どんな病気
結核は「結核菌」よって起こる感染症です。
日本では、肺に感染を起こす「肺結核」が最も多く、約8割を占めます。
肺以外にもリンパ節や骨などにも感染を起こすことがあります。
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感染初期には症状がほとんどなく、次第に咳やたん、発熱(微熱)など、かぜのような症状が出てきます。
かぜの症状に似ているため、結核の発見が遅れることも少なくありません。
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2週間以上咳が続くときは医療機関を受診しましょう。
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感染と発病の違い
結核菌に感染したからといって、全ての人が発病するわけではありません。
発病とは感染した後、結核菌が活動を始めて、菌が増えて体の組織障害を起こすことです。
発病する人は感染者のうち、10~20人に1人程度と言われています。
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逆にいうと発病はしていなくても、体の中に結核菌がいる「保菌状態」の人がたくさんいるということです。
その方たちが高齢になったり病気のために免疫機能が低下すると、結核菌が活動を始めて、結核を発病することがあります。
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【 結核発病のメカニズム】
公益財団法人結核予防会「結核の常識2016」より
結核は”過去の病気”ではありません!
結核は、かつては「国民病」といわれて、1950年代までは日本人の死亡原因のトップを占めていて、年間に10数万人が亡くなりました。
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その後、国をあげて予防や治療に取り組み、患者数・死亡者数は激減しました。
しかし、1997年には発生率が再び増加に転じました。
この状況に危機感を抱いた政府は、1999年に「結核緊急事態宣言」を発表しました。
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現在でも日本では年間12,000人以上の新しい患者さんが発生し、年間で1,900人以上の人が命を落としています。
世界では毎年160万人もの人々が結核で亡くなっています。
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原因
病原菌
結核菌
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空気感染
結核を発病している人がせきやくしゃみをして結核菌が空気中を漂い、それを他の人が吸い込むことにより感染します。
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空気感染は、インフルエンザなどの飛沫感染に比べて、空気中を長時間漂って遠くまで飛んでいくため、感染する範囲が広くなります。
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症状
初期症状はかぜに似ています。
• 咳
• たん
• 発熱:微熱が多い
• だるさ
• 寝汗
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病状が進むと、血の混じったたんが出る(血痰:けったん)や、血を吐く(喀血:かっけつ)といった症状が出ることもあります。
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たんが絡む咳、微熱、体のだるさなどが2週間以上続くときには医療機関を受診しましょう。
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検査
感染しているかを調べる検査
• インターフェロンガンマ遊離試験(クォンティフェロン(QFT)、Tスポット)
採血した血液で結核感染の有無を調べる検査です。
陽性で結核菌の感染が疑われますが、活動性のある現在の感染か過去の感染かは判定できません。
BCGワクチンによる影響を受けません。
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• ツベルクリン反応検査
ツベルクリンという液を皮膚に注射して、48時間後の皮膚反応をみて感染を調べる検査です。
結核感染でも、BCGワクチンでも陽性となるため、どちらによる陽性反応かまでは判断できません。
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このような理由によって、定期予防接種でBCGワクチンが行われている日本ではツベルクリン反応よりもインターフェロンガンマ遊離試験が推奨されます。
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発病しているかを調べる検査
• 胸部レントゲン検査、胸部CT検査
肺の状態を検査します。
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• 結核菌を検出する検査
顕微鏡でたんの中に結核菌がいるかを確認します。
たんを培養して、体の中に結核菌がいるか検査します。
結核菌は発育が遅いので、最終結果が出るまで数週間程度かかります。
どの薬剤が効きやすいかも調べられます。
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PCR検査という、たんの中に結核菌の遺伝子が存在するかを調べる検査もあります。
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治療
結核は、早期発見・早期治療によって治せる病気になっています。
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薬物療法
抗結核薬を最短でも6ヶ月間服用します。(最初の2ヶ月は4種類、その後の4ヶ月は2種類)
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治療終了後2年間は再発していないかの検査を受ける必要があります。
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症状が消えたからといって途中で薬の服用をやめてしまったり、薬の飲み忘れなどがあると、薬剤が効かない強い結核菌を出現させてしまう恐れがあります。
医師の指導に従って服薬量・服薬期間を守ることが大切です。
結核治療中は、定期的に保健所から病状の問い合わせがあります。
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治療費について
結核の治療費用は、感染症法による公費負担制度(国・自治体からの治療費補助)があります。
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詳しくは、保健所、自治体等にお問い合わせ下さい。
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ホームドクターからのアドバイス
予防について
• 早期発見、早期治療が重要です。
定期的に健康診断をきちんと受けて、かぜのような症状が続くときには医療機関を受診しましょう。
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• 免疫力が低下しないように、規則正しい生活を心がけましょう。
バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、禁煙などが大切です。
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• 周りの人に感染を広げないために、咳エチケットを守りましょう。
□https://medibito.net/kenmin/goodpractice/%e5%92%b3%e3%82%a8%e3%83%81%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%92%e5%bf%83%e3%81%8c%e3%81%91%e3%81%be%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%86
予防接種(BCGワクチン)
BCGは結核を予防するための大切な予防接種です。
生後1歳に至るまで(標準的接種期間生後5ヵ月から8ヵ月)に接種することになっています。
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(参考)
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登園・登校停止について
小児の結核の登園・登校停止期間については、
お役立ち情報:「登園登校出席停止の目安」をご確認ください。
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もっと調べる
参考リンク
○ 内閣府 政府広報オンライン 古くて新しい感染症、「結核」にご注意を!
○ 日本呼吸器学会 呼吸器の病気 肺結核
○ 日本医師会 健康の森 病気をチェック! 結核
○ 厚生労働省 結核(BCGワクチン)
○ 国立感染症研究所 結核とは
○ 公益財団法人 結核予防会 結核研究所
初診に適した科
呼吸器内科、内科、小児科
頼りになる病院
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