こちらの記事は2017年9月30日に行った健康講座の内容を元に作成しています
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薬局で仕事をしていると、妊娠中や授乳中の人から
「妊娠しているとは知らずに薬を飲んでしまったけど、おなかの赤ちゃんは大丈夫?」
「授乳中に自分が薬を飲んでも赤ちゃんは大丈夫?」
「赤ちゃんが薬をうまく飲めないけどどうすれば良いですか?」
等の問い合わせを受けることがあります。
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その方の状況を伺いながら、回答や対応をしています。
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薬による奇形児の発生率は低いものの、患者さんにとって薬の服用はやはり不安になると思います。
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また普段から飲まれているサプリメント、嗜好品についても注意しなければならない物もあります。
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予め注意しておく為にも今回の講座がお役に立てれば幸いです。
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1 妊婦(妊娠中)
妊娠の時期による薬の影響
(4週〜分娩までの時期に注意)
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妊娠週数 | 胎児の様子 | 薬の影響 |
4週未満 | まだ器官(耳、目、口など)無し | ほぼ無し |
4~7週 | 器官の形成期 | 最も受けやすい(胎児) |
8~15週 | 重要な器官形成期は過ぎているが、分化継続中 | 受けやすい(胎児) |
16週~分娩 | 発育継続 | 受けやすい (胎児、母親) |
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(1)薬
特に気をつける薬は抗癌剤、抗菌薬、抗精神病薬、ワーファリン(血液をサラサラにする薬)等があります。
これらは医師の処方が必要な薬ですから、妊娠する可能性がある場合や妊婦には処方されることはほぼありません。
よって自分で購入できる市販薬を挙げますが、購入の際は薬剤師に相談してからの購入をお勧めします。
痛み止め(内服・湿布・塗り薬)
妊娠後期ではアスピリン・ロキソニン・イブプロフェンは使用禁忌となっています。
また飲み薬でなくても、貼り薬でもその成分が入っていたら注意が必要です。
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どうしてもつらい場合はアセトアミノフェンであれば安全です。
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便秘薬
大きく分けて2種類あります。
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• 塩類下剤(酸化マグネシウムなど)
腸管からはほとんど吸収されず、習慣性も少なく長期使用が可能であるため、比較的安全です。
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• 大腸刺激性下剤(センナ、アローゼン)
腸のぜん動運動の促進と腸粘膜への直接作用で刺激し排便を促します。
腸粘膜を刺激するときに子宮も刺激してしまうので、大量投与により子宮収縮を起こす恐れがあります。
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漢方薬
成分によっては服用をしないことが望ましいとされています。
• 大黄(だいおう)
漢方の下剤に入っています。
子宮収縮作用および骨盤内臓器の充血作用には流早産の危険性がある。
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• 牡丹皮(ぼたんぴ)、桃仁(とうにん)、
□牛膝(ごしつ)、芒硝(ぼうしょう)、紅花(こうか)
子宮収縮作用により流早産の危険性がある。
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• 附子(ぶし)
動悸等の副作用が現れやすくなる。
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ステロイドの外用剤
通常、外用剤の使用では体内への吸収は少ない為、一般的な使用方法・使用量であれば妊娠中に使用しても胎児への影響はありません。
たとえば虫に刺されて少し塗布するくらいであれば大丈夫です。
ステロイドの吸入薬(アレルギー点鼻薬など)も局所作用であり影響はありません。
1日に過剰な回数を使用しない限り(用法・用量を守っていれば)大丈夫です。
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(2)ビタミンやサプリメント
ビタミン剤
一般的にビタミンAというと、レチノール(レバーややつめうなぎ等動物性食品に含まれる)という脂溶性ビタミンのことをいいます。
妊娠初期に過剰に摂取すると耳の形態異常などの先天奇形の報告があります。
妊婦のビタミンAの所要量は1日2000IU、許容上限摂取量は1日5000IUです。
普通の食事で摂れているのに加えて、サプリメントからの過剰摂取に注意しましょう。
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葉酸
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、神経管閉鎖障害発生のリスクを減少させることが分かっています。
※神経管欠損は受胎後1カ月以内に発生するため、妊娠が分かってから葉酸を摂取するのでは遅く、妊娠の1カ月以上前から1日400㎍摂取が推奨されています。
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(3)嗜好品等
タバコ
妊娠中の喫煙により、子宮内胎児発育遅延が起こり、出生時体重減少につながります。
その発生率は1日の喫煙本数に比例すると言われています。
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アルコール
アルコールによる胎児への影響としては、出生前後の成長障害、顔面異常、中枢神経障害に代表される胎児性アルコール症候群のほか、早産児や低出生体重児との関連も報告されています。
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カフェイン
コーヒー、紅茶、抹茶、コーラ等多くの飲料中に含まれており、適量であれば精神的、身体的に良いとされています。
動物実験では大量投与すると催奇形性が指摘されていますが、1日300mg以下の摂取に限れば発育遅延の可能性は少ないと報告されています。
(目安は1日缶コーヒー約4杯分以下まで)
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Q.妊娠中に飲んではいけない薬を飲んでしまったときは?
A.薬の服用量や服薬時期、服用期間によって異なります。
まずは主治医に相談して下さい。
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厚生労働省事業妊娠と薬情報センター http://www.ncchd.go.jp/kusuri/ もあります。
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2 授乳婦
(1)薬
特に気をつける薬は免疫抑制薬、抗癌剤、麻薬、放射性薬品、一部の抗精神病薬等があります。
これらは医師の処方が必要な薬ですから、授乳婦には処方されることはほぼありません。
また自分で購入できる市販薬については、用法用量を守っていれば問題ないとされています。
とは言え、購入の際は薬剤師に相談してからの購入をお勧めします
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(2)ビタミンやサプリメント
• ビタミン、ミネラル一般的な量では問題ないとされています。
• ハーブ等については十分なデータがありません。
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(3)嗜好品等
タバコ
母親の血漿中濃度の1.5~3倍の濃度で母乳中に移行。
母乳の分泌量も減少しますので、さし控えたほうが良いとされています。
アルコール
米国ではアルコール飲用後約2時間は授乳を避ける事とされています。
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カフェイン
コーヒーでは1日3杯までなら問題ないとされています。
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Q.医薬品は母乳に移行しますか?
A.ほとんどの薬は、母乳に移行することが知られており、その量は薬によってまちまちですが、母親の投与量と比較するとわずかなものが多く問題が起こりにくいとされています。
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※乳児の薬の服用などについては前の記事「薬の飲み方」を参照してください
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