※2021年6月22日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」に掲載された記事です。
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1年以上続く新型コロナウイルスの流行によって、コロナによる国内死亡者は1万4000人を超えました。(2021.6.13現在)
これにより、昨年のすべての死亡数が増えたのでは?と思われる方もいるかもしれません。
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ところが、4日厚生労働省が発表した2020年の年間総死亡数(概数値)は、その前年と比べて8445人減少していました。
死亡数が対前年比で減少するのは、実に11年ぶりのことです。
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コロナによる死亡数が増えたのに、全体の死亡数は大きく減っているのはなぜでしょう?
それは国民全体で感染予防をしたからなのです。
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死亡原因の内訳を見ると、特に肺炎による死亡数が、前年に比べて1万7000人以上減っています。
感染予防は普及し、多くの国民がマスクの着用や手洗い、アルコール消毒を実践したおかげで、コロナだけでなく風邪やインフルエンザなどの流行を防ぎ、引き続いて起こる肺炎も抑えたのです。
私自身も医師人生で初めて、インフルエンザ患者に一度も出会わない冬でした。
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さらに統計で見逃せないのは、心疾患や脳血管疾患の死亡数も減っていることです。
感染症にかかって、持病が悪化したことによる死亡も防いでいたのです。
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5月25日付の本コラムで触れたインフルエンザワクチン学童集団接種と同じく、大きな集団で感染予防を行うと、全体の死亡数を減らすことができることが分かる報告です。
この1年間皆さんの頑張った成果がよく現れた結果ともいえます。
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持病と言えば、基礎疾患のある人は、コロナ感染が重症化しやすいことが知られています。
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厚労省の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」によると、重症化の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病などの生活習慣病が中心です。
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受診控えをしていませんか?
持病が悪化しないよう、かかりつけ医にご相談ください。
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(2021年6月25日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)
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