信州大学内科学第一教室 呼吸器・感染症・アレルギー内科 監修□
どんな病気
気管支喘息(きかんしぜんそく)は空気の通り道(気道)に炎症が起きる病気です。
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さまざまな刺激によって、気道が敏感になり発作的に気道が狭くなることを繰り返して、咳や呼吸困難を起こします。
気道が狭くなるためにゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴ったり(喘鳴:ぜんめい)、咳が続いて息が苦しくなることを喘息発作とよびます。
喘息発作は 夜間や早朝に出やすいのが特徴です。
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炎症の原因はチリダニやハウスダスト、ペットのフケ、カビなどのアレルギーや寒さの刺激によることが多いですが、その原因物質が特定できないこともあります。
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予防治療を怠ると喘息発作を繰り返してしまいます。
気道に炎症が続くと次第に気道が硬くなってしまって、治療しても回復しづらくなります。
少しでも早く、そしてしっかりと治療することが重症化の予防や有効な治療につながります。
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出典「日本呼吸器学会」
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幼少児に喘息を発症する小児喘息は、小学校の高学年になるとだんだんと発作が起きなくなる寛解状態(完治ではないが、症状がなくて安定した状態)となる割合が増えていきます。
一部はそのまま大人になっても喘息発作が継続します。
一方、成人や高齢になってから発症する喘息の患者数が増えています。
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厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-07.pdf より引用(日本語表記へ改変)
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原因
多くの場合で、アレルギーが関わっています。
ただし、アレルギーの原因物質が特定できないことも多くあります。
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アレルギー反応を起こす物質(アレルゲン)
• ダニ
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• ハウスダスト
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• カビ
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• 花粉
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• 動物の毛
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• 食物
など
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その他の刺激物
• 線香、煙、タバコ
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• PM2.5、排気ガス、光化学スモッグ
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• 気候の変化(季節の変りめ、雨天、台風など)
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• ストレスや疲労
など
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症状
• 何かのきっかけで急に咳が出る
• 息をするたびにゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴る(喘鳴)
• 呼吸が苦しい
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喘息発作が起こりやすい時間帯は、夜間から早朝にかけてです。
また、季節の変わり目、気温差の大きな日、疲労がたまっている時、風邪をひいたときなどにも起こりやすくなります。
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検査
胸部レントゲン検査、胸部CT検査
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呼吸機能検査
気管支の空気の流れ具合の状態を検査します。
流れが悪い場合には、気管支拡張薬という吸入薬を吸って、流れ具合が改善するかをあわせて検査します。
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呼気中一酸化窒素(NO)濃度検査
同じように咳や喘鳴を起こす病気に肺気腫や慢性気管支炎などがあります。
症状だけでは喘息と区別が困難なことがあります。
喘息の方では吐いた息(呼気)の中の一酸化窒素濃度が上昇するため、その他の病気と見分けることができて有用です。
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アレルギー反応検査
血液検査や皮膚反応から、アレルギー体質であるか、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)などを検査します。
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治療
薬物療法
長期管理薬と発作治療薬の2種類があります。
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長期管理薬:発作を予防する薬(コントローラー)
吸入ステロイド薬を長期間使用して、炎症を抑えます。
重症度に応じて吸入気管支拡張薬などを併用することもあります。
発作の起きなくなった状態でも、すぐにやめずに少ない量の吸入を継続することが大切です。
その他に、抗アレルギー薬や、気管支拡張薬、去痰薬などの内服や貼付剤を使用します。
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発作治療薬:発作を止める薬(リリーバー)
発作が起こった時にはスプレータイプの気管支拡張薬を吸入します。
1~2度繰り返して吸入してもすぐに発作が起こる場合には、すみやかに医療機関を受診してください。
医療機関では、気管支拡張薬の吸入や点滴、ステロイド薬の内服や点滴治療を行います。
治療後も酸素濃度が低い場合や喘鳴が改善しない場合には入院治療になります。
参考:「吸入レッスン」 日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
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ホームドクターからのアドバイス
喘息のコントロールのカギは「継続的な治療」です
喘息治療には、長期管理薬(コントローラー)のステロイド吸入をきちんと継続することが重要です。
発作が起きないと喘息は治ってしまったように思われるかもしれませんが、喘息の原因となる気管支の炎症は続いています。
吸入ステロイド剤の普及によって、重症な喘息患者の数は減少していますが、喘息は長期の治療が必要になります。
治療期間が長くなると、これくらいなら大丈夫と発作を軽く見てしまって、受診が遅れて、重症化につながることがあります。
今でも年間1500人前後の喘息死があります。
決して自己判断で治療を中断してはいけません。
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発作時は早めの対処を
気管支拡張薬は、息苦しいと思ったら早めに使用しましょう。
発作治療薬(リリーバー)を使用しても発作が治まりにくいときは、すみやかに受診してください。
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日常の発作予防
生活環境を整えて、ダニ・ホコリ・カビなどのアレルゲンを避けましょう。
かぜをひかないように、うがい、手洗いの徹底や体調管理に努めましょう。
喫煙者の方は、必ず禁煙をしてください。
できるだけストレスを避けて、リラックスできる時間を持ちましょう。
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小児ぜんそく
ゼーゼー、ヒューヒュー(喘鳴)は夜間や早朝、または運動後にみられることが多いため、受診時に医師が必ず聞けるとは限りません。
そのため、乳幼児の場合は、家族が普段の症状をできるだけ正確に医師に伝えることが重要です。
喘鳴が起こる時の様子をメモしておきましょう。
いつ | 夜間、早朝、季節の変わり目、急な冷え込み、冷たい空気を吸ったとき |
どこで | 自宅、屋外、外泊先 |
どんなとき | はしゃぎまわった後、運動した後、花火をしたとき |
どの程度 | 息苦しさを訴える、咳こんで眠れない |
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参考リンク
○ 厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策
○ 日本医師会 健康の森 病気をチェック! 気管支喘息
○ 日本呼吸器学会 呼吸器の病気 気管支ぜんそく
○ 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなし 気管支喘息Q&A
○ アステラス製薬株式会社 チェンジ喘息!
初診に適した科
内科、小児科、呼吸器内科、アレルギー科
頼りになる病院
まずはお近くのかかりつけ医の先生にご相談ください。
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