度通った血液が逆流すると、次の拍動ではより多くの血液を押し出さなくてはなりません。
逆に、弁が充分に開かない時には、無理に押し出そうとして、いずれも心臓に負担がかかります。
これらの病気は全て心臓の「ポンプ力」が低下していることに気付かれたと思います。
ポンプ力が一定を下回ると血液の流れがうっ滞して、肺に水がたまって呼吸が苦しくなったり、足がむくんだりします。
この状態を心不全といいます(本コラム30回参照)。
最近、心不全患者が爆発的に増えており「心不全パンデミック」と呼ばれる状況です。
塩から始まった因果関係が死因第2位の心疾患にたどり着きました。
「塩と血圧を制する者は、健康を制す」を肝に銘じ、塩分から心不全への流れの復習をお願いします。
(2023年3月21日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)