介護が必要となった原因疾患 第12位(視覚・聴覚障害)
どんな病気
外耳から入った音の刺激は、鼓膜、中耳、内耳、聴神経を経由して、情報となって脳へ届きます。
その途中になんらかの障害があるために、聴力が低下している状態を「難聴」とよびます。
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日本医師会ホームページより引用
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障害がある部位による分類
• 伝音性難聴:外耳から中耳にかけての障害による難聴
• 感音性難聴:内耳より先(中枢)の神経の障害による難聴
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障害がある部位によって、治療法が異なります。
治せる難聴と治すことが難しい難聴があるため、必ず医療機関を受診して、しっかりと診断を受けることが大切です。
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原因
伝音性難聴
急性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎、耳あか(耳垢 じこう)のつまりなど
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感音性難聴
老人性難聴、騒音性難聴、突発性難聴、メニエール病、聴神経腫瘍、遺伝性難聴、薬剤性難聴など
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症状
【聴力レベル(dB)による難聴の分類】
軽度難聴 30dB~50dB |
中等度難聴 50dB~70dB |
高度難聴 70dB~90dB |
重度難聴 90dB以上 |
ささやき声や、静かな会話が聞き取りづらい |
ふつうの会話が聞こえにくい ゆっくり大きな声で話すと聞き取れる |
大きな声でも聞こえにくい 耳元で大きな声で話すと聞き取れる |
耳元での大きな声も聞こえにくい |
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難聴は、程度や障害が起こる音域によっては自覚症状が少ないことがあります。
耳のつまり感や、耳鳴りを自覚した際には、医療機関を受診して聴力検査を受けましょう。
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代表的な難聴を起こす病気
両側の耳に難聴が起きる病気
• 老人性難聴
加齢とともに音を感じる内耳の感覚細胞の数が減ったり、傷むために、徐々に聞こえにくくなるのが老人性難聴です。
65歳以上の40%にあたる約1000万人の方が、老化による難聴障害を持っていると言われています。
初期は高音域から聞こえにくくなり、しだいに低音域へと難聴の範囲が広がっていきます。
難聴にはキーンという高音の耳鳴りをともなうこともあります。
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• 騒音性難聴
85dB以上の騒音に頻回にさらされると、内耳の感覚細胞が徐々に損傷を受けて、難聴が進みます。
特定の音域だけに障害が起こることも見られます。
高音域からゆっくりと進行するため、初期には自覚症状はありません。
聞こえにくさや耳鳴りを自覚した時には、すでに元の状態に回復するのが難しい場合が多いです。
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• 音響外傷
騒音性難聴の中でも、とくに130dB以上の強い音で生じます。
その音域のだけに単独で障害が起こります。
多くの場合は、一時的で、数時間で自然に軽快します。
繰り返し強い音にさらされると元の状態に回復することが難しくなります。
【場所や環境による許容基準(1日当たり)】
オーディオ(ヘッドホン) |
75~105bB |
制限無~4分 |
スポーツ・競技場 |
80~115bB |
25時間~28秒 |
騒音の多い職場・車の通りの多い道路 |
85bB |
8時間 |
地下鉄・ドライヤー |
100bB |
15分 |
ナイトクラブ・ディスコ・バー |
105~115bB |
4分~28秒 |
航空機 |
130bB |
1秒未満 |
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片側の耳に難聴が起きる病気
• 中耳炎
急性中耳炎:かぜをきっかけにして起きて、痛みや熱をともなうことが多いです。
滲出性中耳炎:中耳に慢性的に液体がたまった状態です。
真珠腫性中耳炎:鼓膜の一部が増殖して、中耳をふさいでしまいます。手術が必要になります。
慢性中耳炎:慢性的な炎症や、鼓膜に穴があいた状態が続きます。
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• 突発性難聴
耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴う原因不明の疾患です。
年間3万5千人が発症するとても多い疾患です。
難聴の度合いが重症になることが多く、初期治療が大切な疾患です。
障害が起こる音域や程度によっては、耳のつまり感や耳鳴りしか自覚症状を感じないことがあります。
自然に回復することは少ないため、耳の症状を感じた時には、早めに医療機関を受診して、きちんと聴力検査を受けることが大切です。
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• メニエール病
めまいをおこす病気として有名ですが、難聴、耳鳴り、耳のつまり感などの耳症状も伴います。
安静にしていても、数分から数時間つづく、回転性のめまいが特徴です。
おさまっても、しばらくして再びめまい発作を繰り返すことがあります。
発作を繰り返すたびに階段状に聴力の低下が進むことが多く、きちんとした診断と治療を受けることが大切です。
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検査
診察
外耳道や鼓膜の様子を観察します。
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聴力検査
ヘッドホンを付けて、音が聞こえたら手元のボタンを押します。
異なる音域での聴力を確認したり、伝音性難聴と感音性難聴の区別を検査します。
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ティンパノメトリー
音圧で鼓膜の動きを検査します。
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CT検査、MRI検査
内耳や聴神経、脳の状態を調べます。
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治療
伝音性難聴
外耳や中耳の問題なので、治療ができる病気が多くあります。
それぞれの原因によって対応が異なるため、きちんと診断を受けることが大切です。
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感音性難聴
突発性難聴やメニエール病はしっかりとした初期治療で聴力の回復が望めることが多くみられます。
早めに医療機関を受診してください。
老人性難聴や騒音性難聴、その他の感音性難聴は回復することが難しいため、補聴器で対応することになります。
聴力障害を残さないように、しっかりと予防することが大切です。
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補聴器
音を集めて、増幅する機械です。
40dB~90dB程度の難聴で使用されます。
メガネと同じで、日常生活やお仕事の場面で不自由を感じた時が着用を始めるタイミングといえます。
補聴器はコミュニケーションの手段として大切ですが、90dB以上の感音性難聴では、使用しても聞き取りが困難なことが多くなります。
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人口内耳
人工内耳は、直接聴神経に電気刺激を送り込む機械です。
90dB以上の重度難聴者に使用されます。
世界的にも広まってきていますが、長野県では信州大学病院で積極的に手術が行われています。
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ホームドクターからのアドバイス
難聴は、日常生活やコミュニケーションに大きな支障が出るおそれがあります。
聴覚障害は 介護が必要となった原因の第12位にも挙げられ、認知症になりやすいという報告もあります。
聞こえにくいと感じたときや、耳鳴りやめまい(リンク)をともなう違和感があるときには、きちんと医療機関で診察を受けましょう。
まだ聞こえにくさなどの症状が出ていない方も、日ごろからの難聴予防が大切です。
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難聴の予防
加齢に伴う難聴は、誰にでも起こりうることです。
しかし、加齢以外の原因を避けて耳にやさしい生活を心がけることで、難聴を予防することは可能です。
• 大音量でテレビを見たり、音楽を聴いたりしない
• 騒音など、常に大きな音が出ている場所を避ける
• 大きな音の環境下での仕事などでは、耳栓をする
• 静かな場所で、耳を休ませる時間を作る
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WHO(世界保健機構)はオーディオ機器で音楽などを大音量で聞くときには、耳を守るために「1日1時間以内」に控えることを勧めています。
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高齢者の難聴とハンディキャップ
難聴があると、人との会話に不自由が生じて、生活の質が低下します。
自分自身では、聞き取れないことがあっても、よくわからないままうなずいたりすることで、話がずれたり、誤解が生じてしまい、関係性に影響が出てきます。
周囲は、大きな声で話すことに疲れるため、聞こえないからいいかと話しかけないようになります。
自分だけなく、周りの人々とのコミュニケーションに、悪い影響が出る前に補聴器の使用などを考えるようにしましょう。
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ラップの芯
難聴が高度になると、補聴器をつけていない場合、大きな声を出しても、本人には音が割れてしまって良く聞き取ることができません。
そんな時には、ラップの芯や雑誌を丸めて、耳元につけてゆっくりと話すと聞き取れることがあります。
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□□会話ができる喜びを持ち続ける^^(軽~中等度難聴向け)
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耳鳴りについて
難聴には耳鳴りを伴うことがあります。
耳鳴りは、難聴と同じく聴神経の細胞が、老化などによって傷ついてしまっていることが原因です。
神経細胞は一度死んでしまうと回復できないため、耳鳴りの治療は難しいといわれています。
白髪などと同じように老化の一つと考えて気にしすぎないように努めることが最善の対処法だといわれています。
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身体障害者
高度以上の難聴者の中には、身体障害者手帳の適応となる方がいます。
手帳を受けると、補聴器の購入などが補助の対象となることがあります。
耳鼻咽喉科を受診して、検査を受けてみましょう。
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もっと調べる
参考リンク
○ 長野県医師会 わたくしたちの健康読本
○ 長野県医師会 みんなのけんこうvol.77
○ 厚生労働省 e-ヘルスケア 難聴
○ 日本補聴器販売店協会
初診に適した科
耳鼻科(耳鼻咽喉科)
頼りになる病院
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