若い頃は困っていなかったけれど年齢を重ねるにつれて、多くの方が「オシッコ問題」に悩むようになり、外来診療でもよく相談を受けます。

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男性は、排尿後にズボンに染みをつくってしまう「ちょい漏れ」「後漏れ」。
女性は、くしゃみや笑った際に、尿が漏れ出ることが増えてきます。
尿漏れは、外出を控えたり、尿パッドを当てて対策したりするなど「生活の質」を下げる大きな要因になります。
尿漏れの原因は、前立腺肥大や体型、出産歴などが複合的に関与しますが、最も大きな要因の一つが、年齢に伴う骨盤、尿道周辺の筋力の衰え、緩みです。
男性の尿道は長く、一部U字型をしているため、尿がたまりやすい構造になっています。
尿道の筋力が衰えて、尿を絞り出しきれなくなると、後からちょい漏れてしまいます。
一方女性は、尿道が短いため、腹圧がかかると尿漏れしやすい構造です。
筋力が衰えると、せき止めきれなくなり尿漏れを起こしやすくなります。
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今回も、筋力の衰えの一番の対策は、筋力トレーニングです。
鍛えるのは、骨盤底筋群と呼ばれる骨盤の底部で、ぼうこうや腸などを支えている筋肉の集まりです。
尿失禁の医療ガイドラインでは、骨盤底筋訓練は、尿漏れ症状のある人の6~8割に効果が認められています。
骨盤底筋体操の基本動作です。
仰向けに寝て全身の力を抜く。
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足を少し開いて膝を立てる。
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息を吐きながら、尿道を5~10秒間内側に締めます。
この時、「ギュー」と、尿道を内蔵の方向に引き上げるようにイメージします。
強い尿意を必死に我慢している時のイメージでもいいです。
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ゆっくりと緩めながら息を吸います。
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これを10回3セット繰り返します。
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骨盤底筋群をうまく刺激できるよう、動画を真似るのも効果的です。
筋トレは継続が大事です。
朝昼晩気付いた時や、テレビを見ながら続けてみましょう。
(2024年10月29日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)