「寿命」についてのうんちくを少々。
江戸時代の儒学者、貝原益軒は著書「養生訓」で、人の寿命は100歳だが、10人中9人は不養生によって短命となっていると述べています。自身は当時では長寿の85歳まで長生きしました。
早稲田大学を創設した大隈重信は、人は適切な節制をしていれば125歳が天寿であると唱えました。西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、平均寿命が30歳前後だった古代ギリシャ時代に、人の寿命は120歳と説いて、自らも90歳近くまで長生きしたとされています。
この寿命120歳説は他にも多く、旧約聖書には、神は創世記の人の齢(よわい)を120歳と定めたとの記述が見られます。
科学的な例も挙げると、アメリカの解剖学者ヘイフリックが唱えた「テロメア限界説」が有名です。人間の遺伝情報が記されているDNAの末端には「テロメア」と呼ばれる部分があります。
このテロメアは細胞分裂ごとに少しずつ短くなり、ある長さになると細胞は死を迎えます。細胞分裂のペースと限界回数を掛け合わせた120歳が、寿命の上限であると提唱しました。
発達説も知られます。哺乳類は成熟までの期間のおよそ4~5倍の寿命があるそうです。人間の歯の発達は25歳前後で完成するため、寿命は100~120歳程度と計算できます。
多くの例のように、人は本来120歳近くまで生きることができるのかもしれません。
WHO(世界保健機関)は、どんな原因によって寿命が失われるかを数値化した「損失余命」を発表しています。まさに前回説明した、不摂生による健康の「減点方式」によって健康が損なわれるという証しです。
日本人の寿命に影響しているのは、①タバコ 6.15年②高血圧 5.94年③コレステロール 3.01年。以下、体重オーバー、野菜不足、運動不足、お酒と続きます。
不摂生を減らすことで10年は長生きできそうですね。