変形性膝関節症

介護が必要となった原因疾患 第5位(関節疾患)

 

信州大学医学部 整形外科(運動機能学教室) 監修

どんな病気


膝関節の軟骨と半月板は、立ったり歩いたりする時に、膝にかかる衝撃を吸収するクッションの役目をして働いています。
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クッションである軟骨が少しずつすり減ったり、半月板が傷んで、炎症や変形を生じて、痛みが起こる病気が変形性膝関節症です。

原因

一次性:明確な原因がないもの

• 遺伝的な要素

• 加齢、女性、肥満、筋肉の衰え

もっとも大きな原因は加齢ですが、ひざの関節には、常に体重の4~6倍の負荷がかかっているため肥満も大きな原因となります。

女性に多いのは、ホルモンバランスの影響を受けやすいためと言われています。

• 膝の負担の大きいスポーツの習慣

• O脚などの下肢の変形

O脚は膝の内側に負荷がかかるため、発症の原因となります。

二次性:怪我や病気などの原因が明確なもの

• 膝周辺の骨折、捻挫や関節軟骨の損傷

• 靭帯や半月板損傷 、反復性膝蓋骨脱臼など

症状

• 膝の痛み、こわばり、曲げ伸ばしでの引っかかり感

• 動作時の膝の痛み
(歩き始める、立ち上がる、階段の昇り降り、正座ができないなど)

• 関節がこすれることによって、炎症や変形を起こし膝が腫れる

• 膝に水が溜まる

検査

問診

どのようなときに、どのような痛みがあるのかなどの症状を確認します。

視診、触診

圧痛のポイントや膝の腫れ、動き具合をみます。

画像検査

• レントゲンで骨の変形や程度を検査します。

• 必要によってMRI検査や超音波検査で半月板や靱帯の評価を行います。

「日本整形外科学会ホームページ」 より引用

関節液検査

膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取り検査します。

血液検査

炎症反応やリウマチ因子などを検査します。

治療

運動療法

膝に負担をかけずに、柔軟性や筋力をあげる運動を行います。

膝の運動は、鎮痛剤と同じ程度、痛みを和らげる効果があることが分かっています。


「日本整形外科学会ホームページ」より引用

薬物療法

炎症や痛みを抑える内服薬や貼付剤を使用します。

• 消炎鎮痛剤、アセトアミノフェン

最近では弱オピオイド・デュロキセチンなど新しい痛みを緩和する薬も使用されています。

• ヒアルロン酸注射、局所麻酔薬注射

関節軟骨の被膜を保護して、潤滑の改善や痛みをやわらげます。

• ステロイド注射

痛みや炎症が強い場合に行うこともあります。

温熱療法

冷えると痛みが出たり、血流を改善するため、入浴やホットパック(カイロ、温感湿布なども)で温めます。

手術療法

骨を切って変形を矯正する高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)や、人工関節を使用する人工膝関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)などの選択を考えます。

骨切り術・人工関節置換術には新しい方法が出てきており良好な成績が得られています。

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ホームドクターからのアドバイス

膝周りの筋肉の衰えることで不安定さが増え、関節がこすれることが要因のひとつです。

安静にしてばかりでは、筋力が徐々に衰えてさらに症状が悪化する一方となります。

自分の筋力を鍛えて、サポーターのような安定した膝を作ることが目標です。

セルフトレーニング、セルフケアに取り組みましょう。

膝に負担の少ない運動

大腿四頭筋(ふとももの前側)・体幹筋(お腹周りの筋肉)を鍛える訓練やプール・自転車でのトレーニングなど、膝に負担の少ない運動を習慣化し、継続して行いましょう。

最近ではフィットネスクラブなどもありますのでこれを利用するのもひとつの方法です。

肥満の解消

肥満は膝に負担がかかります。炭水化物の摂取量を減らすなどして、少しずつ減量しましょう。

ストレッチ

その他

足にあった衝撃を緩和する靴を利用しましょう。

冷えると痛みがでやすくなるので温かくしましょう。

洋式トイレを使用して負担を減らしましょう。

※痛みが3ヶ月以上経過する場合には膝の中で何らかの異常が生じていることが多く、膝関節の専門医の受診をお勧めします。

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参考リンク

日本整形外科学会 病気・症状をしらべる 膝関節の症状 変形性膝関節症
日本整形外科学会 変形性膝関節症
日本整形外科学会 変形性ひざ関節症の運動療法
日本臨床整形外科学会 変形性膝関節症
人工関節ドットコム

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整形外科

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