医良人コラム
25/6/23

第122回 目まいに注目の運動療法

目まいは、外来診療で相談を受けることが多い症状です。

ぐるぐる、ふわふわ、ゆらゆら、くらっとして、気持ち悪く、吐き気を伴うこともあるつらい症状の代表です。

目まいには、急に始まる急性と、繰り返して症状が続く慢性に分かれます。

急性発症の中には、脳卒中などの脳の病気が原因の場合が含まれるため、医療機関に相談してください。

ここでは、慢性的な目まいを取り上げます。

慢性的目まいは、年齢が上がるにつれて起こりやすくなります。

耳の奥の内耳にある三半規管や前庭神経などの機能の衰え、老眼や白内障などによる視力の低下、下肢の筋力の衰え、血圧を調節する自律神経や手足の位置を感知する末梢神経の衰え、さまざまな情報を統合する脳の働きの低下など、理由は複合的です。

さらに高齢になると、服用中の薬剤も影響します。

そんなつらい目まいですが、黙って飲めば「ぴたり」と止まる特効薬がなく、実は50年間新しい抗目まい薬は発売されていません。

それだけ、薬だけで抑えることが難しいといえます。

そこで近年注目されているのが、リハビリや体操などの運動療法です。

特に内耳の機能低下に対して、2024年に「日本めまい平衡医学会」から「前庭リハビリテーションガイドライン」が発表され注目されています。

フィギュアスケート選手は、スピン後も笑顔ですよね。

そうなるイメージです。

運動時の目まいの発症による転倒防止のため、理学療法士などの指導や介助を受けながら行うと安全です。

耳鼻科やリハビリ科に相談してください。

日常生活では、目まいを恐れて活動を控え過ぎると症状を遷延(せんえん)させてしまうことが知られてきました。

発症初期の症状が強い時期は安静が大切ですが、少し落ち着いてきたら積極的に体を動かす方が、早く改善できるといわれます。

腰痛や膝痛と同じ考え方ですね。

 

(2025年3月18日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)