医良人コラム
17/6/6

第1回 医良人コラムへようこそ

       内科医師 小手川 直史

みなさまはじめまして

信州メディビトネットの長野県民向け健康啓発Webサイト「信州健康の森 まんまる◎広場」をご覧になっていただきまして、ありがとうございます。

私は、信州メディビトネットの代表を務めさせていただいております内科医の小手川直史と申します。
僭越ではございますが、記念すべき第一回目の「医良人コラム」を担当させていただきます。
今回は本題の前に、当サイトとこのコラムの役割についてご説明をさせていただきます。

この「医良人コラム」は、長野県の医療者から、みなさまに健康に関する「気づき」と「学び」をお届けさせていただける場所にしたいと考えています。

私たち医療者は、それぞれの医療現場から、多くのことを経験して、それぞれの経験の中から、健康というものについて思うこと、考えることがたくさんあります。
そして、その経験を多くの皆様にお伝えして、少しでもご病気で苦しむ方を減らしたいと願ってます。

もう少し、知っておいてもらえればよかった。もっと早く来てもらえばよかった。というようなことがたくさんあります。しかし、医療者一人一人が病院や診察室で、直接出会えて伝えられる患者さんの数は限られています。

たとえば、「糖尿病」、みなさんは痛くもかゆくもないのに、私たちが食事や運動についてうるさく言うのはなぜでしょう。
あなたは、まだ経験をしたことがない未来のご自分を想像できないかもしれませんが、私たちは同じ病気の方々の、行き着いた果ての姿をたくさん見て知っているからです。

脳梗塞を起こした人、失明をした人、人工透析になった人、足を切断した人。そうでなくても、糖尿病は全身病ですので、本当に進行してしまうと、自分の体を自分ではどうすることもできなくなってしまいます。

けっして脅して、怖がらせたいわけではなくて、少し知識を持ってもらって、日常での生活を心がけていただけるだけで、未来が大きく違ってくることを知っているからです。

一般の方々が、医療者と同じレベルで、医療や健康について深く知っておく必要はまったくありません。しかし、もう少しだけ、医療や健康に関する知識を持っておいていただくことは、日々を過ごす上でご自分やご家族の将来のために、とっても有意義なことだと思います。

知らないこと、知識がないことはとても恐ろしいことです。
最近あった大きなできごとでは、お母さんが、赤ちゃんに健康や栄養に良いと思って、はちみつを与えていました。
結果、はちみつの中にいるボツリヌス菌という菌によって命をおとしてしまいました。

医療者にとっては常識です。そして母子保健活動をしている方々は、当然「はちみつ」の危険性を訴えています。しかし、声が届かない方がいるのです。
私たちは、少しでも多くの方々に声が届くように「発信」し、健康啓発をお手伝いする力に少しでもなりたいと考えてこのWebサイトを立ち上げました。

そして、「医良人コラム」では、それぞれの医療者が医療の現場の経験の中から、みなさまの健康のために、知っておいてほしいという願いを直接お伝えすることができる、心のこもったコラムにしたいと計画しています。

話が固くなりましたが、楽しんでお読みいただけるようにと、医良人のみなさんにはお願いしています。コラムを楽しく読んでいただいて、長野県のみなさまが、健康について少し「気づいた」り、「学んだ」りしていただければ、役割としては十分です。

私たちは、健康は「人生」を送るための「基盤」だと思っています。
「世界」に「平和」がないと生活が安定しないのとおなじように、とても大切なことです。
しかし、その一方で、「老い」、「死」、「災害」などと同じように、起きてしまって失うまでは、その大切さに気づいてもらえないという特徴があります。

私たちは少しでも多くの人々の耳に届くように、「発信」していきます。
そして、発信ばかりではなくて、本当に必要な時や困ったときにいつでも、参考にしてもらえるように、信頼できる身近な長野県の医療者からの健康情報を「蓄積」していく構成にもしています。

長野県のみなさまが、健康について気になったときに、当Webサイトでしらべていただいて、予防やセルフケア、早期受診につながるようになってもらえれば、私たちの目標は達成したといえます。

それでは、みなさまの健康のために、活動を続けてまいりますので、末永くよろしくお願いいたします。

次回からのテーマは「健康って何だろう」です。