人は何で生きているでしょうか?
哲学の命題でも謎掛けでもありません。
人は『血管』によって生きています。
大切な血管についての知識を整理します。
血管は三種類に分けられます。心臓から送り出された血液が通る『動脈』。
動脈は枝分かれを繰返して細くなり、細胞の間を網目のように張り巡らされる『毛細血管』となり、
血液と細胞との間で酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物を交換します。
次第に集まって太くなり『静脈』となり心臓に戻ります。
病気との関連を考えると、細胞に酸素や栄養を届ける動脈と毛細血管が重要です。
なぜなら血液が届かなくなるとその血管が栄養を運んでいた範囲の細胞は死んでしまうからです。
当たり前ですが大事なポイントです。
血液が届かなくなる二大原因は、血管が『詰まる』か『破れる』かです。
血管が詰まることを『梗塞』、破れることを『出血』とも呼びます。
大きな動脈が詰まったり破れると、障害を受ける範囲が広いため、急な症状として現れます。
代表として、脳卒中や心筋梗塞、大動脈瘤破裂などがこれらに当たります。
命の危険や後遺症を残す重篤な病気が多く含まれます。
一方、細い動脈や毛細血管が詰まったり破れても影響を受ける細胞は少ないためすぐに症状は出ません。
しかし、少しずつダメージの範囲が広がると、いつの間にか生活に支障が出てきます。
認知症、糖尿病性網膜症による失明、慢性腎臓病による透析などが代表です。
初期は痛くも痒くもないにもかかわらず、症状が出てしまってからは取り返すことはできません。
こちらは血管が原因の病気と知らない方も多く、重篤な病気に近づいているという実感もないぶん恐ろしいのです。
大きな動脈も細い毛細血管も、詰まりや破れる原因は動脈硬化です。
すでに数百年前の名医が『人は血管と共に老いる』という言葉を残しています。
今も昔も人は変わらないのです。
(2019年1月22日(火)付 MGプレスから)