食事の他にも血糖値を上げる強力な伏兵がいます。
「間食」です。
朝食後のひと仕事を終えて、「さて一服」と、菓子を食べると、食後の血糖値が下がりきる前に再上昇し、昼食を食べるとさらに上がります。
食後の休憩中に友達が遊びに来て、おしゃべりをしながら、おやつをつまむと血糖値はまたまた一段と高くなり、家族で夕食を囲んだ後に、テレビを見ながらとどめの夜食を食べる頃には、血糖値は最高値に達します。
この事象には、もう一つ大事なポイントが隠れています。
糖尿病の人は健康な人に比べると、膵臓の働きが低下していて、血糖値を下げるインスリンの分泌量が少なくなっています。
にもかかわらず、間食を続けて、次々に血糖が押し寄せると、膵臓は弱っていても、休む間もなくインスリンを絞り出し続けなくてはなりません。
やがて、膵臓の細胞は疲れ果て傷ついて、一つまた一つと減っていきます。
すると膵臓から分泌されるインスリンの総量が減るため、同じカロリーの食事をしても血糖値は以前よりさらに上がってしまいます。
それでもけなげな膵臓は、頑張って少ない細胞からインスリンを絞り出そうとしますが、多勢に無勢。
さらに疲弊し、血糖値は上昇…。
と悪循環に陥っていきます。(32回、膵臓不全参照)。
人間も働き続けると疲れが蓄積して倒れてしまいますね。
間食を控えることで、血糖値の谷間をしっかりとつくって、その間に膵臓をゆっくりと休ませてあげましょう。
「天高く、馬肥ゆる秋」。
食欲の秋ですが、血糖値が天高くどこまでも上がっていかないように、間食に手が伸びそうになった際は、今回の話を思い出してください。
(2023年9月19日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)