先日、本コラムの経口補水液の記事を読んだ患者さんが、ご自身のエピソードを聞かせてくれました。

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小学校の教頭先生であるその方は、ある日、来客を迎えるために校門前で待っていたそうです。
まだ午前9時頃でしたが、とても暑い日で、汗が出るため、熱中症対策として水を飲んだり、塩分タブレットを食べたりして予防していました。
その後、体調は問題なく、昼食も食べました。
ところが午後3時頃、突然両足がけいれんして痛くて動くことができなくなりました。
同僚の先生に、職員室の冷蔵庫にストックしていた経口補水液を持ってきてもらって飲んだところ、5分もせずにけいれんが治まったそうです。
熱中症の症状は遅れて現れることがあるという恐さや経口補水液の効果、さらに、いざという時のために常備しておく大切さなどを話してくれました。
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最近は見かけることが少なくなりましたが、水と塩、砂糖、レモン果汁などで、手作りの経口補水液の作り方が紹介されていることがあります。
市販の経口補水液には、カリウムやマグネシウム、カルシウムなどの他にも必要なミネラルがバランスよく配合されていますが、手作りでは不足します。
また、保存など衛生面の問題もありますので、災害時などの非常時に活用するのにとどめておいた方がよいでしょう。
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最後に、スポーツドリンクとの違いです。
スポーツドリンクは飲みやすいように、経口補水液と比べて、糖分(カロリー)が多く、塩分(ナトリウム)やカリウムは、3分の1~4分の1程度しか含まれていません。
スポーツドリンクは運動前、運動時の水分とエネルギー補給にはよいですが、大量に汗をかいた場合の水分や塩分、ミネラル補給には、経口補水液の方が適しています。
また、スポーツドリンクには500mlに20~40gもの砂糖が含まれているため、飲み過ぎによる高血糖が問題となることがあります。
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(2025年9月2日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)









