大腸がん・直腸がん

どんな病気

大腸は食道、胃、小腸を通過して消化された食物の水分を最後に吸収して大便にする消化管です。

長さが約2mあります。

小腸側から盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸に分けられます。

「日本医師会ホームページ」より引用

この大腸にできたがんを「大腸がん」と呼びます。

直腸にできたがんを、とくに直腸がんとも呼ぶこともあります。

日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。

大腸がんは、生涯で男性の10人に1人、女性の13人に1人がなるとても多いがんです。

しかし、大腸ポリープの段階で切除するとほぼ完治が期待できます。

原因

大腸ポリープ

大腸がんのほとんどは、大腸ポリープがじょじょに大きく成長して、大腸がんに進行すると考えられています。

大腸のポリープ自体は珍しくなくて、50歳以上の3人に1人程度持っているといわれています。

その大多数は、大きくも悪性にもならない良性ポリープなのですが、一部は、大きくなって悪性になるものがあります。

6㎜を超えるとがん化をする可能性が高まるために、6㎜以上は切除、5㎜以下は1~3年毎に大腸カメラで経過観察をされることが一般的です。

危険因子

• 家族歴:親や兄弟などの家族に大腸がんの人がいる

• 赤身肉(牛・豚・羊の肉)、加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取

• 野菜や果物の摂取不足

• 喫煙

• 飲酒

• 肥満

• 運動不足

症状

早期のがん
ほとんどのがんは初期には無症状です。

進行がん
• 腹痛、腹部膨満感

• 便秘、下痢と便秘を繰り返す

• 便が細い、残便感、頻便

• 腹部に腫瘤(固まり)を触れる

• 血便

• 貧血:出血が続くことによっておこる

出血について
大腸がんの表面が、通過する便とこすれるために出血します。

ほとんどの場合には便の色ではわからないくらい、少量ずつ、じわじわと出血が続いて、健康診断などで貧血を指摘されて、初めて気づかれることも多くあります。

一度に大量に出血することもあります。

直腸がんでは鮮血(あざやかな赤い血)のこともあって、痔核と間違われることがあるため、一度は大腸カメラ検査を受けておくことが大切です。

検査

直腸指診
医師が肛門内に指を挿入して、しこりの有無や内部の状態を診察します。

とくに出血をして直腸癌などが疑われる際に行われます。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
病変の位置や大きさなどを観察します。

• 染色検査
組織に染色液をかけて、粘膜を染色することでより詳しく検査をします。

• 生検検査(病理検査)
がんが疑われる場所の組織を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。

バリウム造影検査
お尻からバリウムと空気を注入して、X線で撮影します。

病変の範囲や、大腸の狭さなどの全体像を調べます。

CT、超音波、MRI検査
周辺の臓器へのがんの広がりや、転移の有無を検査します。

腫瘍マーカー
血液検査の一項目です。

大腸がん:CEA、CA19-9

初期のがんでは上昇しません。

進行がんでも上昇しないことも多く見られます。

進行がんの治療効果の判定や、再発や転移などを調べるときに検査されます。

治療

基本は手術療法になります。

腫瘍の切除
• 内視鏡的切除
ポリープの段階や一部の早期がんで、内視鏡を用いて腫瘍を切除できることがあります。

• 手術
内視鏡的切除の適応でない場合には、腹腔鏡手術や開腹手術によって切除します。

化学療法(抗がん剤など)
抗がん剤などを用いてがん細胞を傷つけて、小さくする治療法です。

点滴薬や内服薬を使用するため、それぞれの薬剤特有の全身の副作用がでます。

とくに大腸がんでは抗がん剤だけでは完全に治すことは難しいため、効果と副作用の両方のバランスがとれて、日常生活に負担が少なく、うまくがんと付き合うことができる薬剤を選択することが大切です。

放射線治療
放射線を照射してがん細胞を傷つけて小さくする治療法です。

周囲の正常組織の細胞も影響を受けるため、副反応が問題になります。

治療機器の進歩によって、なるべくがん細胞だけに焦点が集まるように工夫されています。

大腸がんでは手術などの補助や再発予防の目的で用いられることがあります。

ホームドクターからのアドバイス

大腸がんは、とくに女性では死亡率の一番高いがんとなっています。

しかし、大腸ポリープの段階で切除するとほぼ完治が期待できます。

いっぽうどのがんでも、早期がんの段階では自覚症状はほとんどありません。

症状の有無にとらわれずに、定期的に健康診断やがん検診を受けるようにしましょう。

(参考)日本医師会健康の森 大腸がん検診

大腸がん検診

• 便潜血検査
40歳以上の方では毎年受けることが勧められています。

毎年受けることで大腸がんによる死亡率を60%も減少させることができるといわれています。

ただし、2日法で検査をしても、早期がんでは50%、進行癌でも90%しか陽性になりません。

残りは病気があるにもかかわらず検査結果が陰性となることがあるため、毎年検診を受けることが大切になります。

• 大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
直接見つけることが可能で、生検検査や内視鏡的切除術も同時に行えます。

大腸はひだ(シワ)が多く、隠れてしまうことがあるため、5~10㎜の病変は70-80%程度、10㎜以上の病変では90%以上の発見率といわれています。

• 大腸コロノグラフィー
CTを利用した新しい大腸検査です。

大腸内視鏡検査よりも苦痛は少ないのですが、放射線の被爆の問題があります。

発見率は10㎜以上の大きさの病変であれば90%以上と言われています。

病変が疑われた場合には、大腸内視鏡検査で精密検査を行います。

セカンドオピニオン

主治医の先生以外の医師の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいます。

現在は標準的治療法と呼ばれるガイドラインが普及をしているため、治療方針には、それほど大きな違いは少ないと思われますが、各医療機関の設備や経験数、得意分野などによっては、方針が異なることもあります。

納得して治療を受けるためにも、情報収集のためにも、悔いを残さないためにも、セカンドオピニオンの利用を考えてみても良いでしょう。

(参考)国立がん研究センター セカンドオピニオン

緩和ケア

緩和ケアと聞くと、「積極的な治療はもう終わりだ」「主治医から見放された」と、とらえる方も多くいらっしゃると思いますが、今はそのようなことはありません。

がんに伴う不快な症状を少しでも軽く「緩和」して、負担をより少なく、日常生活を過ごしていくために、緩和ケアがあります。

不快な症状を軽くすることで、より積極的に、がんの治療に取り組めるため、現在ではがんと診断されて、治療が始まる早期の段階(下図B)から、緩和ケアと関わるようになってきています。

(参考)国立がん研究センター 緩和ケア


「国立がん研究センター がん情報サービス」より引用

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参考リンク

○ 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス
それぞれのがんの解説 大腸がん
日本消化器外科学会
日本医師会 がんに関するページ

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