高尿酸血症・痛風

どんな病気

血液中の尿酸値が7.0㎎/dlをこえた状態を、高尿酸血症とよびます。

尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作を起こしたり、さまざまな合併症を起こします。

尿酸値が7.0より高い人は、約500万人いると推計されています。

男性に多く、 30~40歳代男性のおよそ3割が高尿酸血症といわれています。

食事などが影響する生活習慣病のひとつです。

痛風患者さんの4割近い方がメタボリックシンドロームの状態です。

体のなかでつくられた尿酸は、約8割が尿のなかに溶けて排泄されます。

この排泄量が少なかったり、体のなかで尿酸が多くつくられすぎるために、血液中に尿酸が増えた状態が高尿酸血症です。

原因

病型分類

血液や尿検査で判定します。

使用するお薬を選ぶために大切になります。

尿酸産生過剰型:体のなかで、尿酸の産生が増加 60%
食事、アルコール、肥満、遺伝、血液疾患などの影響、薬剤など

尿酸排泄低下型:腎臓からの尿酸の排泄が減少 10%
腎機能障害、薬剤など

混合型
    :両者の混合 30%
過度の運動、ストレスなど

症状

高尿酸血症の状態だけであれば、ほとんど自覚症状はありません。

尿酸と尿酸結晶がひきおこす合併症が問題になります。

①痛風発作

②痛風腎

③痛風結節

④尿路結石

⑤動脈硬化

①痛風発作
「高尿酸血症 = 痛風」ではありませんが、代表的な合併症です。

尿酸値が高い状態が続くと、尿酸塩(にょうさんえん)という結晶の形になって、関節に析出、沈着することがあります。

この尿酸塩結晶によって急性の強い「痛風関節炎」を起こす病気が「痛風発作」です。

尿酸塩結晶は顕微鏡で見ると、針のようにとがっています。

http://www.kounandai-clinic.net/gout.html より引用 

「風が吹いても痛い」ため、痛風と呼ばれるようになったのが語源と言われています。

写真を見ていると痛いのもうなずけますね。

痛風は40〜50代の男性に多く、95%以上は男性です。

日本では痛風は、第二次世界大戦以前まではまれな病気でした。

1960年代以降、痛風患者は増加し続けています。

その頃は贅沢病とも呼ばれていましたが、現在では一般的に見られる病気になり、100万人の患者さんがいると推測されています。

• 正式には「痛風関節炎」と呼ばれます。

• 発作時には関節がはれて、熱感を伴う激しい痛みが起こります。

• 足の親指の付け根が一番頻度が多くみられます。
TEIJINホームページ http://243sageyo.com/risk/gout/ より引用

• 炎症は24時間でピークに達し、1〜2週間でじょじょに改善していきます。

• 尿酸値が9%台だと、6%未満に比べて痛風発作の発症率が40倍にもなります。

• 一度おさまっても、無治療のままだとくり返します。

②痛風腎
高尿酸血症が慢性化すると、腎臓にも尿酸結晶が沈着したり、⑤の動脈硬化が進行するため腎臓の機能が悪化します。

腎機能が悪化することで、尿酸の排泄が悪くなって、さらに尿酸値が上昇するという悪循環に陥ります。

高尿酸血症と言われたことがある方は、自覚症状がなくても、定期的な血液検査や尿酸値を下げるための治療が大切です。

③痛風結節
尿酸が高い状態が続くと、耳や肘、手の関節などに尿酸の結晶が溜まって、皮膚の下にしこりを作ることがあります。

手の関節では、腫れて変形するために、機能障害を起こすようになります。

http://okinawa-gim.moon.bindcloud.jp/pg62.html より引用

④尿路結石(尿酸結石)
肉食を好む痛風患者さんでは尿が酸性に傾きやすくなります。

尿酸は酸性では溶けづらくなるため、尿路に尿酸を主成分とする尿酸結石ができやすくなります。

痛風でない人に比べて、痛風患者さんでは3~5倍も尿路結石を起こす頻度が高いといわれています。

⑤動脈硬化
高尿酸血症は動脈硬化を起こす危険因子のひとつといわれています。

先ほどの写真でみた針状の尿酸結晶が血管にも刺さって、血管に負担をかけているためです。

肥満をはじめとして、脂質異常症や糖尿病、高血圧などのメタボリックシンドロームを合併していることも多く、さらに動脈硬化が進行しやすい状態と言えます。

その結果、将来、脳血管障害や心臓病などを起こす危険性が高いといえます。

検査

血液検査、尿検査などで、腎臓やそのほかの合併症の有無などをを調べます。

痛風を起こした場合は、レントゲンや関節液を調べることもあります。

治療

「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によって、治療の方針が決まっています。

• 尿酸値が7.0㎎/dlをこえると高応尿酸血症と呼びます。

尿酸値が7.0mg/dLを超えると、血液中に尿酸が溶けきれなくなり、尿酸の結晶化が始まります。

• 一度でも痛風発作を発症したことがある場合
再発防止のため、尿酸値を6.0mg/dL以下になるように薬物治療が行われます。

• 尿酸値が7.0mg/dL~8.0mg/dL以下の場合
原則、食事療法の生活指導で様子を見ます。

• 尿酸値が8.0mg/dL~9.0mg/dL以下の場合
合併症(高血圧、糖尿病、脂質異常、腎障害、虚血性心疾患、尿路結石など)がない場合は、生活指導で様子を見ます。

合併症がある場合には、薬物治療を開始します。

• 尿酸値が9.0mg/dLを超えている場合
すべての人で薬物治療を行います。

尿酸は、プリン体から作られます。

プリン体は食事やアルコールで外から入ってくるものと、体の中の老廃物として生産されるものの二通りがあります。

食事

プリン体の多い食べ物を知って、なるべく控えましょう。

プリン体の少ない食べ物を知っておき、そちらを食べるようにしましょう。

プリン体の少ない食品
• 100gあたり50~200mgで少ない
ウナギ、ワカサギ、豚ロース・バラ、牛肩ロース、牛タン、ベーコン、ホウレンソウなど

• 100gあたり50mg以下で極めて少ない
カマボコ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、ジャガイモ、米、ご飯、うどん、そば、果物、野菜など

乳製品は尿酸値を下げる効果があり、摂取が望ましいと考えられています。

肥満にならないように過食は禁物です。

野菜は、尿がアルカリ化されて尿路結石ができづらくなります。

脳血管障害、心臓病などの合併症を防ぐために、塩分や脂肪分も制限することも必要になります。

アルコール

ビールはプリン体が多く、ワインや蒸留酒は少ないと言われています。

いずれにせよ1~2杯、1~2合までを目安にしましょう。

つまみもプリン体が多く含まれているものが多いため、注意が必要です。

参考URL 痛風財団 http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/

運動

有酸素運動で、体重を落とすことは尿酸値や動脈硬化には良い影響があります。

汗をかきすぎて、脱水にならないように水分摂取を心がけることが大切です。

筋肉トレーニングや激しい運動は、筋肉が壊れた時に出る物質からプリン体が産生されるため、あまりお勧めはされていません。

薬物療法

むずむずとした痛風発作の前兆のある時、コルヒチンという予防薬を使用します。

痛風発作時

非ステロイド薬や、ステロイド薬を使用します。

血液中の尿酸が不安定な状態であるため、尿酸を下げる薬は発作が落ち着いてから使用することが薦められています。

また、痛風発作時には尿酸は結晶化して消費されているために、血液検査の尿酸値は高くないこともあり、注意が必要です。

高尿酸血症ガイドラインで薬物療法の適応がある時
尿酸値を6.0mg/dL以下になるように薬物治療が行われます。

尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があり、病型によって選択されます。

腎障害がある人、尿路結石がある人、痛風発作中の人などは使用できる薬に制限があることがありますので、医療機関で相談しましょう。

一度下がっても、薬をやめると再度上昇することが多いので、自己判断で内服を中断することはやめましょう。

ホームドクターからのアドバイス

高尿酸血症は、血液検査で簡単に診断がつきます。

自覚症状はありませんので、定期検診などを受けましょう。

尿酸値が高いと言われたことがある方は、痛風などの合併症をおこす前に生活の改善を進めていきましょう。

尿酸は、尿中に排泄されます。

心臓や腎臓などに持病のない方は、積極的に水分を多く取りましょう。

汗の中には排泄されません。

夏場は汗をかいた分、血液が濃くなり、尿酸値は上昇します。

水分摂取を心がけて、痛風などの合併症を予防しましょう。

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参考リンク

日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなし 痛風・高尿酸血症
日本生活習慣病予防協会

初診に適した科

内科、代謝内科、整形外科

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