医良人コラム
26/1/20

第136回 8割超が自覚「腰痛」対策は

2022年度の国民生活基礎調査の結果によると、病気やけがで体になにかしらの自覚症状がある人のうち、最も多い症状は「腰痛」でした。

生涯で腰痛を自覚したことのある人は83.4%に及び、その内4人に1人は痛みのため仕事を休んだことがあるというデータもあります。

腰痛のための医療費や薬剤費、仕事を休むことなどによる経済損失を合算すると、日本だけで年間数兆円に及ぶと推計されます。

少しでも自分でできるケアや対策を考えたいですね。

「からだの要」の腰の付近は、脊椎(骨)、骨膜、椎間板、椎間関節、仙腸関節、神経、筋、筋膜、靭帯、血管など、複数の組織から構成されていますが、MRIなどの検査を行っても痛みの原因部位をはっきり同定できないことも多く、また、原因が同定できたとしても根本治療が難しいことも少なくありません。

そのためか、世の中には腰痛に関するさまざまな情報があふれています。

その中で私たち医療者は、世界中の質の高い研究結果を集めて専門家が制作するガイドラインを診療の参考にします。

「腰痛診療ガイドライン」では、発症から4週以内の急性腰痛と、3カ月以上経過した慢性腰痛に分けて考えています。

要約すると、急性腰痛は自然に軽快することが多く自然経過はおおむね良好。

一方、慢性腰痛の自然軽快は、急性腰痛に比べて少なく「心理社会的要因」が関与するとされ、症状回復に対するマイナス思考や無力感を持つ人、痛みのことをいつも考えたり、大きく感じたりしやすい人は、経過が長引きやすい傾向があるとされています。

痛みへの恐怖心から行動を制限する人がいますが、日常生活を続けて職場復帰も早い方が、症状が長引きにくいという研究結果が出ています。

「Stay active. Keep positive.」。

すなわち「活動性を保ち、気持を前向きに」がキーワードです。

(2025年12月2日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)