褥瘡・床ずれ

どんな病気

褥瘡(じょくそう)とは、いわゆる床ずれのことです。

布団やベッド、車椅子などと触れている部分の皮膚が、長い時間圧迫され続けることによって、血流が悪くなってしまい、その結果皮膚が壊死した状態です。

自分で体を動かすことが困難な寝たきり状態の高齢者などに多くみられます。

褥瘡の最大の原因は「長時間おなじ姿勢でいる」ことです。
圧迫が2時間を超すと発生率が高まります。
こまめに体位を変えるなどの予防が何よりも大切です。

日本褥瘡学会 褥瘡の予防について   より引用

原因

褥瘡が発生する原因はさまざまであり、複数の要因が絡み合って発生します。

• もともと持っている持病(糖尿病・認知症など)
• 長時間の同じ姿勢
• ベッドの硬さ
• 栄養不足

国立循環器研究センター 床ずれはどう防ぎ、どう手当てするか より引用


通常は、同じ場所に長時間の圧迫が続かないように、無意識のうちに姿勢を換えています(体位変換)。
しかし、体位変換が自分で自由にできない場合には、皮膚の同じ部分が圧迫され続けます。
この状態が続くと、皮膚や筋肉などに血流が届かなくなり、壊死してしまいます。

脳卒中や、脊髄損傷などの体が自由に動かせない病気や、寝たきり状態の高齢者に多く起こります。

<なりやすい人の特徴>
• 痩せている。十分な栄養がとれていない
• 皮膚が乾燥している、薄い
• 排泄物や汗により皮膚がふやけやたり、おむつ交換などによって傷つきやすい
糖尿病認知症などによって、痛みの感覚が鈍くなっている

症状

• 褥瘡になりやすい場所は、寝たり座ったりしたときに体重がかかる部分や、骨がある硬い部分、皮下脂肪が少ない部分などです。

初期にはまず皮膚が赤くなります。
指で押さえても白くならない、圧迫を解除して30分経過しても赤みが続いている場合には、初期の褥瘡の可能性があります。

日本褥瘡学会 褥瘡について  より引用

さらに進行すると、水ぶくれになったり皮膚が破れて、潰瘍ができます。
感染を起こすと発熱したり、いのちを脅かす危険もあり注意が必要です。

日本臨牀皮膚科医会 ひふの病気 とこずれ(褥瘡)より引用


• 特に仙骨部(おしり)は、褥瘡が発生しやすい部分です。
座ったり仰向けに寝たときに体重がかかり、中央に骨があるために、圧力が集中してかかります。
仰向けに寝ている状態では、体重の約40%が仙骨に集中するとも言われています。

※褥瘡になりやすい場所に注意し、予防の対策をしたり、早期に発見することが大切です。

 

<褥瘡になりやすい部分>

日本褥瘡学会 褥瘡について  より引用

 

検査

• 褥瘡は、目で見て診断します。
感染が疑われる場合には、血液検査や細菌検査を行います。

予防対策

1. 洗浄、消毒、スキンケア
水道水を使って、よごれや老廃物を優しく洗い流し、細菌感染を予防します。
泡立てた石けんを使ってもよいのですが、すすぎをしっかりと行ってください。

皮膚の洗浄後、肌を保護するために、保湿クリームを塗ることも勧められています。

消毒は傷を修復する細胞も傷害してしまうため、最近はあまり使用されなくなりました。

2.ベッドのマットレスの対策、除圧
圧力を分散させるための、やわらかいエアマットレスや、定期的に圧力のかかる場所を変える圧切替機能が付いたものなどのさまざまな機能のマットレスがあります。

介護保険などのレンタルサービスでも利用できることがあります。
ケアマネージャーさんや、訪問看護師さんなどに相談をしてみましょう。

(参考)
全国福祉用具専門相談員協会
http://www.zfssk.com/kaigo/#kaigo03

長野県松本市の福祉用品貸与
http://kaigodb.com/jigyousho_list/20/202029/10/
※画面下部から他の市町村にも変更できます

3.姿勢の対策
2時間以内の体位変換が勧められています。
前述した、高機能のマットレスを使用している場合には4時間までの体位変換でもよいといわれています。

衣服や寝具のしわや皮膚のよれが、褥瘡の原因になりやすいために注意が必要です。

4.栄養
しっかりと十分な栄養を取る必要があります。
もともと褥瘡になりやすい人は、ふだんの口からの食事だけでは栄養的に不十分なことが多いため、市販の栄養補助食品などもを利用されることもお勧めします。

タンパク質、亜鉛、ビタミンC、カルシウム、鉄分などが強化された褥瘡用の栄養補助食品もドラッグストアなどでたくさん市販されています。

治療

しっかりとした、予防対策を継続したうえで、治療を行うことが大切になります。
(参考)日本褥瘡学会 褥瘡の治療について https://www.jspu.org/general/cure/

1.塗り薬、保護剤
傷の状態にあわせて、その人に合った軟膏や、クリーム、抗菌薬などの適切な薬を用います。
まさつ防止や乾燥予防のために、予防的にも使用します。

2.外科的治療

死んだ皮膚組織を取り除いたり、ポケット状に深くえぐれている際に行います。
皮膚を移植して傷を閉じる処置を行うこともあります。

褥瘡の治療は予防よりも大変で、なかなか回復しないことも多くあります。
専門家のアドバイスを受けながら、悪化する原因を確認して、ひとつずつ対策をしていくことが大切です。

ホームドクターからのアドバイス

褥瘡はできてしまうのはあっという間ですが、回復するのには、数カ月間の長い時間がかかります。

褥瘡を起こさないようにするための、介護する方の知識ときめ細かい予防対策がもっとも大切になります。

もっと調べる

参考リンク

日本褥瘡学会 褥瘡について
日本皮膚科学会
国立循環器病研究センター循環器病情報サービス 床ずれはどう防ぎ、どう手当てするか
安心介護 褥瘡とは/褥瘡を防ぐための工夫

 

初診に適した科

皮膚科、形成外科、外科、内科、リハビリテーション科など

医師の他にも看護師や薬剤師、栄養士などが互いに連携して治療にあたることができるよう、褥瘡対策チームが設置されている医療施設もあります。

頼りになる病院

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北信

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