医良人コラム
19/3/22

第11回 重要度の高い病気を確認

(信濃毎日新聞中信版MGプレスの記事を再掲しています。)

「健康寿命を伸ばしましょう」という言葉を耳にすると思います。

では、どんな病気によって健康寿命が損なわれているかをご存知でしょうか?

孫子の名言「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の通り、戦う前にどの病気(敵)の重要度が高いのかを確認しておくことは、健康づくりの基本といえます。

病気の数は1000を優に超えます。よく見定めないと雑兵との戦いに気を取られているうちに、敵の大将に討ち取られてしまうことになりかねません。

 

表は2016年度の日本人の「介護が必要となった原因」です。この表から2つの大きな事実を読み取ることができます。

 

①1~12位の合計が90・9%にもおよぶ

日本人の健康寿命を損ない、要介護状態を引き起こす原因の9割以上は、わずか12の病気や状態に集約されています。

この12の原因は「誰もが対策が必要」といえます。既に別の持病をお持ちの方も、並行して対策しなくてはなりません。

 

②要介護の原因の大半は「生活習慣病」と「体力低下」関連

1位の認知症は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の持病があると4~5倍発症しやすくなります。逆に運動は認知症の予防に効果的です。脳血管疾患・心疾患は生活習慣病による動脈硬化の最終結果です。

3~5位は、前回ご説明した体力・運動器関連。糖尿病は生活習慣病の代表です。がんや呼吸器疾患も、たばこやお酒、肥満などの生活習慣が大きく関与しています。

医療者がさまざまな病気の中で、生活習慣病と体力維持の重要性を訴えるのはこのような事実があるからなのです。

 

(2018年12月4日(火)付MGプレスから)

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