どんな病気
生後6か月~6歳の乳幼児の発熱時(通常は38度以上)に伴って起きるけいれん発作のことを熱性けいれんと呼びます。
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小児期のけいれんのなかで最も多く、小児のおよそ10人に1人が熱性けいれんを経験するといわれています。
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初めて熱性けいれんを起こしても、半数は繰り返すことはありません。
しかし、30~50%の方は、再び熱性けいれんを繰り返します。
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再発した場合には、他のけいれんを起こす別の病気(てんかんなど)が隠れていないか検査を受ける必要があるため、医療機関を受診して相談をしてください。
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発熱をともなうけいれん発作には、他にも、重篤になる髄膜炎や脳炎などによるけいれん発作の場合があります。
かならず救急外来等の医療機関を受診させてください。
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原因
熱性けいれんが起こりやすいのは、急激に高熱が出たときです。
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乳幼児の脳の神経細胞は未発達なため、発熱の刺激によって、脳細胞が過度に興奮して異常な電気刺激を発することが、きっかけになるといわれています。
また、異常な電気刺激を抑える働きも、まだ不十分なために、脳の興奮がそのままけいれんとなって現れてしまうと考えられています。
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感染症の中では、インフルエンザや突発性発疹症等は熱性けいれんを引き起こしやすい病気です。
胃腸炎にともなうけいれん発作も多くみられます。
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発熱をともなわないけいれん発作の原因
てんかん、低血糖、電解質(ミネラル)の異常、泣き入りひきつけ、薬剤
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症状
けいれん発作は、発熱から24時間以内、とくに熱の上がり始めに起こることがほとんどです。
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熱性けいれんの発作の多くは持続時間1~3分間ほどで治まります。
けいれん時間が15分以上長く続くと、脳細胞に後遺症を残すことがあります。
5分以上続く場合には、すぐに医療機関を受診をしてください。
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けいれんのタイプ
強直性
全身をかたく突っ張る
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間代性
全身をかたく突っ張った状態と力が抜けた状態がくり返され、ピクピクあるいはガクガクと手足が動く
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検査
熱性けいれんは、発熱に伴う症状であるため、血液検査や迅速検査などで、発熱とけいれんの原因を同時に調べます。
また、髄膜炎や脳炎、てんかんの可能性もあるため、これらと区別するための検査も行われます。
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血液検査
感染の有無や、炎症の度合い、電解質、血糖値、ウイルス抗体価など
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迅速検査
血液や、鼻水、尿などで、感染の原因菌やウイルス
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髄液検査
髄膜炎や脳炎が疑われる際に行う
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頭部画像検査(CT、MRI)
脳の腫瘍や、出血、むくみなど
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脳波検査
繰り返しけいれん発作起こす場合や、発熱のないけいれん発作をおこして、てんかんが疑わしい場合などに行う
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治療
けいれんの再発予防や、発熱時にけいれん発作を予防する方法として、抗けいれん薬のジアゼパム坐薬(ダイアップ®)を使用します。
8時間後にも再度ジアゼパム坐薬を使用することで、熱性けいれんを起こしやすい、最初の24時間にわたって効果が持続します。
副作用として眠気や、ふらつきがみられることがあります。
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ジアゼパム坐薬によっても、けいれん発作が治まらない場合には、抗けいれん薬の点滴や麻酔薬による治療が必要になります。
急いで医療機関受診をしてください。
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ホームドクターからのアドバイス
こどもが熱性けいれんを起こすと、保護者の方もびっくりすると思いますが、慌てずに、落ち着いて対処しましょう。
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救急車を呼ぶ | ・5分以上けいれんが続く ・けいれんを繰り返す ・けいれんが止まっても、意識が戻らない |
すぐに 医療機関を受診 |
・生まれて初めてのけいれん ・2回目以降でも、今までと様子が異なる ・唇の色が紫色、または、呼吸が弱い ・けいれんが左右対象でない ・けいれんが止まった後に四肢に麻痺がある ・生後6ヶ月未満、または6歳以上 ・5~6歳になって初めて熱性けいれんを起こした ・熱がない ・けいれんの前後に異常な言動がみられる ・嘔吐や頭痛など、熱性けいれん以外の症状が疑われる ・最近頭を強くぶつけた |
診療時間内に受診 | ・けいれんが1回だけで、5分以内に治まった ・治まった後、目を開けて周囲の呼びかけに反応する ・今までに何度か起こったことがあり、 □すでに診断がついている |
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けいれん発作が起こった際の対応
意識が戻るまで子供のそばにいて、目の向きや、手足の動き、持続時間などを観察してください。
(受診した際に伝えるため)
大部分のけいれん発作は自然に治まります。
呼吸が一時的に止まって苦しそうでも、回復します。
刺激しないように気をつけながら、落ちついて次のようにしましょう。
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• 転んで頭を打たないように、布団の上などに寝かせる。
• 嘔吐した場合、気管に流れ込まないように、顔とからだを横に向ける。
• 頭を少しそらせて、気道を確保する。
• のどに詰まらせる危険性があるので、口に入れているものは取り出す。
□この際に指をかまれないように、ハンカチなどで指をおおって行う。
• 上着のボタンをはずして、ズボンなどをゆるめる。
□身に着けているもの(眼鏡、ヘアピンなど)や、
□手に持っているものは、取り外す。
• 周囲の危険なもの(ストーブや刃物など)は遠ざける。
• 少し暗くして、刺激を与えずに静かにする。
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×やってはいけないこと×
・大きな声で名前を呼ぶ
・体を抱きかかえる
・体を揺さぶる
・水などを飲ませる
・口の中に物を入れる
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舌をかむのを防ぐために、口の中に何かを入れたり、噛ませたりする必要はありません。
嘔吐を誘発したり、窒息させる危険があります。
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落ち着いて、安静に寝かせて様子を見守ってください。
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/clinic/sick_keiren.html より引用
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予防接種
きちんと各種の予防接種を受けることで、感染症を起こさないようにすることも大切です。
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参考リンク
〇 みんなの健康百科 応急手当 熱性けいれん
〇 日本医師会 白クマ先生の子ども診療所 けいれん、ひきつけ
〇 日本小児科学会 こどもの救急
〇 日本小児神経学会 小児神経Q&A 熱性けいれんはどのような病気ですか?
初診に適した科
小児科、神経内科
頼りになる病院
まずはお近くのかかりつけ医の先生にご相談ください。
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