医良人コラム
25/12/1

第133回 介護予防 外を楽しく歩く

前回、敬老の日にちなんで元気な100歳の生活を紹介しました。

一方、10年近く前から騒がれていた「2025年問題」の当年も残りわずかです。

2025年問題とは、人口の割合が多い団塊世代が75歳以上となるため、今後の医療・介護体制の維持が危ぐされる社会問題です。

75歳の皆さんに、「ぜひ元気な100歳健康長寿を目指しましょう」と呼びかけると、「まだ25年もある。そんな体力ないよ~」という声が聞こえてきそうです。

本コラムでは、高齢化時代には病気予防と同じくらい、介護予防の礎となる「体力」が重要であることを伝えてきました。

介護予防教室に3年通うと、行かない人に比べて要介護になる率が半分に低下するというデータもあります。

最近、訪問診療を受けるようになった一人暮らしの81歳の女性を紹介します。

以前は友達とカラオケをするなど、生活を楽しんでいましたが、新型コロナウイルスの流行を境に、全く外に出なくなりました。

室内でしか動かないため体力の低下、通院が困難となり訪問診療を依頼されました。

一緒に訪問リハビリも導入して、体力回復を目指します。

室内でリハビリ訓練を数回行った後、理学療法士の先生と久しぶりに道路を歩いてみました。

最初の日は2軒隣りまで往復してみましたが、動悸がして息が切れたそうです。

体を動かさないと筋力だけでなく、心肺機能も衰えます。

でもつらくて嫌だったわけではなく、次は一つ先の美容室に髪を切りに行くことが目標と言っていました。

外に出て気持ちも上向いたようです。

「Exercise」という英単語は、「体を動かす」という意味ですが、「外へ、出す」という意味の「ex」と、「閉じ込める、制する、防ぐ」という意味の「arcere」から成り、「訓練する」「体を動かす」という意味になったといわれます。

外に出て、信州の気持ちの良い季節を感じましょう。

(2025年10月7日(火)付MGプレス「健康の見つけ方」から)