医良人コラム
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第115回 尿の悩み 筋トレが効果的

若い頃は困っていなかったけれど年齢を重ねるにつれて、多くの方が「オシッコ問題」に悩むようになり、外来診療でもよく相談を受けます。

男性は、排尿後にズボンに染みをつくってしまう「ちょい漏れ」「後漏れ」。

女性は、くしゃみや笑った際に、尿が漏れ出ることが増えてきます。

尿漏れは、外出を控えたり、尿パッドを当てて対策したりするなど「生活の質」を下げる大きな要因になります。

尿漏れの原因は、前立腺肥大や体型、出産歴などが複合的に関与しますが、最も大きな要因の一つが、年齢に伴う骨盤、尿道周辺の筋力の衰え、緩みです。

男性の尿道は長く、一部U字型をしているため、尿がたまりやすい構造になっています。

尿道の筋力が衰えて、尿を絞り出しきれなくなると、後からちょい漏れてしまいます。

一方女性は、尿道が短いため、腹圧がかかると尿漏れしやすい構造です。

筋力が衰えると、せき止めきれなくなり尿漏れを起こしやすくなります。

今回も、筋力の衰えの一番の対策は、筋力トレーニングです。

鍛えるのは、骨盤底筋群と呼ばれる骨盤の底部で、ぼうこうや腸などを支えている筋肉の集まりです。

尿失禁の医療ガイドラインでは、骨盤底筋訓練は、尿漏れ症状のある人の6~8割に効果が認められています。

 

骨盤底筋体操の基本動作です。

仰向けに寝て全身の力を抜く。

足を少し開いて膝を立てる。

息を吐きながら、尿道を5~10秒間内側に締めます。

この時、「ギュー」と、尿道を内蔵の方向に引き上げるようにイメージします。

強い尿意を必死に我慢している時のイメージでもいいです。

ゆっくりと緩めながら息を吸います。

これを10回3セット繰り返します。

骨盤底筋群をうまく刺激できるよう、動画を真似るのも効果的です。

筋トレは継続が大事です。

朝昼晩気付いた時や、テレビを見ながら続けてみましょう。

 

(2024年10月29日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)