どんな病気
下肢とは足のことで、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の静脈血管がコブ(瘤)のようにふくらんだ状態です。
症状が進行しても命に係わることはありませんが、自然には治りません。
足のだるさや、むくみなどが慢性的に起こって、日常生活に支障をきたすこともあります。
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日本人の有病率は 40%以上と 決してめずらしい病気ではありません。
女性に多く、加齢に伴って増加します。
年齢 |
割合 |
15~29歳 |
13% |
30~49歳 |
55% |
50~69歳 |
61% |
70歳以上 |
75% |
合計 |
43% |
立ち仕事の人や、妊娠をきっかけに症状が出ることもあります。
静脈瘤のできやすい家系、体質の方もいます。
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「画像提供:日本メドトロニック」
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エコノミークラス症候群などを起こす病気とは違います!
下肢静脈瘤は、下肢にできた血栓が流れて、肺の血管に詰まる急性肺動脈血栓塞栓症や肺梗塞を引き起こす、「下肢深部静脈血栓症」とは異なる病気です。□
エコノミークラス症候群(急性肺動脈血栓塞栓症)は、皮膚から遠くて深くにある太い静脈にできる大きな血栓が原因です。
「下肢深部静脈血栓症」と病名は似ていますが、「下肢静脈瘤」は 皮膚に近くて細い静脈に瘤ができるため、血栓ができても大きな問題にはなりません。
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原因
静脈は 血液が足から心臓に戻る血管です。
静脈弁は 血液が足の先端の方に逆流してしまうのを防いでいます。
この弁が正しく閉じなくなり、血液が逆流、うっ滞して血管が膨らむことによって、下肢静脈瘤が起こります。
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「画像提供:日本メドトロニック」
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症状
• ふくらはぎ、すね、太ももの裏などに、血管がボコボコと太く腫れる
• 血管が浮き出て見える(青筋だって見える、赤紫色のくもの巣のように見える)
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「画像提供:お茶の水血管外科クリニック」
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• 足がだるい、重い
• 足がむくむ
• かゆみ
• 足がつる
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重篤になると、痛み、出血、うっ滞性皮膚炎、潰瘍などを伴う場合があります。
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「画像提供:日本メドトロニック」
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検査
超音波ドブラ検査
超音波を使用して、静脈の血液逆流の有無と程度を検査します。
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静脈造影検査
足の静脈内に造影剤を注射して、レントゲン撮影を行い血管の撮影をします。
患者さんにも一目で血管の状態が分かる検査方法です。
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CT検査、MRI検査
深部静脈血栓症など他の病気が疑われる場合には、造影剤などを利用して血管の形状を確認して、血管の異常がないかを検査します。
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治療
大半の人は自覚症状がないため、見た目が気にならない場合には治療の必要はありません。
つらい症状や皮膚炎などがある場合には、症状や程度に合わせて以下の治療法を行います。
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保存療法
医療用の弾性ストッキング(弾性包帯)で、下肢に適度な圧力を与えることで下肢に余分な血液がたまることを予防します。
予防や軽症の静脈瘤の治療には20~30mmHg程度の着圧のものを選びます。
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硬化療法
静脈瘤に薬を注射して固めてしまう方法です。
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手術
血管をしばる「結紮術(けっさつじゅつ)」、血管を抜去する「ストリッピング手術」や血管内から静脈瘤をレーザーなどで焼きつぶす「焼灼術(しょうしゃくじゅつ)」などがあります。
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ホームドクターからのアドバイス
静脈瘤の進行を防ぐ基本的な処置は「弾性ストッキング」をはくことです。
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下肢静脈瘤の予防には、「足の血流を滞らせない」ことが大切です。
• 適度な運動で足の筋肉を収縮させて、血行を改善しましょう。
• 長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしを避けて、こまめに足を動かしましょう。
• 窮屈な下着などで締め付けることでも 下半身の血流が悪化します。
• 就寝時には、座布団などで足元を15~20㎝高くすることも効果的です。
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参考リンク
○ 日本血管外科学会 血管の病気(血管病)について―下肢静脈瘤
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血管外科
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