医良人コラム
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第23回 フレイル予防 高齢化の鍵

前回紹介した要介護と健康の中間の状態にあたり、適切な対策で回復ができる「フレイル」。
重要とされる理由は「予防」ができるからです。


フレイルは、
①体の衰え
②心の衰え
③社会性の衰え
の3つが相互に負の連鎖をしています。

患者さんの中には「年をとって”ずく”がなくなってきた。へ~もういいわい」と言う方がいます。

意欲が衰えると、趣味や集まり事などに出掛ける機会が減って閉じこもりがちになります。
動かないことで体力や筋力が衰え、心臓や肺活量も弱って息切れがするため、外出がますますおっくうになります。

外出しないと変化に乏しく、意欲や判断力が衰え、抑うつや認知症となり、さらに人との交流を避けるようになります。

また、動かないため骨が刺激されず骨粗しょう症が進み、骨折の危険性が高まります。

人と話す機会が減ると口の筋力が弱り、かむ力や飲み込む力が衰えます。

むせて気管から出す体力も衰えるため、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしてしまいます。
大事なポイントは、これらがすべて一度にまとめて急に起きるのではないことです。

生活習慣病の動脈硬化と同じく、年単位で静かにじわじわ進行し、
ある時、認知症や大腿(だいたい)骨骨折、誤嚥性肺炎などの病名がついた時には、
すでに要介護状態や入院を繰り返すようになってしまっています。

物事が大きくなる前に対策を打って、被害を防ぐ「予防」は健康づくりの基本です。

フレイルの普及と対策は、既に国や県の施策にも取り入れられてきました。
本県の平均寿命と健康寿命の差は男性が約10年、女性は約13年。
これからますます高齢化が進む時代には、フレイルの予防が鍵になります。


(2019年7月23日(火)付MGプレスから)

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