「運動療法」という言葉が示すように、運動によって発症を予防できたり、症状を改善できたりすることが証明されている病気は多数あります。
糖尿病、高血圧、脂質代謝異常(高コレステロール血症、高中性脂肪血症など)の「三大生活習慣病」をはじめ、肥満に関連するメタボリックシンドロームや脂肪肝の改善効果はよく知られています。
運動することで体の血流が良くなるため、動脈硬化対策にもなりますし、認知症、不眠症、うつ病などの脳や精神面の疾患にも、予防や改善効果が認められています。
がんについても、運動の活動量が多い人ほど、がんを発症する確率が低くなるという予防効果が統計的に証明されています。
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骨粗しょう症やフレイル、ロコモの予防や対策には体を動かすことは基本ですね。
このように、さまざまな疾患の予防・改善効果が知られている運動は「百薬の長」と言っても過言ではなく、運動に取り組まない手はありません。
中でも、具体的に治療として活用される運動療法には、名前が付いているものが多くあります。
嚥下(えんげ)体操、頭痛体操、肩凝り体操、五十肩体操、腰痛体操、膝痛体操、骨盤底筋群体操などです。
一つずつの体操の動作を分析すると、それぞれの弱い箇所の「筋力」「柔軟性」など、「運動素」を鍛えるのが目的であることが分かります。
筋力の低下や衰えは、年齢と共に誰にでも起こります
食事を飲み込むのも筋力ですし、腹筋や背筋が衰えることで腰痛を起こしやすくなります。
尿漏れや骨盤臓器が下がるのも筋力が関連しています。
食事療法に熱心に取り組んでも、薬やサプリメントを飲んでも、残念ながら筋力が向上することはありません。
今回のポイントは「筋力の衰えによる症状の改善のためには、運動療法に取り組む他はない」という当たり前の事実を確認したことです。
(2024年7月2日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)