医良人コラム
19/7/1

第16回 予防接種で麻疹から守る

麻疹(はしか)が流行しています。

高熱が続く症状は激烈で、江戸時代には「命定め」と怖れられ、無事に七五三の年を迎えるとお祝いをしました。
医学が発達した現代でも治療薬はなく、千人に一人の割合で脳炎や肺炎によって命を奪われます。

空気感染をするためインフルエンザの10倍以上の感染力があり、世界中で対策が取られていますが、
いまだに小児を中心に年間10万人以上が亡くなっています。


一方、麻疹の予防接種は非常に効果が高く、2回の予防接種で99%の人が免疫力(抗体)を獲得できます。
事実、麻疹ワクチンの開発前は、世界の死者数は年間260万人にものぼりました。

日本では現在、1歳と小学校入学前の2回定期接種となっています。では、なぜ流行するのでしょうか?

大きな理由は、
①1歳以下で受けていない
②2回打ったが免疫が不十分
③予防接種の回数が少なかった
④あえて打たなかった
-です。

①②は仕方がありません。
③は未就学児や忘れて受けなかった人も含まれますが、大半は制度の問題です。

 

現在の流行は1970年前後以降に生まれて、
定期接種を0回もしくは1回しか受けていない20歳から40歳代の成人が中心となっています。
予防接種導入前の世代の方は、大半が当時の流行によって免疫を持っています。

はっきり2回受けた記録のない方は、抗体価の測定(血液検査)もしくは追加接種を受けることをお勧めします。

実は日本は2015年にWHO(世界保健機関)から麻疹の排除状態と認定されました。
にもかかわらず流行するのは、流行地で感染した日本人が持ち帰ったり、海外からの旅行者が持ち込んだりして感染が広がっているためです。


今後ますます国際化が広がるのは間違いありません。
自分はもちろん、赤ちゃんや身の周りの方を感染から守る「思いやりの心」で2回の予防接種を受けましょう。





(2019年3月19日(火)付MGプレスから)

👈第15回 家庭での意識が感染防ぐ

👉第17回 予防接種は思いやり